ノーベル文学賞 '2017を予想する

最近またボブ・ディランを聞き直している。
長年そのよさが分からないで来た。単純に合わないのだと思う。
だけどその音楽と言葉に向かう姿勢にはただならないものを感じてきた。
今回60年台、70年代のいくつかを聞いて
『Blonde on Blonde』と、ザ・バンドと共演した『地下室』に何かピンと来るものがあった。
彼の頭の中にあるものを最もそのままに吐き出したのがこの2作ではないか。
これから90年代、00年代を聞いてみる予定。


昨年のボブ・ディランノーベル文学賞受賞、のニュースは今も記憶に新しい。
2014年にそのときまでの全アルバムが紙ジャケになったけど、
今買おうとするとそのステッカーが貼ってますしね。
SONY の方で貼り直して追加プレスしたのだろうか。


候補者としてボブ・ディランの名前は何度か上がっていたので特に違和感はない。
歌い手としてもさることながら現代のアメリカを代表する詩人と考えたらその功績は大きいと思う。
ミュージシャンが受賞というのはいかがなものかという意見があったけど、
1997年のダリオ・フォも演劇人でしょう。元々視野は幅広いんですよね。


10月に発表ということで今年はどうなるか。
個人的にはケニアグギ・ワ・ジオンゴが最有力。
2014年のパトリック・モディア、2015年のスヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチと
長年取るか取るかと言われていた人たちが順番に受賞してますからね。


次がチェコミラン・クンデラ、ドイツのペーター・ハントケ、シリアのアドニス
フィリップ・ロスドン・デリーロトマス・ピンチョンも毎回候補として上がるけど、
昨年がボブ・ディランなのでアメリカの作家は最低でもあと5年ぐらいないかも。
(もちろんここでいう候補とはブックメーカーが勝手にオッズを決めているだけであって、
 ノベール賞の選考委員会が発表したものではない)


詩人のエヴゲニー・エフトゥシェンコ(露)が今年春に亡くなった。
存命ならば最有力候補の一人になったはず。


ジョイス・キャロル・オーツもここ数年ブックメーカーのベスト10に入っている。
でもジャンルがホラー、サスペンス寄りの通俗小説であって
「短編の名手」としては2013年にアリス・マンローが受賞している。
ちょっと厳しいか。僕としては受賞したら村上春樹よりも嬉しいけど。
アーシュラ・K・ル=グィンもベスト20圏内に入ることがあるんですよね。
SFとはいえ、格調高い文体によって描かれる世界観、その構築力はもっと評価されるべき。


3番手ぐらいにありそうなのが
カズオ・イシグロ(英)、サルマン・ラシュディ(英)、マーガレット・アトウッド(加)、
コーマック・マッカーシー(米)、ヴィクトル・ペレーヴィン(露)、
エドゥアルド・メンドサ (西)、パトリック・モディアノ(仏)、コ・ウン(高銀:韓)、
ベイ・タオ(北島:中)、ジャン・イーイー(張一一:中)、イェン・リェンコー(閻連科:中)


ここ数年のブックメーカーの評価では
アダム・ザガエフスキ(ポーランド)、アモス・オズイスラエル)、
イスマイル・カダレ(アルバニア)、ヨン・フォッセ(ノルウェー)、
この辺り。この4人のうちの1人か2人はこれから2・3年のうちに受賞すると思う。


日本だと石牟礼道子林京子
それぞれミナマタ、ナガサキの証言が普遍的なものに至るとして評価をされるのではないか。
他、言葉の構造物としての可能性を探った津島佑子多和田葉子吉増剛造、この辺りかな。


10年後の候補としては
ポール・オースター(米)、リチャード・パワーズ(米)、ジュンパ・ラヒリ(米)、ハ・ジン(米)、
ミシェル・ウエルベック(仏)、 ウラジーミル・ソローキン(露)、 ロベルト・ボラーニョ(チリ)、
こんなところ。