田園調布という場所

今晩のブラタモリが田園調布だった。
断層があるとか地形的に見るものは無いだろうと思いきや、
国分寺崖線の終点が田園調布の隣りの多摩川駅周辺、つまり多摩川のあの辺りだとかで。
元々はただの新興住宅地で最初から社長が住んでいたわけではなかった。
中堅サラリーマンの手の届く範囲だった。
水はけのいい土地にあって地盤が固いことから関東大震災の後に
エリート軍人たちが移り住んだという。
それがきっかけになって社会的に上の階層の人たちが住むようになった。
駅を中心に放射状に道が広がっているのはパリの凱旋門広場殻の街並みを模したものでもあるし、
町をつくった渋沢栄一の息子が、まっすぐな道とは違って
道がカーブしていると家並みの緑がずっと続くという景観がいいと。なるほど。


瀬田に住んでいた頃、何度か田園調布を訪れたことがある。
会社の帰り、三田線目黒線となり、
大岡山で大井町線に乗り換えるところをそのまま乗って行くと奥沢、田園調布、多摩川
妻に頼まれて駅前の店の蜂蜜屋で蜂蜜を買いに行く。買ってまた大岡山に引き返す。
田園都市線に乗って自由が丘で大井町線に乗るというルートもある。
妻は会社帰り、疲れると時々田園調布まで行ってそこからバスに乗って帰っていた。
家のすぐ近くにその路線のバス停があった。
瀬田もまた、高級住宅街だ。


駅の周りはこぎれいで高島屋を切り取ったみたいだけど、
その周りは割と寂れていたような。
品のよいまま年をとりました、というような。
以前港北の IKEA に行こうとしたら都内だと田園調布からシャトルバスが出ていると。
せっかくなのでブラブラ歩いてみた。閑静な住宅街ではあったが、鄙びていた。
今改めてここに家を建てるという財界人やスポーツ選手はいないかもしれない。
もちろん、ひとつひとつの家はゆったりと大きかった。


恐らく、二度と訪れることはないだろう。
大金持ちになってもここに家を建てたいとは思わないし、
ここに住んでいる方と知己を得るということもなかなかないだろう。
港北 IKEA には車で行く。
一方で、何もないけどいつかまた訪れたいという町もある。