Paul Simon

先週今週と Paul Simon ばかり聞いていた。
聞き直したのはソロになってからの4枚で、最初の3枚は甲乙つけがたい。
Paul Simon』『ひとりごと(There Goes Rhymin' Simon)』
『時の流れに(Still Crazy After All These Years)』
Simon & Garfunkel 時代の『The Paul Simon Songbook』は除く)


4枚目の『One Trick Pony』はオザケンが引用した名曲
「Late in the Evening」が収録されているけれどもそれ以外が地味かな。
また今度聴き直そう。このアルバムだけ iPhone から外した。


世間一般的には2枚目や3枚目の評価が高いけど、
僕が今回一番いいなと思ったのは一枚目の『Paul Simon
「母と子の絆(Mother and Child Reunion)」
「ダンカン(Duncan)」
「僕とフリオと校庭で(Me and Julio Down by the Schoolyard)」
山崎まさよしが「僕と不良と校庭で」と歌ってましたね)
といった曲が収録されている。


若々しい青年時代を終えて、大人になるということ。
一人の人間として、孤独や戸惑い、悩みを抱えながら生きていくということ。
その甘い痛みが歌われている。
2枚目、3枚目と成熟していくけど、
1枚目の繊細さ、危うさはこのときにしか生まれないもの。
大ヒットして名声を獲得していた Simon & Garfunkel を突然解散させて、
一人きりになる。その不安もあっただろう。
そこに立ち向かっていかないといけないという気持ちもあっただろう。
音が、声が、とても生々しい。
本当の意味での AOR(Adult Oriented Rock)とはこういうのではないだろうか。


もう一枚聞き直して自分の中で評価が変わったのが
Simon & Garfunkel が1981年に一時的に再結成して
ニューヨークのセントラルパークで開いたフリーコンサートを捉えたライヴアルバム。
『セントラル・パーク・コンサート』
高校時代に友人から借りて聞いたんだけど、
「The Sound of Silence」や「明日に架ける橋」「ボクサー」など
Simon & Garfunkle の有名な曲をまとめて聞きたかったのに、
「Late in the Evening」や「僕とフリオと校庭で」といった
Paul Simon のソロが 1/3 ぐらい収録されていて。
じゃまだなあなんて思ったものだった。
今なら逆で、成熟しきった Paul Simon のモードでアップデートされて
Simon & Garfenkel の曲が演奏される。これが心地よい。
ドラムには名手 Steve Gadd が加わるなど、演奏が素晴らしい。


その後の、南アフリカで現地のミュージシャンと共演した『Graceland』や
さらにその次の、同じくブラジルで録音した『The Rhythm Of The Saints』辺りを
次は聞き直してみようかと。
当時は植民地主義による搾取とも言われたみたいですが、どうなんだろう。
純粋に美しいポップソング集なのではないかな。