財布を忘れてそれに気づかされるということ

朝起きてお湯を沸かし、ボトルに紅茶を入れる。
念のためシンクの上で逆さにして振ると熱湯がジャバーッと。やけどする。
飲み口のところがしっくりはまっていなかった。ついてない。


今日はスーツで出社するのでリュックサックから会社カバンに詰め直す。
先ほどのボトル、弁当(最近保冷バッグに保冷剤を詰めてもっていく)、
常駐先の入館証、会社携帯、行き帰りに読む本。


交差点を渡り、団地の中の公園を歩く。
ふと気づく。そういえば財布をさっきカバンに入れた記憶がないな。
立ち止まり漁ってみるとやはりない。
既に10分近く歩いていて、駅は目の前。仕方なく引き返す。
自分に腹が立ってしょうがない。


・財布を取りに戻るなんて時間の無駄。
・06:19 の2両目の真ん中のドアといういつもの習慣が崩されるのが嫌。
・そもそもなんでさっき財布を確認しなかったのか。
・ボトルでやけどした時、もっと気を引き締めるべきだった。
・なんで10分も歩いてから気づくのか。もっと家の近くで気づいてもいいじゃないか。


などなど。
10分かけて家に戻って、リュックサックの中を見たら財布があった。
すぐ家を出る。これ以上ロスタイムを作りたくない。イライラしている。
また10分かけて先ほどのところまで戻って駅へと向かう。


妻には引き返す道の途中で LINE で財布を忘れたことを事前に伝え、
2階には上がらず、鍵をかけて道路に出た後でただ「行ってきます」と。


地下鉄の中でやり取りを交わす。
妻はこんなことを言う。
怖い夢を見ていて、僕に電話しようとしてハッと目が覚めたと。
それがいつごろかというと、10分歩いて僕が財布を忘れたことに気づいたとき。


たまたまなのか。
それとも第六感や潜在意識が何かをとらえたのか。
ついにテレパシーで会話できるようになったと妻は笑うが。
同じ家に住んで、同じものを食べて、同じような生活習慣を過ごしていると夫婦の顔が似てくる。
それと同じようになんかあったときにささやかなアラートを発して、
それをキャッチできるようになるのか。


そういうことに気付くために僕は今朝財布を忘れたのかもしれない。