青梅駅前を歩く

昨日の続き。
奥多摩日原鍾乳洞を見て、青梅駅前まで戻ってきて駐車場に停めたのが11時前。
映画の看板と昭和レトロで有名な町というのは知っていたけど、猫の町でもあった。
この日の予定では見どころのひとつである
「昭和幻燈館」「昭和レトロ商品博物館」「青梅赤塚不二夫会館」の3つを訪れるつもりでいたんだけど、
もうちょっと町を歩いてみようということになる。
商店街のあちこちに映画と猫が。
「ニャジラ」「猫と共に去りぬ」「モダンニャイムズ」といったパロディーの看板や
傘の店だと「雨に唄えば」などその店の広告として描かれた看板。
(後で調べたところでは、映画の看板の多くが昨年の台風で破損して撤去されたという)
 
日が出て、散歩日和。
駅前に出る。いい感じに寂れている。
ここは以前、長崎屋だったのだろうなあというビルがその後スーパーが入って、
ここ数年閉まったままになっている。
道路を挟んで向かいの建物もそう。
少し離れたところにある大きな中華屋も閉店の貼り紙が。
しかし悲壮感はなく、あっけらかんとのどか。
古い建物がおしゃれなカフェやバーへとポツポツ生まれ変わっていた。
町歩きをしている観光客もちらほらといた。
ほんとはもっと大勢押し寄せてほしいところなんだろうけど…
 
観光案内所があったので入ってみる。
町歩きの地図をもらい、お勧めの観光スポットや食事処を聞く。
昼は事前に調べて気になっていた「夏への扉」という喫茶店でカレーを食べるつもりだったんだけど、
地図には乗ってないし、案内所のお勧めでも名前が出てこなかった。
たいしたことないのかな、と思い、お勧めのひとつのうどん屋に行くことにした。
青梅のブランド豚「東京X」を使った肉うどんがあるという。
しかし、「注文してから出てくるまでかなり待ちますよ」と。
 
11時半開店で少し時間がある。
商店街に「まちの駅」があって中に入ってみる。
澤野井がやはり入ってすぐの目立つところに並んでいる。
朝、奥多摩に向かう途中、電信柱¥一本ずつに看板をかけていて目立っていたわさびの「カネク」
せっかくだからわさび漬けの瓶と生わさびの徳用チューブを買ってみた。
奥のほうにはタオルの「ホットマン」のコーナーが。
都心のデパートにも売り場を持つ高級なメーカー。
なんでここに? と思って後で調べてみたらここ青梅が本社なんですね。
 
11時半を過ぎてうどん屋に行ってみるが、のれんが下がっていない。
子どもの日で今日は休みか。
駅の反対側の「夏への扉」に行ってみることにする。
歩く途中で地元の本屋があって入ってみる。
絵本作家山口マオがシニカルなユーモアで猫を描いた絵はがきやマッチの箱が売られていたので、
絵葉書を1枚買った。
夏への扉」でも売ってますよ、おすすめの喫茶店ですよと。
観光案内所とはなんか違う感じ。
うーむ、もしかしてなんか事情があるのかな。ま、いいか。
 
ゆるやかな坂を上って線路を渡ると青梅線がゆっくりと通り過ぎる。
そのすぐ横に「夏への扉」があった。
古びた建物の、10人も入ればいっぱいになりそうな小さな喫茶店
店名はもちろん、ハインラインの名作から。店内にも一冊置かれていた。
あれも猫ですよね。
本を置いている一角には『散歩の達人』の喫茶店特集や
泉麻人の『東京ふつうの喫茶店』など以前取り上げられたものを。
あちこちで紹介されてますね。
老夫婦で営んでいるので決してきれいではないけど、レトロとは別の懐かしい雰囲気がある。
シャンソンが流れていた。
青梅線が目の前を通り過ぎる度にガタガタと窓が揺れる。
チキンカレーを食べた。玄米。食べると甘口のようでいて後からスパイスが効いてくる。
おいしかったな。焼きうどんやピラフも食べてみたい。
大きなテーブルで相席になったおじいさんと妻が話す。
立川で青梅線に乗るときにホームに人が多過ぎて奥さんとはぐれてしまった、帰るのが怖いと言って笑う。
おすすめの観光スポットを聞いたら
隣りの駅になるけど塩船観音寺のつつじがこの季節は見どころ、
青梅はハイキング出歩くのにとてもいいと。
そう言われてみるとここ「夏への扉」へ行く途中、ハイキング客がもっと先へと上っていってたな。
 
食べ終えて、今回の目的だった
「昭和幻燈館」「昭和レトロ商品博物館」「青梅赤塚不二夫会館」の3つへ。
3館セットの入場券を買うと800円と安い。
「昭和幻燈館」はぬいぐるみ作家と墨絵作家の母娘による猫の作品を展示している。
この猫が一見のんきながらノスタルジックな顔立ちでなんともかわいらしい。
カラーテレビが「ニャショナル」となっていたり、「味の素」ならぬ「鯵の素」になってたりという
パロディ作品がたまらなかった。絵葉書を何枚も買ってしまった。
あと、山本高樹という方の製作されたジオラマが緻密かつ雰囲気があった。
猫の町をつくったものは「爪研サロン」「各種じゃれ紐」「cafeマタタビ」と
看板ひとつひとつにも趣向溢れていて、その店の中にも猫がいた。
もうひとつのジオラマは昭和の街並みに鉄道のある風景。
 
次に「昭和レトロ商品館」
カメラ屋、文房具屋、化粧品屋で売られていたものをガラスのケースの向こうに飾っている。
駄菓子屋を再現したものにはガッチャマンにフジカラーの広告ににんじんのポン菓子。
ああ、子どもの頃見かけたなあというものばかり。
文房具屋のケースには何段にもなった筆箱や学研の電子ブロックEX-150とか。
コカコーラのノベルティを集めたカースにはヨーヨーにマジソンバッグにイーグルサムのコップ。
奥の部屋には最後の映画看板絵師として知られる久保板観による映画看板。
伊丹万作監督、原節子主演『新しき土』
小津安二郎監督、原節子主演『東京物語』など。
上の階は雪女の部屋となっていて、小泉八雲の『雪女』の舞台は実は青梅だったと。
地元の「雪女探検隊」によれば青梅のあちこちに雪女伝説があると。
 
最後に「青梅赤塚不二夫会館」
最初の部屋にフィーチャーされていたのはイヤミ。
「シェー!!な壁」にはゴジラが、ビートルズで来日したジョン・レノンが、
大阪万博の時に今の天皇陛下が、シェーのポーズをとったと。
次の間では赤塚不二夫の年表、皆で赤塚不二夫の絵に色を塗ろう、ニャロメなどの猫キャラクターの紹介、
バカボンのパパが「バカな顔なのだ!!」と指さす記念写真コーナー、まねき猫の飾られたバカ田神社など。
2階の階段を上った先には「昭和幻燈館」同様、山本高樹氏によるトキワ荘ジオラマ
藤子不二雄Aと寺田ヒロオが洗面器片手に銭湯へ。藤子・F・不二雄は自室で原稿を書いている。
ラーメン大好き小池さんのモデルになった鈴木伸一が出前のラーメンを待っている。
その隣で赤塚不二夫の部屋を再現。本を積み上げて板を敷いただけの机に残された原稿。
クラシック好きとして知られたゆえか、当時のステレオセット。いや、大型ラジオか?
ちゃぶ台にはバカボンのパパが座っている。
反対側の大部屋では『おそ松くん』『天才バカボン』『もーれつア太郎』などの原画。
当時の単行本など。
写真も多く飾られていておなかいっぱいになるぐらい、赤塚不二夫
1階の売店で思わず、戻っても買えるのに『もーれつア太郎』のニャロメセレクションと
『ギャグゲリラ』選集を買ってしまった。
 
駅前の通りに戻って「ここから」という喫茶店に入った。
ナポリタンが600円。他のメニューもほとんどその値段。安い。
その分女性サイズなので少なかったけど、歩き疲れて小腹を満たすにはちょうどいい量だった。
広い店内はきれいで、静かで、青梅駅前を探索する際に起点とするとよいかもしれない。
 
この時点で16時近く。そろそろ帰り道込むかと青梅を後にする。
塩船観音寺や釜の淵公園、あちこちのお寺はまたの機会に。
光が丘まで40km、高速なら1時間ちょっと。
下道でも1時間半なのでじゃあとそっちにしたら案の定渋滞。
所沢を通るルートで渋滞に巻き込まれる。
Google Maps の渋滞情報を見ながら、見たことも聞いたこともない、
地元の人しか知らないような通りを行ったらかなりスムーズに進んでいくことができた。
新座の辺りから川越街道に戻っていつもの道へ。
 
ライフで食材を買い足して、夜は家で3人で打ち上げ。
昼に買った栃尾の油揚げを焼いたり、
ライフで買った蒲鉾でわさびやワサビ漬けを試したり。
モヤモヤさまぁ~ず、いだてん、芸能人のカラオケ王選手権を後半だけ、
アベンジャーズシリーズのどれかを後半だけ。
23時過ぎ、後輩ちゃんを駅まで送っていく。
6時過ぎに家を出て17時間ずっと遊び続け。
ハードだったけど楽しい一日だった。