日原鍾乳洞

この日、妻と妻の後輩ちゃんと3人でドライブに行くことになる。
行き先を2人に任せて、どこでもいいよーと言っていたら
奥多摩にある「日原鍾乳洞」に行ってみようということになった。
関東一大きな鍾乳洞。おお、それは行ってみたい。というか鍾乳洞自体入ったことない。
しかしその際は早起きしないといけないと。
昨日、羽田からの帰りの大江戸線で調べてみる。あれこれネットを見ていると、
8時より入場開始、その時点で20台ほどの駐車場がすぐいっぱいになってしまうようだ。
山奥で周りは何もないので駐車場待ちで1~3時間待つことになる。
昔は広い駐車場があったようなのだが、東日本大震災の影響で利用できなくなっている。
果たしてどうなるか…
 
前の日は午前0時前には寝て、午前5時起き。
後輩ちゃんには6時半に光が丘まで来てもらって、
練馬ICから関越道に乗って青梅ICで下りる。
この時点で7時半前。
80kmの行程のうち半分が過ぎて、カーナビによる到着予想時刻は8時半。
うーむこれはまずいか。
 
青梅市の市街地を抜けて、青梅線多摩川に沿って青梅街道を走っていく。
ほぼ一本道。青梅街道は新宿からはるばる甲府まで続く。
山奥の青梅は終着点のようでいて、全然まだ途中。
「へそまんじう」や「澤野井」酒造を通り過ぎ、釜飯の店が増えてくる。
気が付くと山の中。道路は狭くなり、渓流沿いのキャンプ場や民宿が見えてくる。
御岳山を上るのか山登りの格好をした人たちばかりとなる。
ダム、そしてトンネルが続く。
川井、古里、川井、鳩ノ巣。この辺りは案外駅の間隔が狭く、2・3分もすると次の駅となる。
いや、信号のほとんどない山間の村の中を走っているので案外スピードが出ているのか。
川井や鳩ノ巣は若い頃、会社の人たちとキャンプに来たことがあるのを思い出した。
終点の奥多摩。途中の駅よりも少し開けているか。民宿が多い。
集落のはずれの斜面が墓地になっている。
巨大なセメント工場。継ぎ足し継ぎ足しで大きくなっていったのか。
宮崎駿のアニメに出てくる複雑な機械のよう。
 
日原街道に入って道はさらに狭くなる。
ところによってはすれ違いのも難しくなる。
バスも運転手と車掌の二人体制。
すれ違いそうになるとバスの方が手前で停車して待ってくれる。
8時を過ぎている。目の前には4・5台走っていて、これ全部日原鍾乳洞に向かうのか…、
駐車場はいっぱいだろうなと心配になる。
いくつかは途中の釣り場に下りていったが、いくつかは結局そのまま一緒に鍾乳洞へ。
 
入口に無線を持った係の人が立っていて、車の通行を制止する。
1台通り過ぎてゆくと通れるようになった。
道が狭いので各所で連絡し合って今は上り、今は下りとコントロールしているのだろう。
少し上って売店、細長い駐車場に着くと満車。
係の人が言うにはトンネルの先にもうひとつ駐車場があってそこに停められるという。
行ってみると確かに30台ぐらい停められるのがあった。半分ぐらい埋まっているか。
よく見たら公式サイトにもそのことが書いてあった。
 
車を降りる。切り立った巨岩の崖に囲まれる。緑が多く、空気が澄んでいる。
小さな川の中にごつごつとした岩場。流木が流れに洗われている。
岩に生えた苔が分厚くなって毛皮のようになっている。
川のせせらぎの音に耳を傾ける。
 
見学料800円を払い、さっそく鍾乳洞の中へ。
年間を通して11℃とひんやりしていて、足元の岩場が濡れている。
僕もスニーカーを履いて、ウインドブレーカーを持ってきた。
香炉岩、船底岩、蓮華岩。
薄暗い灯りだけに照らされて、狭い岩の隙間を屈みながら歩いて行く。
少し開けたところに出てはまた人一人やっとの通路へ。
三途の川、地獄谷、天井知れず…
十二薬師という行き止まりに出る。
見上げると頭上の岩に一円や五円といった硬貨が貼り付いている。
いったいどうやって? よく考えると不思議。
 
4・5階建ての小さなビルがすっぽり入るような広い空間に出る。
真っ暗な中で赤、紫、青、緑の光に照らされている。
幻想的な、初めて見る風景。
石段を上っていった先には縁結び観音が祀られていた。
ルートに沿って歩いて行くと狭い階段を上り下りして金網で遮られたエリアが続く。
天井から、地面から、それぞれ鍾乳石が伸びていた。
昔の人たちは仏像に見立てのだろう。
 
出口に向かい、地上へ。
木々の間の空気を胸いっぱいに吸い込む。
10時前。1時間ほど中にいただろうか。
車に乗って青梅駅へと向かう。
途中、これから鍾乳洞へと向かう車やバスと何度かすれ違うが、
妻はうまく離合ポイントを見つけて立ち往生することはなかった。
すれ違う車は多く、ここから先は駐車場待ちになるかもなと思う。
奥多摩鳩ノ巣、沢井。
澤野井酒造の駐車場も満車。
だいぶおりてきたところにあった「へそまんじう」で休憩。
1個108円、蒸したての饅頭を食べた。
 
青梅駅前に出て、駐車場に停める。
この日鍾乳洞の後は青梅駅前で昼を食べて
赤塚不二夫会館など訪れることにしていた。
(続く)