妻が見てみたいというので借りてきて、、
びっくりした。そして悔やんだ。
俺は何でこんな面白い映画を見逃していたのだろうと。
正直、全く期待していなかった。
井筒監督って言うと深夜番組のけったいなおっさんというイメージで。
もう理屈抜きで面白い。
『岸和田少年愚連隊』なんてストーリーらしいストーリーはなく、
ただ喧嘩に明け暮れているだけ。
なのになんだこの圧倒的な存在感は。
しかもほとんどの登場人物がナイナイの二人を初めとする吉本の芸人で素人。
なのに素人っぽさがみじんも感じられず、セリフ回しも違和感がない。
これって演じ手の魅力を最大限に引き出しているからか。
奇跡というか、この時この場でしか撮れない映画を撮るという
稀有な才能があるんだろうな。
『パッチギ!』も大半が喧嘩のシーンなんだけど
主人公が「イムジン河」という歌に出会い、
クライマックスに歌うという流れがあってよくできている。
在日朝鮮人と分かり合えるのかという永遠の問題にも
自らのスタンスを出すことで
『岸和田少年愚連隊』と比べて格段に奥行きが生まれている。
映画の中心に歌がある、というのが強い。
「イムジン河」に全てが集約されているだけではなく、
オダギリ・ジョーの歌う「悲しくてやりきれない」も
映画にスッと寄り添っていた。
音楽はフォーク・クルセダーズの加藤和彦が担当してるんですよね。
とりあえず妻とは、もう一度見ようと。