9月末、休みを取って青森に帰った。
夕食後母から、わからなかったところをやってほしいと新聞のクロスワードパズルを渡された。
なかなか難しく、結構時間がかかった。
ネットで調べれば簡単だけど、それでは意味がない。
どうにもならず、妻には LINE で聞いてみたが……
何年ぶりだろう。
はまると分かっていて遠ざけていて、ようやく自分に解禁したというか。
語彙と機転、発想力を問われるのでこんな面白いものはない。
毎日新聞のは最近話題のワードが取り上げられたり、
ヒントの出し方も視点のひねりが随所にあってこの言葉をそんなふうに言い表すかと。
よくできてるなあといつも感心する。
今も専門誌が出てるのだから、
プロのクロスワードパズル作家として食っている人もこの国に10人ぐらいはいるんじゃないか。
右手に広辞苑、左手に検索ワードランキング。憧れる。
いや、そんなに金にならないか。きっと副業で、趣味で作っているという人がかなりいるのだろう。
クロスワードパズルを作り続けて、10年20年ともなると
辞書を作る作業を全く逆方向からのアプローチから行っているようなもの。
自分の中の語彙の地図を開拓し続ける毎日。スポーツ、芸術、歴史。荒野はいくらでも広がっている。
同じ単語を取り上げるにしても
あの時はこういうヒントにした、この時はこういうヒントにしたとほのめかし方を変える。
それは言ってみればその単語の定義をメタファーで行うようなもの。
その気になればクロスワードパズルのヒントを集めて辞書を作ることも可能なのではないか。
集めて分類するだけでも20年ぐらいかかりそうだけど。
あ、それこそAIがやればいいのか。スキャンして取り込んでビッグデータを作って。
AIを進化させるのって、「Aの定義はBである」という直接的なものをたくさん蓄積させるよりも
クロスワードパズルのヒントのようなほのめかし、暗示にたくさん触れて
そのロジックを分析させることなのではないだろうか。
AIにつくらせる、あるいは、AIと人間とでどちらが速く解けるかを競う、
ということをしてみたら面白いんじゃないかと思う。