長い散歩

妻から聞いて、須藤真澄という漫画家の『長い長い散歩』という作品を読んだ。
長い間飼っていた愛猫が亡くなって、という話。
悲しいというよりも心の中にぽっかりと穴が空く感じ。
思わず泣けてくる。
 
自分もみみたもまだ若いと思っているうちにあと10年なんてあっという間なんだろうな。
みみたにもその日がやってくる。
その時僕は、妻は、すんなりと受け入れることができるだろうか。
 
仮に10年後としよう。
僕は55歳になっている。
次の猫を飼うのだろうか。迷うだろう。
そこから10年、15年、どちらが先に死ぬかもはやわからなくなっている。
最後に猫が残されたらかわいそう、という可能性も考えないといけない。
僕にとってみみたが最初で最後になるかもしれない。
生涯一猫。
 
そう思ってしんみりとする横でみみたがストーブの前で丸くなっていて、
それが今思いっきり爪を立てて僕のジャージをバリバリと。相当痛かった。
朝は珍しく布団の中に入って来て足のつま先をガブガブ。
冷え込んだからかな。そして僕が寝返りをうったら足で蹴ってしまったか。
そんな日々もいつか終わりが来てしまう。
 
みみたがこの家に来てからの日々はそれこそ長い散歩のようだ。
今日は機嫌が悪いのか、やたらと噛みついてきて爪を立てて。
ボールを投げても見向きもしない。
 
いつまで元気でいるのかな。
僕も妻もいつまで元気なのかな。
僕が先に逝くことのないよう、健康には気をつけないといけないと思う。
 
仕事で遅くなって終電で帰るという妻に、みみたの寝顔の写真を送る。
長い散歩。二人と一匹で散歩。