動物病院へ

みみたを年に一度の検診へ。
毎年苦労するが、今年もなわけで。
ネットに入れようとすると勘づく。
爪を立て、全力で逃れようとするのを2人がかりでなんとか押し込む。
さらにキャリーバッグへ。
もぞもぞと動いて、ニャア―ァ、ニャア―ァ、切ない声を上げる。
車の後ろの座席に座ってバッグ越しにみみたを撫でる。
家を出てしばらくは鳴いているが、曲がり角を曲がって大通りに出るとピタリとやむ。
家の匂いから遠ざかって諦めがつくのだろうか。
 
動物病院は9時から。
9時半に着いたら席がいっぱい。
犬を抱えた人、猫のケージを抱えた人、3組ほど先に待っている。
僕はみみたのバッグをさすり続ける。
 
診察室から黒の大きなラブラドルレトリバーが出てきて、
ドアの前に座っていた僕にすり寄ってくる。
飼い主のおじいさんが慌てて引っ張る。
終わって帰るのではなく何かを待っているようだ。
そのおじいさんがリードを壁の金具に引っ掛けると
僕に向かって「向かいのドミノピザに予約してくるんで」
え? と思う間もなく出ていった。
ラブラドルレトリバーも後を追いかけようとして吠える。
飼い主がいなくなって不安になったのか落ち着かない。
院長先生の奥さんが出てきて、抱きかかえてなだめる。
診察室では猫の採血をしていたようだ。
 
おじいさんが帰ってきて、奥さんからも先生からも注意される。
そんなこともつゆ知らず、ラブラドルレトリバーはおとなしくなって床に寝そべった。
妻がおじいさんに話しかけ、9ヵ月の雌と知る。
採血検査の結果が出て問題なしとなり、一晩預かって手術となった。
妻曰く、不妊治療だろうと。
 
犬の検診が2組続いてみみたの番へ。
体重は 5.6kg と特に前より増えてはいない。
目やにがないか、下痢してないか、歩き方がおかしくはないか、
いろいろと質問されて特にこの1年問題なしと答える。
水を飲む量が増えたかも、というぐらい。
腎臓や甲状腺の疑いがある。
まずはいつもの血液検査をしてみて
肝臓の数値が高かったら甲状腺の検査をしてみますか、となる。
5種のワクチンを打って、血液検査。
診察台の上のみみたはおとなしくなってなすがまま。
おりこうさんですね、と声を掛けられる。
家を出るときは大変だったのに。
 
検査の結果が出るまで1週間かかるのでまた後日来ることにする。
また車に乗って帰る。
フクパンに寄って妻が海老カツサンドやコロッケサンドなど買う。
家に着いて玄関でバッグとネットから出すとみみたはピューッとどこかに消えた。
僕らがパンを食べているとみみたが2階に上がってきた。
裁決をした後ろ脚をペロペロと念入りに舐めている。
その腹が小刻みにヒクヒクしていて、ああ、体内でワクチンと戦っているのだろうと。
要注意の時間帯と鳴門接種から30分を過ぎて特に異常なし。
しかし落ち着かないのか、あちこちで丸まっては場所を変えるということを繰り返している。
明後日まで3日間は目を離せない。
基本的に僕が家にいて、みみたの側にいることにする。