としまえんへ(前篇)

としまえんの閉園が今年8月末と早まって、
妻の後輩の子から行きませんかとお誘いが。
小さい頃、青森から上京した時、祖母は必ずとしまえんに連れて行ってくれた。
懐かしい場所だった。最後に訪れたのは中学一年生の時か。やはり祖母と。
その後、大人になってからは一度も訪れていないと思う。
 
10時のオープンに合わせていくと検温のテントが設置されて
そこまで少し行列になっていた。
それを抜けるとチケットブースも混雑。
行楽地への自粛も緩和されて
ようやく遊園地に行けると喜んでいる家族やカップルばかりなのだろう。
 
マスクをしていない若者の姿をチラホラと見かける。
大丈夫かな、と心配になる。
もう終わったと思っているのか。
曇りだけど蒸し暑い日でマスクをしていると暑いからか。
この日東京の感染者数は50人を超えて、
こういった遊園地がクラスター化するのもありえないことではない。
 
入園するとマスコットキャラクターの
エルちゃん(馬の方)、カルちゃん(豚の方)の張りぼてのような飾りがお出迎え。
同じように植物の飾りも。手作り感がある。
園内全般的に遊具そのものは事故のないようにメンテナンスは欠かしてないだろうけど、
スタッフ控室となる建物を覆う洋風の装飾であるとか、
乳幼児用の壁を空気で膨らませた巨大迷路であるとか、
あちこち傷だらけで埃っぽくどこか薄汚れている。
予算も限られているだろうしディズニーランドのようにはいかない。
どこかうら寂しい雰囲気がある。
ハリポタ園になるから閉園するのではなく、閉園するからハリポタ園になるのだな……
 
しかしそれが昔ながらのとしまえんのよさであったようにも思う。
行列の入場制限をかける赤いバンドもよくみると端の方の補強が手縫いで。
不器用な男子学生が生まれて初めて針と糸を持ったかのような。
こういうのをあちこちで見かけて、がんばれとしまえん、と思う。