嗅覚について

前に書いたことかもしれないが、鼻が全然利かない。
比ゆ的な意味ではなく、言葉通りの意味で。
小さい頃蓄膿症でしばらく通院したことと関係するかもしれない。
 
逆に妻は敏感で、洗濯物の生乾きの臭いや
クリーニングせずに長いこと使ってきた絨毯の臭いをとても嫌がる。
なのに僕はそれが全く分からない。
いいことなのかどうか。
昨晩は山梨から桃が届いて、箱を開けた途端妻はいい匂いがすると喜んだが、
僕にはそれもわからなかった。
でもまあいいかとも思う。
 
食べ物が腐っているとか、この炭鉱にはガスが漂っているとか、
本来人は嗅覚で危険を察知してきた。
その能力が著しく低いというのは生死を左右することにもなりかねない。
いざというとき、僕はこの退化した嗅覚によりあっさり死んでしまうかもしれない。
 
そう考えると健康診断で嗅覚検査もやるべきなんだけど、ついぞ見たことがない。
ある種の果物を人工的に再現した匂いを何段階かで嗅いで、匂いがしたというと手を上げるとか。
でもそれも前の匂いが鼻の奥に残ってよくわからない、ということになって難しいのだろう。
調香師はどうしているのか。自分には絶対できない職業。
 
今のような高い衛生管理のできなかった近代西欧では
生活に伴う悪臭が今では考えられないほどひどく、
ゆえに貴族たちの間に香水をつけることが大流行し、
調香師がもてはやされたという。
 
夏が近づいて、生ゴミは燃えるゴミに出す日まで
冷凍庫で凍らせて保管してほしいという。
青森の母だってそうしてたじゃないかと。
昨年から再三言われたが、食べ物を保存する場所に生ごみなんか入れたくはない。
ずっと無視して構わずキッチンのゴミ箱に捨ててきたんだけど、
昨晩開けた妻がひどい臭いがすると。
だけどそれもわからない。
 
僕にはその臭いがわからないから適当にするというのを妻は嫌う。
まあ、そうだよな……