奥多摩へ(前篇)

この土日は奥多摩の小さな温泉宿へ。
行けるときに行っておくかと前々からこの時期にしてたんだけど、
明日、日曜から東京都に何度目かの緊急事態宣言が出るというタイミングで。
滑り込んで無理やり遊んでいるようで、どこか心苦しい。
 
元々は長野県上田市にある練馬区の保養所に行くつもりだった。
温泉のある少年自然の家みたいなもので、練馬区民だと安く利用できる。
しかし、二週間前か、東京都にもまん延防止措置が取られることになって
県をまたぐ行為に当たるため当面営業休止となってしまった。
キャンセルの電話がかかってきた。致し方なし。
 
同じ東京都だったらいいか、車で移動してひと気のないところだったらいいか、
小さな温泉宿ならばディスタンスも取りやすいかと妻が見つけて、予約し直した。
3室しかない。一時は満室になったが、昨日見たら1室空きが出ていた。
緊急事態宣言のこともあって直前になってキャンセルしたのかもしれない。
宿のサイトを見てみると、このご時世なので
前日までのキャンセルはキャンセル料をいただかないとあった。
旅館業も大変だ。僕ら素人が思っているよりもかなり、大変だ。
 
午前中には奥多摩に着いてブラブラしたい、
クラフトビール醸造所があるみたいなので行ってみたいと思って
一昨日、チェックインの前に駐車場を借りてもいいかと電話してみた。
快くOKをもらえたけど、キャンセルの電話かもしれないと宿側はびくびくしたことだろう。
なんだか申し訳ないことをした。
 
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7時起き。
ペットシッターを頼んでいるのでリビングを中心に家の片付け・掃除をして
洗濯物を干しているうちに10時半。
久しぶりにみみたの給餌器に電源を入れるとさっそくみみたがガシガシする。
ガソリンスタンドでガソリンを足して、
近くのライフで缶ビールや缶チューハイを買い込んでクーラーボックスに入れておく。
練馬インターから所沢方面、西へ西へと飛ばして圏央道を青梅方面に南下。
渋滞となることもなく1時間もしないで青梅で下りる。
 
市街地を抜けると、あとは一本道をひたすら奥多摩へ。
昨年だったか、日原鍾乳洞に行ったのもこの道だったな。
軍畑、沢井、御嶽、川井、古里、鳩ノ巣青梅線に沿って進んでいく。
どんどん山は深くなり渓谷と大きな橋と。
川辺ではキャンプや釣りをしているのが見える。
鳩ノ巣の辺りでトンネルが出てきて、ダムもあった。
13時前。奥多摩駅まですぐだった。
 
宿が駅の近くで、車を停めさせてもらう。
「岡村様」と書かれた札がひとつ下がっているだけ。
どうも今日泊まるのは僕らだけのようだ。貸し切り。
 
歩いて駅前に出る。
小さな飲み屋の集まっている小路を歩いていると奥に
探していたクラフトビールの店があった。
「VERTERE」という。古い民家を改装した店舗。テラス席もある。
満席で少し待つと外のすこし離れた席になった。
キャッシュオンデリバリーで都度カウンターに頼みに行く。
僕らは牛肉のトマト煮込みやカリーブルスト、
チキン・フィッシュ・フレンチフライのフライバスケットを食べて
ビールはカルダモンや胡椒の入ったもの、オーツ麦から造られたものなどを飲んだ。
料理はどれもおいしく、地ビールも味わい豊か。
川の近くで眺めもいい。
飲んでいると時折、近くの木々から実が落ちてきてグラスの中に入った。
 
食べ終えて駅前に出る。
折りたたまれてカバーをかけられた自転車や登山客たち。
広場に出てきたワゴン車ではわさび丼を売っていた。
この辺りはわさびが名産なので明日買って帰りたい、と妻が言う。
先ほどの「VERTERE」のボトル売りの小さな店もあった。
 
観光センターがあったので地図をもらいに行く。
妻が窓口の人に聞くと30分で自然を満喫できるコースというのを
地図にマーキングしてくれた。
その通りに歩いてみる。
すぐ近くに北氷川橋というのがあってその手前から川原に下りることができた。
日原川。水が想像以上にきれいで透き通っていて、見ていると心が洗われる。
釣りをしている人やキャンプをしている親子連れがいた。
整備された小道を歩いていると西洋アカネやシャガが小さな花をつけていた。
 
引き返し、奥氷川神社から氷川小橋という緑に包まれた吊り橋を渡る。
ここで多摩川と合流する。源流に近いとこうもきれいなものなのか!
力強く根を生やした巨木がいくらでもあった。
もうひとつ登計橋という吊り橋を渡り、山間の遊歩道を歩き、
赤く塗られた昭和橋を渡って戻ってきた。
水がきれいなので昭和橋の赤が水面に映っている。
周りを歩いているのはトレッキングを終えて帰ってきた人たちばかり。
今度はできれば2泊して、一日かけて近くの山を歩いてみたい。
 
宿へ。チェックイン。
開いている他の部屋は会議や休憩などで使われているだけで
やはり泊まっているのは僕らだけのようだ。
まだ明るいうちに温泉に入って、夕食までをゆっくり過ごす。