「奥多摩ブックラウンジ」

昨日は3か月ぶりに「奥多摩ブックフィールド」へ。
 
廃校となった旧小河内小学校の校舎の部屋を2018年から借りて毎月第一土曜に開いている。
元々は出版年鑑を出していた出版ニュース社が2019年に廃業するのを受けて
その蔵書を散逸させたくないという思いで、この校舎に膨大な量の書籍が運び込まれた。
出版、流通に関する資料となる本や出版ニュース社が発行してきた本。
雑誌の創刊号のコレクションもあるという。
それらをアーカイヴ化してラベルを付けて校長室に図書館のように並べる。
その作業を少しずつ進めてきて足掛け3年で一区切りついたということで
この日、「奥多摩ブックラウンジ」というイベントが開催された。
 
・「本についてあれこれ・出版年鑑の歴史など」小林昌樹氏(近代出版研究所長)
・「出版ニュースと出版年鑑」清田義昭氏(元出版ニュース社代表、多摩デポ・共同保存図書館)
・「出版ニュースアーカイブ・データベース化について」堀渡氏、蓑田明子氏、ほか(多摩デポ・共同保存図書館)
 
奥多摩湖に近い、山の中の廃校。
冬ともなればトイレの水も凍るとのことで、12月から1月にかけてはクローズとなる。
8月にも一度お邪魔したけど、年内最後ということで行ってみようということになった。
 
紅葉シーズンで混んでるかもしれないと9時に家を出て練馬ICから関越道に乗って
鶴ヶ島JCTから圏央道へ。青梅ICで下りる。
途中までは調子よかったが、川越から先、鶴ヶ島までが事故渋滞。
抜けて、狭山PAで休憩。
光が丘公園のBBQエリア、12月分の予約がこの日の10時から。
トイレに出てきたところでそのタイミングが来て、妻に何日がいいか聞きそびれているうちに
3分後には全ての土日の予約が埋まってしまった。
最後に残ったのは24日(土)で、あ、ここいけるかな、と思いつつも
もう一度更新ボタンを押したら残席なしとなってしまった。
 
青梅市街に入る。
妻がドラッグストアに立ち寄る。
映画のポスターを猫に置き換えた看板が見えてきて、
あとは奥多摩駅手前までほぼ一車線の一本道。
帰りのガソリンが不安だと
キャンプ場やフィッシングセンターのエリアに入る手前のところで見かけた
田舎のガソリンスタンドに入れた。
20リッターで3,500円ほど。1リッター175円は高いが、致し方なし。
タンクには40リッター弱入る。
半分以上減ったところで20リッターなので満タンにはならないはずが満タンに。
あれ? と思う。サービスで多めになのだろうか……
しかもこのガソリンがどこまで走っても減らない。
異音や異臭はなし。
帰り道さすがに怖くなって、キャップが開いてるんじゃないかと確認するが素人目には異常なし。
謎。無事帰りつくことはできたが。
 
山道を行くため前の車が安全運転ということはあったものの
特に渋滞ということはなく、奥多摩駅周辺、その先まで行くことができた。
オレンジ色に染まった木々と緑のまま木々が重なり合って迫力あるコントラストを作る。
目の前に迫る山が、すぐ脇の谷が、紅葉に包まれている。
手前の澤乃井酒造はおそらく木々の1本ごとに計画的に風景を作ってるんじゃないかな。
モミジの赤も美しく配していた。
 
奥多摩湖に出て、8月にも入った「のんきや」へ。
道路を挟んで湖に面した4人掛けのテーブル席は全て埋まっていて、
端の方の大きな8人掛けのテーブル席と小上がりだけが空いていた。
テーブル席にした。
半分ぐらいの方が年配の男性でバイクのヘルメットを抱えている。
ツーリング途中で立ち寄るのだろう。
妻はチャーハン。僕は味噌チャーシュー麺に味玉、バター、コーンを追加。餃子も。
チャーハンは小ぶりながらぱらっとしておいしい。次回食べようと思う。
チャーシュー麺も平打ちの自家製。
 
店から西へ5分ほどの、真っ赤な峰谷端で車を停め、湖面に映る紅葉を見てから
旧小河内小学校へ。
前回もそうだったけど、どこかの専門学校が2階を借りて授業を行っていた。
たくさんの若者たちが昼休みでグラウンドに出てサッカーをして遊んだり、
その後はビニールシートを広げて弁当を食べていた。
校庭の脇には柿の木がたくさんの実をつけていて、それを収穫している年配の方もいた。
 
校舎入り口で「おくたま文庫」さんが古本を段ボールに詰めて売っていた。
阿部公房『カンガルー・ノート』(100円)
山下洋輔『風雲ジャズ帳』(100円)
嵐山光三郎『新素人包丁記 海賊の宴会』(250円)
和田誠三谷幸喜『これもまた別の話』(250円)
他、校長室のアーカイヴの隣が古本屋兼ギャラリーの職員室となっていて、こちらでも。
ルイ・カストロボサノヴァの歴史』(200円)
松田哲夫『編集狂時代』(200円)
6冊でなんと1,100円。
しかも『ボサノヴァの歴史』は amazon で今、5,000円ぐらいの値段がついている。
すごい収穫だった。
 
その「おくたま文庫」の淹れたコーヒーを飲みながらイベントに参加。
13時より。定員20名となっていて、オーバー。
校舎の他の部屋から椅子を探したり、僕らは台の上に座った。
出版年鑑の歴史について語った小林昌樹さん。
立ち読みは日本独特の文化というところから始まって、
昭和7年版の出版年鑑、昭和9年の古本年間(落札価格など)、
出版年鑑に掲載された訃報の一覧をまとまた同人誌など貴重な資料について
何ともマニアックな話を伺った。これらの貴重な本も回ってきた。
 
清田義昭さんは当時の世相を絡めた出版ニュース社の、日本の出版流通の、歴史。
雑誌が売れて書籍が売れなくなった「雑高書低」の時代を経て
インターネット、amazon の台頭でまた風向きが変わって。
日販・トーハンらの取次業界の再編もあって。
再販制度をどう見直すかが今後のカギだという。
一冊の本が手に届くというのも印刷・製本技術や流通技術の進化を経て、
という総合的な視点で捉える。
「あえて言えば出版文化は壮大な無駄、しかしそれを持てることが大事だ」
という発言が印象的だった。
 
堀渡さん、蓑田明子さんによる
出版ニュース社の蔵書のアーカイブ・データベース化についての話も面白かったな。
通常の図書館の逆の作業を行ったと。
普通は図書館に本が入ってきてデータ化してラベルを貼ってしかるべき棚に置いていくけど、
ここではまず大量の本が未整理な状態で棚にまず詰められ、それを後から分類して並べ直した。
その作業が今も続いている。
最初の年は大雨で湿気で本がやられ、カビ取り作業もという大変さもあった。
僕らも月一で手伝いに行こうかな、と妻と話した。
 
校舎を出たのは16時。日も暮れかけてだいぶ寒かった。
周りはダウンジャケットの方も多かった。
僕は薄着でしかも換気のためにつけた扇風機の隣。かなり寒かった。
(外で若者たちはTシャツ1枚で体育をやってたが……)
昼間に日の出た11月初旬でこれだけ寒いなら真冬は相当寒いのだろうな、と思う。
 
帰り道は奥多摩駅周辺に出るまでは渋滞というほどではないものの
車が連なってゆっくり。
その後は時折短い渋滞にボチボチ巻き込まれたものの概ね順調。
20時には家に着いた。
途中、青梅駅前の「まちの駅」でチューブに入ったすりおろしわさびを買ったり、
ブックオフの青梅店に入ってみたりした。
その分を抜くと下道で3時間か。
その多くが青梅街道の旧道に出たり新道に入ったりの繰り返しだった。
青梅街道、旧青梅街道、新青梅街道の違いがよくわからず……