青森へ(2日目)

昨晩は人間椅子の30周年記念本を読み終え、
佐伯一麦『ア・ルース・ボーイ』を読んで胃うるちに眠くなって
22時には布団に入った。
 
6時に目が覚める。
母は既に台所や洗面所の掃除を始めている。
布団をたたんで『ア・ルース・ボーイ』を読み終える。
 
朝食は昨晩のカレーの続き。
野菜サラダ。ソーセージとゆで卵を添えている。
家中に掃除機をかける。
新しい掃除機になって軽く、パワーもあった。
 
この日は散歩がてら新町を。
9時前に家を出る。
風が強い。目の前を歩いているじさま(爺様)が飛ばされそうになっていた。
女の子も髪を抑えている。
 
いつものように本町のスナック街を歩く。
この2年間、大変だったろうと思う。
貸店舗の貼り紙をあちこちで見かける。
閑散を通り越して色あせ、崩れ落ちそうになっている。
歩く人はほとんどいない。
なのにタクシーが停まって店の中から出てきた若者たちが騒ぎながら乗り込もうとしていた。
こんな時間まで飲んでいたのだろうか。
僕の住んでいた近くにあった本屋が古びてあばら家のようになっていた。
そこから出てきたおばあさんがよろよろとゴミを捨てていた。
 
港に出る。
冷凍倉庫の大きな建物。
クルーズ船のターミナルと公園。
あまりにも風が強く、マスクが耳からちぎれ、iPhone も手からもぎ取られそうになる。
後から妻が調べたところでは青森市に強風警報が出ていた。
巡視船なのか一隻だけ停泊している。
アスパムに向かって遊歩道を歩く。
公園にオットセイの象が並んでいた。
 
アスパムの裏には白い四角形のねぶた団地が組まれていた。
そのそれぞれの小屋の前にライトバンやトラックが停まっていて
ああ、今年はねぶたを作るんだな、ねぶた祭があるんだなということを知る。
 
八甲田丸に出て、かつての青函連絡船乗り場の二階通路に上がる。
青森駅の日本一長いとされたホームを見下ろした。
反対端まで行くと青森マリーナというヨットハーバーがあった。
漁船ではなくヨットでもなく、あれは小型船か。
白いのが二十隻ぐらいか、入江を取り囲むように、
陸に上げられ台に固定されてびっしりと並んでいる。
いつどこで誰が乗るんだろう。陸奥湾の中か。
そんな金持ちがたくさんいるのか。
 
10時になって A-FACTORY に入る。
熊本の父母へ、妻がいる間に間に合うようにシードルのボトルを送る。
縄文酵母のシードルというのがつい先日発売されたようで、それを自宅用に買う。
他、アカシアの花のハチミツ。
A-FACTORY の小さなトートバッグ。
 
アウガの地下の酒屋で、青熊書店のブックエンドの代わりにと
日本酒の小さなサイズのボトルとカップ酒を買う。
丸竹酒造店の清酒菊盛。
八戸酒類の如空(五戸のおんこちゃんというキャラクターが描かれている)
六花酒造の蔵子。
 
アウガを出てニコニコ通りへ。
まだ11時前だというのに市場ののっけ丼が中で行列になっていた。
昨日新町を歩いた時には閑散としていると思ったが、
観光客はこういうところに一極集中していたのだな。
母から聞いた、またたびの木を売る店を探すが見つからず。
リンゴを扱う青果店と花屋だけが通りで営業している。
 
成田本店に入って3階の PAX へ。
楽器売り場はもうなくなったんだな。だいぶ昔のことか。
そこに地下の PAX が移ってきた。
今は地下の売り場は使われていないのだろう。
もしかして青森市でCDを売っているのって今は PAX だけ?
なんか買って売上に貢献、灯を絶やさないように応援と思って棚を見るが、
取り立てて今欲しいものはなく。
伊奈かっぺいのかつてのトークライブ「にぎやかなひとりごと」など旧作がCD化されている。
人間椅子を見てみたら5枚ほどあった。
 
味噌カレー牛乳ラーメンを食べようと味の札幌に行くが、
11時過ぎの時点で満席で行列。
いつのまにそんな人気店に??
またの機会にしようと夜店通りを横切ってくどうラーメンへ。
夜店通りも僕が学生時代の時には古着屋のメッカのようになっていて
ゴールデンウィークに帰ると賑やかなものだったけど。
 
くどうラーメンは中三の裏から移転していた。
こちらはまだそんな混まない。
チャーシュー麺に味玉とメンマを追加した。
大でちょうどいい量。
優しい煮干しに若干濃い目の醤油。
おじいちゃんおばあちゃんと家族三代で来る店。
健在でよかった。
 
今回の帰省の目的の一つ、古書らせん堂へ。
あまりの品ぞろえの良さにいつもクラクラする。
何を買うか決めきれず、今回は映画の棚から3冊。
『あおもりシネマパラダイス』(東奥日報社、『八甲田山』『飢餓海峡』など青森が舞台の映画の紹介)
沢田康彦など『映画的!』(フィルムアート社、装丁は玖保キリコ
高野悦子『私のシネマライフ』(岩波ホールの)
ちくま文庫から出ているつげ義春など文芸ものでは新品も扱っていた。
 
店主の方と少し話す。
帰省の度に必ずここを覗くようにしている、2年ぶりにようやく来れたと僕が言うと
コロナ禍で青森も大変だったと。
僕が東京に住んでいると知ると
「先週実は行ってきたんですよ。不忍ブックストリートが3年ぶりに開催で行ってみたくなって。
でも東京に泊まるのは怖かったので日帰りで帰ってきました」
 
そのまま成田本店へ。
郷土本のコーナーで青熊書店に並べる本の候補を探す。
津軽書房だけではなく、北方新社、北の街社、路上社、白神書院
といった地元(青森・弘前)の出版社を知る。
いろいろ迷って3冊選んだ。
フナキトキコ 『ALLO: ALLO』(北方新社、途中で天地逆になって両サイドから読むという小説のようだ)
『顔ハメ百景 青森【最果てワンダー編】』(阿佐ヶ谷書院)
北彰介編『復刻改訂版 青森県の怪談』(白神書院)
 
さくら野で母に頼まれた買い物をして帰ってくる。
酒屋にも寄って13時半には家に着いた。
風が強く、思ったよりも暑く、今日は飲まないつもりが缶ビールを飲む。
買ってきた本をめくってみる。
 
夜は引き続きカレーの予定。
酒を飲みながら本を読んで過ごす。