故郷もの

次に書く小説のことを考える。
故郷というものについて三者三様。
 
主人公の男性は高校を卒業して大学入学のため上京。
社会人になる頃父が亡くなる。
母は嫁いだ先の、心の底では異邦人のままだった土地を離れて故郷に戻った。
その母も今病床にあって、長くはない。
主人公はふとしたことから十数年ぶりに故郷を訪れることになる。
かつて住んだ家はなく、駅前はシャッター街になっている。
 
もうひとり。男性。
その土地で家業を継いで暮らしている。
若い頃は家を出て東京に出ることばかり夢見ていたが、
40を過ぎた今、かつてのような気持ちはない。
その土地の論理でものを考え、その土地の言葉で話す。
ゆえに無口でひねくれているように見える。
兄は県庁で働いていて、弟は警察で働く。
若い頃に同級生と結婚して、子供が二人いる。
実家とは離れたところに家を建てた。
 
もうひとり。女性。
東京から縁あってIターン。
たまたま旅先で訪れたのがきっかけで、とか。
その土地の言葉はわかるが、自分からは話そうとしない。
ゆえに溶け込めない。そこで壁をつくっていることに気づいていない。
農業よりは伝統工芸のほうがいいだろうか。
いや、IT業界に勤め、地方のデータセンターに赴任して
その土地の魅力に気づいて骨をうずめる覚悟を決めた、という方がいいか。
(しかし現実に気づいて東京に戻ることになるだろう)
 
この3人が出会う。
舞台は東北、青森になるだろう。
(ちなみに今、県の採用情報の公式情報を見てみたら
 建設業、IT、自動車販売、自動車部品、飲食店、水産加工、バス・タクシー、介護、など)
 
もうひとりの男性と女性が恋仲(不倫)になるが、価値観の違いで破局になるとか。
主人公と男性は小学校・中学校と一緒だった。
高校で主人公は進学校に通い、男性は工業高校へ。その後就職。
 
何かこう、核になる出来事が必要。意外な事件に巻き込まれるとか。
あるいは3人がねぶたをつくることになり、試行錯誤しながら少しずつ出来上がっていくとか。
それがいいか。だとするとクライマックスはねぶた祭りとなるだろう。
(だとすると主人公は数日の旅行ではなくて、半年ほど長期出張がよいか)
 
遠景に置くものとしてやはり、先の見えない地方の不景気だろうか。
東京や大阪、京都ばかりがもてはやされ、日本そのものであるかのような扱いを受け、
その他大勢の地方は名前はあるけど無名のまま、置いてけぼりとなってしまう。
 
3人で竜飛岬や恐山を訪れるエピソードであるとか。
主人公が高校の同窓会の総会の幹事学年になるとか。
なぜ青森駅に新幹線が停まらないのかとか。
にゃんごスターの中の人は友達の友達だとか。
金木のストーブ列車のこととか、青森駅前のホタテ釣りのこととか。
青森市は煮干しラーメンで有名だけど、車がないと有名店が全然回れないとか。
青森港近くの広場に小学生のつくるねぶた灯篭が飾られているとか。
青森市のスモールシティ構想の失敗のこととか、
青森駅アウガの1階から上のショッピングフロアが閉鎖され、地下の市場も撤退が相次ぐとか。
青森駅前中三が店を閉めて(サテライト店は残る)、
これで残るデパートはカネ長を受け継いださくら野だけとなったこととか。
 
男は主人公と車で竜飛岬を回るという名目で泊まりの旅行に出かける。
しかし、一緒の部屋に泊まるのはもうひとりの女性とで、
主人公は一人で過ごす。その目に映る青森の風景。
この旅行のことが男の奥さんにばれる、など。