先週買ったCD #83:2022/05/09-2022/05/15

2022/05/10: www.amazon.co.jp
The Charlatans 「Tellin' Stories Anniversary Edition」 \1922
 
2022/05/10: diskunion.net
John Hiatt 「Bring The Family」 \3500
Coil 「Astral Disaster」 \2800
Coil 「Astral Disaster Sessions」 \1800
House of Love 「Live at the BBC」 \680
 
2022/05/11: www.hmv.co.jp
The Devil Dogs 「Devil's Hits」 \770
 
2022/05/13: diskunion.net
忌野清志郎 「Wanted」 \5250
 
2022/05/14: diskunion.net
Charlie Hunter 「Natty Dread」 \480
Simply Red 「New Flame」 \1200
 
2022/05/15: diskunion.net
fishmans 「New Yankee's Holiday」 \2450
fishmans 「Orange」 \2250
 
2022/05/15: www.amazon.co.jp
Toshio Matsuura Group 「Loveplaydance」 \575
 
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忌野清志郎 「Wanted」
 
日本を代表するロックミュージシャンは誰か、と問われたら迷わず忌野清志郎と答える。
僕に限らずそんな人は多いと思う。
フジロックでの矢野顕子との共演やチベタンフリーダムでブルーハーツの梶くんと。
何度かそのステージを見た。
見ることができてよかった。何ともかっこいい大人だった。
僕にとって憧れの大人像は忌野清志郎ということになる。
 
あのときのフジロックはグリーンステージ。
前から2番目で見ていたらキヨシローがピックを投げた。
それが足元に落ちた。
え!? と驚いているうちに隣に立っていた女の子がサッとつかんでしまった。
あれは一生の不覚。
 
ロックに興味を持った頃、RCサクセションというやばい存在があることをうっすらと知る。
しかし他の売れてるロックバンドと違って
ベストテンとかトップテンとか音楽番組に出るわけではない。
なんだろ、なんだろ、と思っているうちに1988年の「Covers」発売中止事件。
”ラヴ・ミー・テンダー” という曲で原発反対を歌って賛否両論、大騒動が起こっていた。
すったもんだのあげくインディーズで発売されると今度は
The Timers という覆面バンドが現れ、全国の学園祭にゲリラ出演。
フラストレーションの掃き溜めのようなライヴを行っていると雑誌を読んで知る。
日本は、日本のロック界は、腐ってると。
その一方でThe Monkees のカバー”Daydream Believer” のシングルを出すと
かわいらしいエバーグリーンなポップスでヒットした。
僕も最初に聞いたのは中学校の友人から数百円で買った The Timers のアルバムだった。
(21世紀の今、The Timers のイラついた雰囲気は写真でしか残らず、
 ”Daydream Believer” の楽曲のイメージで覆われていることを思うと隔世の感がある)
 
以来RCサクセションと、忌野清志郎の音楽と共にあった。聞き続けた。
”スローバラード”は日本ロック史上最高の歌詞だし、
”雨上がりの夜空に”はカラオケの最後に必ず歌いたい。
カラオケと言えばその時々のあれこれを
”いい事ばかりはありゃしない”の替え歌でよく歌っていた。
忌野清志郎画報 生卵』も『瀕死の双六問屋 完全版』も『十年ゴム消し』も読んだ。
亡くなられた後の追悼本を rockin'on が出したのも
ミュージック・マガジンが出したのもどちらもすぐ買って読んだ。
こんなに早く亡くなられるとは思わなかった。
自転車に乗って全国を旅して歌って回る、素敵なおじいちゃんになるのだと思っていた。
 
「WANTED」は2009年に亡くなる直前、2008年の暮れに発表されたライヴアルバムとなる。
2004年の「King」のツアーの最終日、渋谷公会堂で収録。
 
RCサクセションのライヴアルバムは
「King of Live」(1983)であったり、「the Tears of a Clown」(1986)であったり、
それこそ変則的だけど「Rhapsody」(1980)があったりと代表作がすぐ思い浮かぶ。
しかしソロだと、生前にも何枚も出しているのにこれ、という決定打が出てこない。
Booker T. & THE MG's とやった「Have Mercy!」はバックが大御所の外国人だし、
The Timers 「復活!! The Timers」や「不死身のタイマーズ」(それぞれ1995)は
ソロというよりもひとつの個性をもったバンドのライヴ。
中井戸麗一との「Glad All Over」は別格で素晴らしすぎるけど、
やはりソロというより二人の作品という位置づけになる。
なかなか純然たるソロで、というのが出てこない。
 
そんな中、この「Wanted」がそうだったんだなと。
1990年代前半の忌野清志郎 & 2・3'S
後半の忌野清志郎 Little Screaming Revue
2000年頃のラフィータフィーといった試行錯誤を経て、
忌野清志郎名義でのソロアルバムに戻った2003年の「King」
以後、「God」(2005)「夢助」(2008)と充実した作品が続く。
 
バンマスには頼れる相棒、三宅伸治
梅津和時らのホーン隊を従えてタイトで無駄のない、それでいて余裕のある、
あくまでボスを引き立てる演奏をつける。
曲目も”トランジスタ・ラジオ”や”君が僕を知ってる” ”Drive My Car” と
RCサクセション時代の往年の名曲に
(もちろん”雨上がりの夜空に”も ”スローバラード”も)
ソロの代表曲のひとつ ”世界中の人に自慢したいよ”
「King」からも”Baby 何もかも” ”Wanted” ”胸が張り裂けそう” ”約束”など。
その時点での忌野清志郎を伝えるベストセレクション。
 
冒頭の『King』コールや
”Baby 何もかも”での『愛し合ってるかい』のコール&レスポンス、
”胸が張り裂けそう”のエッチでおバカな寸劇など
ライヴならではのお楽しみもある。
 
残念なことにこのアルバム、今は入手困難で。
やはり amazon では1万近く。
僕は DiskUnion で中古が出るのを待って、それでも定価より高い5,250円で。
RCサクセション忌野清志郎は未発表のライヴアルバムなど
いろんなアイテムが今も発表され続けてるんだけど、
こういった名作が普通に買えるようにもしてほしい。
 
忌野清志郎のソロで何か一つ最初に聞くなら
このライヴアルバムじゃないかなと僕は思う。