「らんまん」いいね

時々するけど、朝ドラの話。
NHK-BSで 07:15 から「あまちゃん」の再放送。
07:30 から「らんまん」の先取り。
 
最初のうちは話題の「あまちゃん」をようやく見ることができたと嬉しく思ったし、
クドカンの脚本に癖のある出演者に笑ってばかりだったけど、
「らんまん」と比べてどちらが面白いだろう?
と考えたときは「らんまん」だった。
 
あまちゃん」がつまらないのではなく、十分面白い。
そもそも一石投じた異質な存在としての評価は決して揺るがないだろう。
でも面白いのは脚本と役者が次々に繰り出す80年代ネタや地方あるあるであって
物語そのもののは割と普通なんですよね。
というか、物語の線が細い。小ネタの数々をそぎ落とすと。
誤解を恐れずに言えば、小手先。
クドカンの、いい意味での若さを思う。
それでもガムシャラに朝ドラに立ち向かったんだなと。
 
「らんまん」は王道中の王道。
「ちむどんどん」が迷走の極みだとしたら(それはそれで面白かったが)。
「らんまん」は脚本も演出もよくできている。
何より主人公のキャラクター造詣がよくできていて、
それを演じる神木隆之介の演技力が盤石。
 
昨日のとある場面に、そうか、と思った。
主人公、牧野万太郎は植物学の雑誌を作りたいという強い思いを抱く。
それを遂に、出入りを許された東京大学の教授(要潤)に伝えて許しを得る。
植物学学会の学会誌としてならいいと。
しかし、植物学研究室付きの講師(今野浩喜アイフルのCMの)が
それを聞いてカンカンになる。なに余計な仕事増やしてんだ。
講師は発足したばかりの植物学学会の事務局長を押し付けられていた。
そこに万太郎は、学会誌の巻頭は事務局長の挨拶文を賜りたいとくすぐって丸く収める。
天衣無縫に自分のやりたいことに突き進む、まさにらんまんなだけではなく、
世慣れたところもある。ここだな。
 
「ちむどんどん」の主人公も自分のやりたいことに向かって無我夢中で突き進んでいた。
だけど世慣れたところはなく、やることなすこと頓珍漢だった。
(なのにことあるごとに「ちむどんどん」「ちむどんどん」と連発する)
もう一度誤解を恐れずに言えば、
「女はバカでいい」という時代はとうの昔に過ぎ去ったのに
主人公をそんなキャラクターとしてつくってしまったことが
「ちむどんどん」の一番の失敗だったんじゃないか。
NHK の人たちもそんな思いでドラマをつくったのではないと思うが、
匙加減が難しく、誤解を招いてしまった。
 
「らんまん」はそういう脆さが今のところ全くない。
NHK 本気出したんじゃないかな。
今日の、相手不在で親を前にしたプロポーズシーンもよかったなあ。
「COME COME EVERYBODY」以来の傑作となりそう。