先週買ったCD #154:2023/09/26-2023/10/01

2023/09/28: www.amazon.co.jp
(Soundtracks) 「Pret A Porter」 \1
 
2023/09/28: www.hmv.co.jp
The Doors 「Live At The Matrix 1967: The Original Masters」 \5060
Little Feat 「Sailin' Shoes (Deluxe Edition)」 \3630
Hanoi Rocks 「Back To Mystery City」 \1215
Sylvian / Fripp 「The First Day」 \4500
Sylvian / Fripp 「Damage」 \3850
Halkwind 「Space Ritual: 50th Anniversary (2CD New Stereo Mix Edition)」 \3217
Solveig Slettahjell Quartet 「Gullokk」 \2392
 
2023/09/29: BOOKOFF 練馬光が丘店
The Jazz Messengers 「 Nica's Dream」 \690
Cedar Walton 「Eastern Rebellion 2」 \990
 
2023/09/30: BOOKOFF SUPER BAZAAR イオン仙台店
Utada 「This Is The One」 \550
Stevie Ray Vaughan And Double Trouble 「Coundn't Stand The Weather」 \2530
Miley Cyrus 「Bangerz」 \550
Charlotte Hatherley 「The Deep Blue」 \550
Alice 「Exit」 \1210
Tenorio Jr. 「Embalo」 \792
Sandra Cross 「Just A Dream」 \550
(V.A.) 「Listen To The Voices Sly Stone In The Studio 1965-70」 \2090
(V.A.) 「Songs And Artists That Inspired Fahrenheit 9/11」 \300
(Soundtracks) 「Fast & Furious 6」 \50
(Soundtracks) 「ハチミツとクローバー」 \50
 
2023/10/01: www.amazon.co.jp
SublimeSublime meets Scientist & Mad Professor Inna L.B.C.」 \ 2629
 
2023/10/01: diskunion.net
BlurBlur」 \2650
Pet Shop Boys 「Release Deluxe Edition」 \3050
 
2023/10/01: ディスクノート
Laura Fygi 「Live」 \1100
(V.A.) 「free soul T.K.」 \2530
 
2023/10/01: 火星の庭
Joan Armatrading 「Hearts And Flowers」 \400
Mariannne Faithful 「A Stranger On Earth - An Introduction To Marianne Faithful」 \400
 
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Sylvian / Fripp 「Damage」
 
King Crimson は音楽的にはとても尊敬する。
いわゆるプログレプログレッシヴ・ロックの中で最も高い音楽的頂に立ったのは彼らだと思う。
60年代末の『宮殿』、70年代の『太陽と旋律』『RED』は言うに及ばず、
80年代のテクノ、ニューウェーヴに接近して
人力シークエンサーのようなひんやりとした演奏を繰り広げたいわゆる『Dicipline』期や
様々なメンバー編成のプロジェクトを経てアンビエントまで取り込んで
結果として全部乗せのギター、ベース、ドラムのダブルトリオに落ち着いた90年代のヘヴィ・ロック期。
そしてボブ・ディランの『ネバー・エンディング・ツアー』の如き様相を呈してきた、
今も精力的に続けられるライヴ。
プログレ村の中よりもその外側への広大なロック都市への影響は計り知れない。
少なくとも技術至上主義のヘヴィ・ロックの最大のリファレンス先は King Crimson なのではないか。
 
一方で、旧譜の再発もまた無限に続いていてもはやよくわからなくなってきた。
新しいミックス、新しいマスタリング、いつぞやの紙ジャケの再現、5.1 サラウンドがどうこう。
印象として3年に一度ぐらいのペースで新しい規格で再発されているような。
あるとき、この辺りが決定版だろうと
1年半ぐらいかけて少しずつ70年代、80年代のカタログを買い替えたら、
終わって半年もしないうちに次の再発シリーズが始まった。
愕然としてそこで僕はやめた。
これこそ、沼。
でも、売れるんだろうな。
この国の50代、60代の小金持ちの男性が一番お金を落とす音楽はプログレなのだろう。
ボックスセットだろうと、紙ジャケイッキ再発だろうと何でも売れる。
DiskUnion も全紙ジャケ収納可能な箱とか、気合を入れた購入特典を作る。
アメリカとかヨーロッパではどうなんだろう? と素朴な疑問がある。
 
最近、また新しい再発シリーズか! と思って見てみたら
今回は90年代のライヴアルバム辺りが中心のようだ。
そのラインナップの中に首謀者ロバート・フリップ
元JAPAN のデヴィッド・シルヴィアンのユニットの作品2枚も含まれていた。
おや? これは珍しい。
確かアルバム1枚だけで終わったんだったなあ、と思っていたら
ライヴアルバムもだしていたようだ。
思わず僕も興味が出て2枚とも買ってしまった。
「The First Day」(1993)と「Damage」(1994)
 
前者は4,500円で後者は3,850円。
紙ジャケにしてはやけに高いなあと思いながら注文して、届いたのを見たら
前者は過去の紙ジャケを複数収録したボックスとなっていた。
えー! そんなの要らないんだけど。
最新リマスターの音源が収録された普通のプラスチックのケースでいいんだけど。
でもこのご時世、そういう人はストリーミングで聞いて終わりなんだろうな。
物で欲しい、という人はその『モノ』がどんどん豪華になる。
オブジェとしての完成度が求められる。
その二極化。
僕みたいな中途半端な立ち位置の人は珍獣なのだろう。
 
それはさておき。
正直僕はこの2人の作品を聞いたことがなかった。
93年の rockin' on で発売を知って、たぶんインタビューも読んだ。
しかし異種格闘技にもほどがあると思って最初から NG だった。
水と油に思えた。
JAPAN も King Crimson ももちろん聞いたことがあって、
JAPAN の「Tin Drums」(1991)はプログレの対極にある、耽美的なアルバムだと思っていた。
デヴィッド・シルヴィアン初め、メンバーたちは美形ということで日本の女性たちの人気が高かった。
プログレの純潔は守られなければならない、と僕は思った。
ジャンルの壁は、今とは比べ物にならないほど高かった。
 
そういう考え方がいかにアホらしいか。
今回の2枚を聞いて痛感した。
掛け算として何十倍になったわけではないが、
誤解を恐れずに言えば、いいところどりとしてかなりの高得点。
アルバムごとにギターの比重がどんどん減っていってギタリストの脱退に至った JAPAN に
ロバート・フリップが全面参加というか。
身もふたもないことを言えば。
逆に言うとロバート・フリップぐらいのギタリストでないとデヴィシルを満足させられないんだな。
そもそも二人の音楽性には幽玄を求めるところがあって、
自らの美意識を求道的に追い求める姿勢も似ている。
 
ジェリー・マロッタのドラムも JAPAN のスティーヴ・ジャンセンのように浅く、
トレイ・ガンのスティックもミック・カーンのようにブイブイとうねる。
キーボードが大きく違うのかな。
デヴィッド・シルヴィアンが自ら弾いているのか。
同じバンドだったのにリチャード・バルビエリの雰囲気とは大きく異なる。
 
ロバート・フリップのギターもDisciplin Crimson の
80年台的な無限アラベスクのようなフレーズに限らず、
後のヘヴィ・ロック Crimson に通じるフレーズをどんどん弾いている。
これが気持ちいい。
こんな初歩的なロックのダイナミズムにデヴィシルの声が合うなんて。
King Crimson のヴォーカリストにデヴィシルを誘ったが断わられ、
このユニットに至ったというのは有名な話。
 
ライヴ・アルバム「Damage」には「The First Day」の曲に限らず、
再結成 JAPAN が残した唯一のアルバム「Rain Tree Crow」(1991)の
”Black Water” も演奏されている。
他、デヴィッド・シルヴィアンのソロから”Gone To Earth” なども。
King Crimson も JAPAN も演奏能力が高いので
スタジオ録音とライヴとで大きく落差が生まれることはなく、
アルバム発表後のライヴなのでアレンジもさほど変わらない。
変に大きな歓声がかぶさることもない。
どちらか一枚選ぶならば「Damage」の方かな。
 
アンビエントな曲も全然古びていない。
今の音になっている。
もっともっと聞いてみたいと思うが、
スタジオ録音1枚、ライヴ1枚で潔く袂を分かったのは正解だった。
最初に起きたケミストリーが大きかったゆえに
続けても拡大再生産にしかならなかっただろう。
この2人、よくわかってる。