先週買ったCD #157:2023/10/16-2023/10/22

2023/10/16: diskunion.net
Vladimir Sofronitsky 「Rachmaninov & Prokofiev」 \1200
Foghat 「Foghat Live」 \2250
Stevie Ray Vaughan & Double Trouble 「Texas harricane」 \1900
Johnny Cash 「Man In Black: Live IN Denmark 1971」 \680
Johnny Cash 「Out Among The Satrs」 \380
Dungen 「Dungen」 \680
 
2023/10/17: www.amazon.co.jp
Unsane 「Attack In Japan」 \1200
 
2023/10/18: BOOKOFF 札幌南2条店
Superchunk 「here's to Shutting up」 \1980
Derrick May 「Mix-Up Vol.5」 \693
Melissa Manchester 「Singin'...」 \1760
Julie London 「Live At New Latin Quarter」 \2090
Ann Burton 「Laughing At Life with Louis van Djik Sessions」 \1980
Carol Sloane 「Live At 30th Street」 \792
Elis Regina 「ela」 \1430
Quarteto Em Cy 「Quarteto Em Cy」 \990
Quarteto Em Cy 「Antologia Do Samba Cancao」 \1760
 
2023/10/20: www.amazon.co.jp
Orb 「93 Live」 \1071
 
2023/10/20: diskunion.net
UFO 「Live」 \1900
UFO 「Strangers In The Night」 \1700
MotorheadMotorhead」 \3050
The Misfits 「Collection II」 \780
 
2023/10/20: tower.jp
The Rolling Stones 「Hackney Diamonds」 \2860
Fleetwood Mac 「Rumors Live」 \3960
Rita Ora 「You & I (Deluxe Edition)」 \3890
De La SoulDe La Soul Is Dead」 \3190
 
2023/10/21: www.hmv.co.jp
Heather Nova 「Live from the milky way」 \330
Michael NymanPeter Greenaway Film Music」 \770
 
2023/10/21: DiskUnion 神保町店
Blackalicious 「Blazing Arrow」 \480
The Meters 「Live on the Queen Mary」 \ 680
Charles Mingus 「Mingus Mingus Mingus Mingus Mingus 」 \800
 
2023/10/21: diskunion.net
Horace Andy 「Dance Hall Style」 \1300
Big Youth 「Ride Like Lightning」 \1200
 
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僕がマイケル・ナイマンの名前を知ったのは中学から高校にかけてのどこか。
下宿していた年上の従姉妹の影響で『別冊マーガレット』を拾い読むようになり、
その中で連載されていた楠本まき『KISSxxxx』を毎回読んでいた。
(おそらくポジティブパンク系の)4人組のバンドとその周囲の若者たちの
時にはメルヘンチックで、時には虚無な日常をゴシック趣味全開で描くという。
スタイリッシュで、シュールで、時には実験的な内容で、かなり異色の漫画だった。
白と黒だけで成り立っていて他の色彩を一切感じさせないタッチも独特だった。
 
単行本の何巻かで楠本まきのミックステープが紹介されていて、
その選曲リストに ”エンゼルフィッシュの腐敗” が入っていた。
(残念ながら今、家の中のどこを探しても単行本が見つからずで、他の曲がわからず)
洋楽はビートルズから入って、高校で周りはメタルを聞いているという時代に
他では全く見ないような曲のタイトルだった。
なんだろう? とずっと気になっていた。
しかし、90年代初めの青森市マイケル・ナイマンの音源が聞けるわけがなく。
(実はCDの国内盤が出ていて青森市だと『be-bop』で売られていたのかもしれないが、
 クラシックのコーナーに並んだだろうから気づかなかったと思われる)
 
1993年に上京して HMVタワレコといった輸入盤屋に通うようになる。
映画サークルに入ってアートな単館上映系の映画を見るようになる。
その中で、ピーター・グリーナウェイ監督の作品の音楽を担当していることを知る。
当時この監督の作品を知ってる、見ているというのもひとつの大事なことだった。
よくあちこちで特集上映されていたように思う。
『英国式庭園殺人事件』『ZOO』『建築家の腹』『数に溺れて』
『コックと泥棒、その妻と愛人』といった80年代の作品たち。
この多くでマイケル・ナイマンとタッグを組んでいた。
サントラで聞いたのが先なのか、レンタルビデオで借りたのが先なのか。
エンゼルフィッシュの腐敗” は『Zoo』(1985)の中の曲だとわかった。
 
『KISSxxxx』の世界観に通じるような
消え入るような、退廃的な曲かと思いきやそうではなく、
あの頃のマイケル・ナイマン、というかマイケル・ナイマン・バンドによくあるような
スタッカートの連続、強弱のはっきりした連打をフィーチャーした曲だった。
メロディが際立ちつつもどこかギクシャクして、カラフル。
でも確かに、あの映画の様々な動物が腐敗していく過程を
早回しで映していくシークエンスにぴったりだった。
ゆったりした楽曲を3倍速で再生したかのような。
 
その後、マイケル・ナイマンは『ピアノ・レッスン』(1993)のサントラで一世を風靡し、
よく知られた存在になっていく。
ピーター・グリーナウェイ監督と袂を分かってからは
ガタカ』(1997)や『ことの終わり』(2000)など数々のサントラを手掛ける。
山本耀司のショーのための音楽も手掛け、そのサントラも僕は買ったように思う。
 
僕にとってマイケル・ナイマン
今になって思えばポスト・クラシカルの入り口になったように思う。
現代音楽というとちょっと違う。
オーラヴル・アルナルズやニルス・フラームルドヴィコ・エイナウディより世代は上で
現代音楽とポスト・クラシカルの橋渡しを
マイケル・ナイマンウィム・メルテンが果たしたのでは、と考える。
 
このCDはそのピーター・グリーナウェイ監督時代の4作品
『英国式庭園殺人事件』『ZOO』『数に溺れて』『コックと泥棒、その妻と愛人』
の楽曲をコンパイルしたもの。
(『建築家の腹』はウィム・メルテンが担当している)
クレジットを見たら『Zoo』の演奏は、The Zoo Orchestra となっていて、
そのメンバーにバラネスク・カルテットのアレクサンダー・バラネスクの名前が。
というか、80年代のマイケル・ナイマン・バンドのメンバーだったんだな。
そこから独立してカルテットを結成したのか。
 
『ZOO』と『コックと泥棒、その妻と愛人』のサントラは持っていたものの
公開当時のCDだったので音はよくなく、
リマスター盤を買いそろえるのも大変だなあと思っていたら
この抜粋盤があることを知ってちょうどいいかと。
安くなったのを見つけて購入した。
 
映画監督と作曲家の蜜月の記録。
映画に寄り添うクラシックとしては、かなり異質で屹立している。
異形の美しさを湛える音楽。