先週買ったCD #123:2023/02/20-2023/02/26

2023/02/20: www.amazon.co.jp
Spacemen 3 「Live at the New Morning, Geneva, Switzerland, 18.0.1989」 \1901
Muslimgauze 「Iran」 \1490
 
2023/02/20: BOOKOFF 練馬光が丘店
The Jazz Butcher Cospiracy 「Glorious Idiotic」 \792
 
2023/02/21: Traffic Store
Cabaret Voltaire 「The Covenant, The Sword And The Arm Of The Lord」 \2200
 
2023/02/21: BOOK-OFF Online
Revolting Cocks 「Big Sexy Land」 \990
 
2023/02:22: ヤフオク
The Jazz ButcherThe Jazz Butcher's Free Lunch」 \700
 
2023/02/22: diskunion.net
(V.A.) 「愛欲人民二十一世紀」 \680
Isley Brothers 「Free Soul. The Classic of The Isley Brothers」 \1900
5Th Dimension 「The Very Best of 5th Dimension」 \980
The Oldians 「Island Jazz Sessions」 \800
Thundercat 「Drank」 \1100
Butcher Brown 「Comden Session」 \1300
Horace Andy 「In The Light / In The Light Dub」 \380
 
2023/02/23: www.amazon.co.jp
DJ Rashad 「Double Cup」 \800
 
2023/02/23: DiskUnion 御茶ノ水駅前店
Odetta / Mimi Farina 「Rolling Coconut Revue Japan Concert 1977」 \780
Pierre Henry 「Music  Composed for Maurice Bejart's Ballets」 \1000
(Soundtracks) 「Dersu Uzala」 \2450
 
2023/02/24: www.amazon.co.jp
Cabaret Votaire 「Drinking Gasolin」 \1457
 
2023/02/24: diskunion.net
灰野敬二 「わたしだけ?」 \5750
Coil 「Horse Rotorvator」 \6250
The Vibrators 「Pure Mania」 \1200
 
2023/02/25: diskunion.net
Material 「Hallucination Engine」 \580
Damon Albarn 「Mari Music」 \480
Coil 「Backwards」 \1700
Coil 「Live In Moscow」 \1600
 
2023/02/25: DiskUnion 名古屋店
Glenn Frey 「Solo Collection」 \1100
ZZ Top 「Fandango! (Remaster & Expanded) 」 \1500
Hound Dog Taylor and the HouseRockers 「Natural Boogie」 \780
Hound Dog Taylor and the HouseRockers 「Beware of the Dog!」 \1000
Bryan Adams 「Live! Live! Live!」 \380
10cc 「Original Soundtrack」 \720
Fugees 「(Refugee Vamp)Bootleg Versions」 \304
Ojos de Brujo 「Bari」 \551
Audio Active 「tokyo space cowboys」 \680
 
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Hound Dog Taylor and the HouseRockers 「Natural Boogie」 \780
 
年末から正月にかけて、無性に Blues が聞きたくなった。
ブルーズと呼ぶよりもブルース。
何年か前に1,000円ぐらいで再発された
ガイド本を2冊買って(1冊は熊本市上通の古書店「汽水社」で)
60年代から90年代にかけての気になるところを何枚か買ってみた。
オーティス・ラッシュ、アルバート・コリンズ、ルリー・ベルなど。
去年から本格的に聞き始めたスティーヴィー・レイ・ヴォーン
紙ジャケを何枚か買い足した。
マーティン・スコセッシ監督監修のブルース・ムーヴィー・プロジェクトのコンピも改めて聞き直した。
クリント・イーストウッドがピアノのブルースを集め、ヴィム・ヴェンダースは現代のブルースを選ぶ。
 
ロックから入って長い僕にとってはオーセンティックなブルースはまだピンとこない。
多くの方にとっては神様となるロバート・ジョンソンもそのよさがわからない。
マディ・ウォーターズも、特に名盤とされる「The Best of Muddy Waters」が単調に聞こえる。
僕はブルースに向いてないのだろう。
そもそも、人生に深みが足りてないのだろう。
苦みも苦しみもない、浅い人生。それはたぶん、いいことなのだろう。
 
おのずと、聞くのはロックから辿って60年代以後となる。
ギタリストのマジック・サムはいいんじゃないかと思った。
ブルースの外にある、時代の音、時代の空気をどこかに感じる。
だけどその核には混ざり気のないブルースがある。
かといって80年代に入っての Kinsey Report は今一つだった。
早すぎたミクスチャー系ブルースロック。
後の Living Colour がすごすぎたというのもあるけど。
ライ・クーダーつながりで昨年から、ブルースにとらわれず聞き始めた
タジ・マハールもその音楽的多様性、ねっとりした器用さが面白く愛聴するようになった。
 
自分の中でここ2か月ほどのブルースの盛り上がりも終わりかな、と思っていたころ、
新宿西口のブックオフでCDの棚を見ていたら、ふと目に留まったものがあった。
ハウンド・ドッグ・テイラー。
どこかで聞いたことある名前。
茶色い壁を背景にしたジャケットにギターを抱えた人物が映っている。
左手の指にはスライドバーをはめて、右手はフィンガー・ピッキング
笑っている。
思い出す。スライドギターを歪ませた、ガレージパンクのようなブルース。
The Jon Spencer Blues Explosion がお手本にしたのがこの人。
その場で少し調べる。
バックはギターとドラムの2人のみでベースレス。やはりそうだ。
 
手にしたのは1枚目の「Hound Dog Taylor & the HouseRockers」(1971)
最後、ここだな、と思う。もちろん買った。
弦がうなる。歪んで、歪みまくって、うなる。鳴り響く。
粗削りな音が聞く心に引っかき傷を残す。
そうだ、僕がブルースギターと言って思い浮かべたのはこういう音だった。
声も塩辛い。どれだけの悔し涙を流したことだろう。
 
この界隈ではよくある程度に、不遇な人生だった。
60年代はシングルを2枚出せただけ。
毎晩クラブで演奏するうちにブルースでは有名なレーベル、
デルマークで働いていたプロデューサーに見いだされる。
デルマークでは断れたからと一念発起して彼は自らのレーベル、
アリゲーターを立ち上げたという。アパートの自室から始めた。
全てはハウンド・ドッグ・テイラーを世に出したいがために。
いい話だよな。
しかし、2作目の「Natural Boogie」(1973)
3作目にしてライヴアルバムの「Beware of the Dog!」(1975)の3枚で急逝。
1作目の時点で55歳を過ぎていたとはいえ、まだまだこれからだっただろうに。
場末のブルースマンで60歳は長生きしすぎか。
 
この2作目と3作目を合わせて買った。
先日の名古屋出張に合わせて
名古屋の DiskUnion 受け取るように取り寄せを依頼した。
帰りの新幹線の中で缶のハイボールを飲みながら解説を読んだ。
 
東京に戻ってきて「Natural Boogie」から聞いてみる。
1作目と多くは変わらない。
ひっかくような痙攣したギターを縦横無尽に走らせて
性急なドタバタしたブルースやブギを愚直にやるだけ。
タイトルに ”boogie” が入る曲が3つ。
でもそれがいいんだよなあ。それでいい。
 
本来、ブルースという音楽は何も複雑なものはなく、
シンプルに自分の気持ちを吐露するだけだった。
何のいいこともない日常。
単調に繰り返すだけのリズム、
女が出て行ったとかありきたりな歌詞、
そんな日常を破り捨てて唾を吐きかけるようなギター。
最高だな。
僕がブルースに求めていたものはハウンド・ドッグ・テイラーだった。