先週買ったCD #140:2023/06/19-2023/06/25

2023/06/19: www.amazon.co.jp
The Surf Coasters 「Live」 \1867
The Surf Coasters 「L'esprit」 \449
 
2023/06/19: メルカリ
The Street Sliders 「天使たち」 \3300
The Street Sliders 「Replays」 \3300
The Street Sliders 「Rare Tracks」 \3300
The Street Sliders 「The Live! Heaven And Hell」 \3790
The Street Sliders 「Last Live」 \5100
※実際には未開封
 
2023/06/20: www.hmv.co.jp
Sequentia 「Hildegard Von Bingen: Canticles Of Ecstasy」 \1760
 
2023/06/20: diskunion.net
Fishmans 「oh! mountain」 \2250
(V.A.) 「愛欲人民十二球団」 \1100
 
2023/06/20: diskunion.net
Aimer 「After Dark」 \580
George Clinton & The P-Funk All Stars 「Go For Yer Funk」 \580
(V.A.) 「Super Sweet Soul Vol.4」 \2850
Garbage 「Vesion 2.0 (20th Anniversary Deluxe Edition)」 \1100
 
2023/06/21: ヤフオク
The Surf Coasters 「Soundtrack from "Roundabout"」 \774
 
2023/06/21: www.hmv.co.jp
The Surf Coasters 「Easter」 \330
 
2023/06/22: www.amazon.co.jp
David Lynch & Alan R. Splet 「Eraserhead Original Soundtrack Recording」 \2900
 
2023/06/22: diskunion.net
Sequentia 「Hildegard Von Bingen: Voice of the Blood」 \580
 
2023/06/22: www.amazon.co.jp
Leonard Cohen 「Greatest Hits: Expanded Edition」 \871
 
2023/06/23: www.amazon.co.jp
Joe Jackson 「At The BBC」 \2372
 
2023/06/23: ヤフオク
Tabou Combo 「A La Canne A Sucre」 \1000
 
2023/06/25: www.hmv.co.jp
小泉今日子 「anytime」 \660
 
2023/06/25: diskunion.net
June Tabor 「On Air」 \1800
 
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Sequentia 「Hildegard Von Bingen: Voice of the Blood」
 
先々週の土曜、神保町PASSAGEに青熊書店の搬入。
終わって3階の bis! でビールを飲んでいると
その日 PASSAGE のバイトに入っていた妻から連絡が。
僕の後に搬入された方の品ぞろえがとてもいいという。
見に行ってみると、受け入れ作業中の机に
澁澤龍彦ポール・ギャリコの珍しい本が。僕も見たことがなかった。
むむ。この人はできる!!
棚主の方は初めてお会いする方で、澁澤龍彦の裏話を聞かせてくれた。
著名な作家や書評家が実名で棚を持っていることが PASSAGE では多いが、
この方の棚はそうではない。
実は名のある方が匿名でやっているのだろうか……
目の前で話していて玄人っぽさが半端ない。ものすごく気になる。
僕よりも10は年上のこわもての男性。
何にせよ本業では名のある方なのだろう。
しかし、失礼に当たるかもしれないからそのことには触れず。
 
高価な本の間に混ざって1枚だけCDが。
「Lux Vivens」というタイトル。
これなんですか?? と聞くと
ヒルデガルト・フォン・ビンゲンという中世の作曲家の残した曲を
デヴィッド・リンチのプロデュースで歌ったものだという。
ジャケットには長い髪の女性が。この人が歌ったのだろう。
棚主の方はこのヒルデガルト・フォン・ビンゲンにはまっていた時期があって、
中世に入ってからは世界で初めての女性の作曲家であること、
もちろんその時代に女性が作曲する、女性が歌うというのは異例であったこと、
幻視に基づく預言も行い、薬草学も詳しく、聖者にも認められたこと、
などなど多くを語ってくれた。
 
一方でデヴィッド・リンチ。映画監督の中では抜きんでて耳がいい、
ははあ、中世の音楽、ヒルデガルト・フォン・ビンゲンの音楽に目を付けたか、
さすがだなと感服したと。
このCDはただ演奏と歌があるのではなく、
歌と歌の間に『イレイザーヘッド』のようなダークなサウンドエフェクトが入っていて、
中世の薄暗い雰囲気と妙にマッチしている。
そこまで解説してもらうと聞かずにはいられない。
商品管理のシールがプリンターから出てくるや否やレジに持って行った。
 
ヒルデガルト・フォン・ビンゲンに興味を持ったら
「Voice of the Blood」というアルバムがお薦めだと聞いて、
帰りの大江戸線の中で早速オーダーした。
もう一枚「Canticles of Ecstasy」というのも。
返す刀で「イレイザーヘッド」のサントラの国内盤再発も
amazon で安く出ているのを見つけて購入した。
 
帰ってきてさっそく、「Lux Vivens」(1998)を聞いてみた。
アンビエントな演奏をバックに、美しく澄んだ歌声。
そしてそこかしこに、確かにダークなサウンドエフェクト。
多くがまだ未知であった時代の、闇に蠢くものたちのたてる不分明な音。
それが音楽的な奥行きや、現代性を持たせている。
それでいて中世にタイムスリップしているかのような感覚もある。
これはいいな。末永く愛聴すること、確定。
Dead Can Dance がダンスミュージックに接近する前の中期の頃の音に
コンセプトが似ているように思う。
 
数日後届いて、続けて
「Canticles of Ecstasy」(1994)
「Voice of The Dead」(1995) を聞いた。
どちらも Sequentia という中世音楽を専門とするアンサンブルが録音している。
歌うのは皆、女性。
中世の合唱というと僕も、グレゴリオ聖歌が静かなブームになった時に何枚か聞いてみた。
しかし、はまれず。それがなんなのかはよくわからない。
なのにヒルデガルト・フォン・ビンゲンと Sequentia は一発OKだった。
なんでだろうなあ。この手の音楽に詳しくないので残念ながら何とも言えない。
α波が出るとかそういうよくわからない片付け方もしたくない。
 
ひとつ仮説として言えるのは、ヒルデガルト・フォン・ビンゲンは
自分の見た幻視を音に置き換えるということ、
あるいはそれを着想の源とすることを恐らく行っていて、
未知を未知のままに、神秘を神秘のままに聖歌としたのではないか。
解釈や批評を加えず、奇跡を奇跡として、畏敬を畏敬として残そうとする。
その未知の残る感覚が今の時代を生きる耳に新鮮に感じられるのではないか。
未知の持つ美しさを最大限に引き出した音楽。
 
中世に女性の作曲家がいて、
女性の歌い手がいたということを初めて認識することができた。
まだまだ知らないことが多い。