先週買ったCD #161:2023/10/13-2023/11/19

2023/11/13: バナナレコード名駅
Simply Red 「Montreux」 \690
Fear Factory 「Concrete」 \890
 
2023/11/13: tower.jp
New OrderSubstance 1987 (Deluxe Edition)」 \7390
 
2023/11/15: tower.jp
Oasis 「The Masterplan - 25th Anniversary Remastered Edition」 \2690
R.E.M. 「Up (25th Anniversary Edition)」 \4090
 
2023/11/16: ヤフオク
Richard Marx 「Ballads (Then, Now and Forever)」 \350
 
2023/11/17: TowerRecords リヴィン光が丘店
Emahoy Tsege-Mariam Gebru 「Jerusalem」 (\2640)
タワレコのポイントで
 
2023/11/17: amazon.co.jp
RIchard Marx 「Stories To Tell: Greatest Hits And More」 \1700
 
2023/11/19: amazon.co.jp
RIchard Marx 「A Night Out with Friends」 \1980
 
2023/11/19: ヤフオク
(Soundtracks) 「太陽にほえろ! '79 井上尭之バンド・イン・グアム」 \7800
 
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New OrderSubstance 1987 (Deluxe Edition)」 \7390
 
僕はこの日が来るのを待っていた。
少なくとも20年は待っていた。
 
今年のNo.1リマスター再発確定。
Oasis 「Masterplan」のリマスター再発も同時期に出たが、
もちろん絶頂期のB面曲を「Masterplan」も大名盤だが、
ここはやはり New Order だろう。
New Order がなければ確実に僕は「Masterplan」で書いた)
 
New Order のベストアルバムは? という質問に対し、
ある人は2作目の「Power, Corruption & Lies」(1983)と答えるだろうし、
ある人は4作目の「Brotherhood」(1986)と答えるだろう。
6作目の「Repubilc」(1993)という人も多いかもしれない。
しかし僕は彼らのベストアルバム「Substance」(1987)を、
2枚組で1枚目は彼らの12インチシングルのA面を
2枚目はそのB面を集めたアルバムを推したい。
そんな人も多いのではないか。
 
彼らの本質はオリジナルのアルバムにも12インチのシングルにもあった、ということ。
12インチなので聴く、よりも、踊るためのもの。気持ちよくてナンボ。
7インチシングルよりも音を引き延ばして、
彼らの生み出したリズムの繰り返される空間の広がりを聴く。
(とはいえ踊れるかどうかで言えば全然踊れるものではないだろう。
 特に初期の12インチは)
 
彼らもまた Pop を強く意識した Rock バンドであったため、
その活動の最初の頃はシングル曲をアルバムに収録しなかった。
ビートルズのように。The Smiths の多くのシングルのように。
だから ”Temptation” も ”Blue Monday” も ”Confusion” も ”Thieves Like Us” も
オリジナルのアルバムには収録されていない。
(「Substance」1枚目の3曲目から7曲目に該当)
なんという名曲たち。ため息が出る。
 
そういった名曲のB面だからと言って「Substance」の2枚目がつまらないということはない。
むしろこの2枚目こそが「Substance」を「Substance」足らしめているし、
New Oder を New Order 足らしめている。
例えば、5曲目の ”The Beach” は
A面の ”Blue Monday” のインストゥルメンタル・バージョンのリミックスとなる。
こういった実験的な要素を種明かしのようにさらけ出す。
1曲目 ”In Al Lonely Place” はダンスの片鱗もない、
前身となる Joy Division を彷彿させる Post Punk ナンバー。
そんなナイーヴな面も隠そうとしない。
 
そう、彼らの前身は Joy Division だった。
Public Image LTD と並ぶ、ポストパンクの極北。
どちらも若者ゆえの荒々しいもの、攻撃的であり暴力的なものから出発して
Public Image LTD は虚無と諧謔へ、
Joy Division は絶望と諦念に向かった。
(なんたって彼らの代表曲のタイトルは ”Love Will Tear us Apart”)
 
ヴォーカルのイアン・カーティスが自殺して、残されたメンバー
バーナード・サムナー、ピーター・フック、スティーヴン・モリスの3人が
ティーヴン・モリスのガールフレンドだったジリアン・ギルバートを数合わせ的に(とされる)
追加して活動再開したのが New Order となる。
だから、その代表曲はどんなに享楽的な曲であってもイアン・カーティスへの鎮魂歌に聞こえる。
”Blue Monday” はその最たるものか。
どんなに大人のずるくてだらしない姿を見せられても、
彼らの背負っている負の大きさから純粋無垢な存在に思えてしまう。
2作目「Power, Corruption & Lies」の冒頭の曲 ”Age Of Concent”
その後半の無機的なキーボードのフレーズがこの世のものとは思えない美しさ。
いつもため息が出る。それって僕だけか。
 
Joy Division / New Order の伝説が大きく印象を変えている、というのは否めず、
 まったく何も知らない人が彼らの音楽を素で聴いてどう思うのかはかなり気になる)
 
今回のリマスター再発では2枚組の当初のフォーマットのものと
4枚組で、別ミックスを集めた3名目と1987年のライヴ音源を集めた4枚目を追加したものと。
正直、元々の2枚を繰り返し聞いた身としては
その2枚に収録されたバージョンがそれぞれの楽曲の究極の姿であって、
正直3枚目は蛇足に思えてくる。
 
4枚目はライヴアルバム。
1987年、カリフォルニアでの演奏で、オリジナルの「Substance」の発表を記念してのものか、
曲目は1枚目と同じ。”Ceremony” で始まって、”True Faith” で終わる。
で、まあ、よく言われるように演奏は下手。
バーニーのヴォーカルも音程が心もとなく、何の脈絡もなく突然ハッ!とか叫んだりして
聞いててぶち壊し、アチャーとなる。
バックの演奏も事前に作りこんだものをただ流しているだけなんじゃないか。
少なくともリズムトラックは。
そこに印象的なキーボードやギターの音を置いていく。(重ねる、ではない)
丁寧にリストアしたのだろう、音そのものはクリア。
でも元々のテープの問題なのだろう、ところどころ音が荒れている。
結局はマニア向け。
ライヴアルバムと捉えるより、
彼らが無数に作ったバージョン違い、ミックス違いの一種と思った方がよいのだろう。