先週買ったCD #126:2023/03/13-2023/03/19

2023/03/15: www.amazon.co.jp
Tania Maria 「Europe」 \910
 
2023/03/16: diskunion.net
The Doors 「Live At The Matrix 1967」 \980
Van Der Graaf Generator 「Maida Vale BBC Sessions」 \580
Muslimgauze 「Snadtrafikar」 \1700
 
2023/03/17: diskunion.net
Tania Maria 「Come With Me」 \1900
 
2023/03/18: BOOKOFF練馬光が丘店
岡村靖幸 「はっきりもっと勇敢になって」 \300
(V.A.) 「Rock In Disney」 \550
(V.A.) 「Songs Fro Tibet From Japan」 \110
 
2023/03/18: diskunion.net
山本精一 「プレイグラウンド アコースティック」 \1300
坂本龍一 「Field Work + Steppin' Into Asia + The Arrangement」 \1900
(V.A. 久保田真琴) 「ぞめき 参 徳島阿波おどり 路上派」 \1800
 
2023/03/18: www.amazon.co.jp
Tania Maria 「Real Tania Maria: Wild!」 \780
 
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The Doors 「Live At The Matrix 1967」
 
Rhino (もしくは The Bright Midnight Archives)から出ている
The Doors のライヴアルバムもほとんど買い揃えた。
amazonヤフオクでは最も高値が付いていた、
評価の高い『Live In Detroit』も Disk Union で6,000円で買うことができた。
 
面白かったのは『Backstage And Dangerous』で、
これはハリウッドにあるアクエリアス・シアターで1969年7月に行われたコンサートに先立って、
そのリハーサルやサウンドチェックの音源となる。
人前に立って(調子のよいときには)煽情的なヴォーカルを放つジム・モリソンの姿はなく、
スタジオでのゆるい緊張感が心地よい。
このときのアクエリアス・シアターのライヴ・アルバムも出ているが、残念ながら未入手。
昼夜2回公演がそれぞれ2枚組となっている。
これらも軽く1万円は超える。
しかし、その4枚の中からのハイライトが『Live In Hollywood』として発売され、日本盤も出た。
ひとまずはこれがあればいいかな。
(僕が他、Rhino のライヴアルバムで持ってないのは1970年のピッツバーグの公演と
 デビュー前の1966年の「London Fog」となるか)
 
今回買ったのは1967年のサンフランシスコでのライヴ。デビュー直後。
2枚組で1枚目が主にファーストアルバム「The Doors」(1967)からの曲を、
2枚目が主にセカンドアルバム「Strange Days」(1967)からの曲となる。
ステージで演奏されたのを通しで収録しているのではなく、
2日間の公演の1回目や2回目から選ばれたハイライトとなっている。
この1枚目のうちの何曲かは2017年、「The Doors」の50周年記念盤が出たときに
その3枚目に収録された。
 
演奏を聞くととにかく、若い。青い。
音がガリガリに痩せている。
下手、というのではない。
瞬く間に人気を獲得してスキャンダラスな存在になる前の、無垢な4人がいる。
まだライヴの経験もそんなに積んでなくて、どこかオドオドしているようにも思える。
試行錯誤しながら探り探りやってます、というような。
”Break On Through” にも無鉄砲に突き破る感覚がなく、
Light My Fire” も例の有名なオルガンのイントロがなく、ジムのヴォーカルから始まる。
”The End” も楽曲としてのまとまりよりも詩の朗読のような佇まいが前面に出ている。
一方でスローナンバーには場末のブルースバーで演奏しているような寂寥感がある。
そこのところは後の時代にないものなので貴重か。
 
曲目で興味深いのは
1枚目だと、3作目の「Waiting For The Sun」(1968)に収録された
”Summer’s Almost Gone”を、
2枚目だと、6作目の「LA Woman」(1971)に収録された
”Crawling King Snake”をやっている。
この頃からあったんだな。あ、いや、後者はブルースのカバーか。
どちらの曲も他のライヴアルバムで見かけないと思う。
他、カバーでは定番の ”I'm A King Bee” や ”Gloria” に”Money” など。
”Summertime”も珍しいかな。
これはジム・モリソン抜きのインストだった。
レイ・マンザレクのオルガンが引っ張る。
この1曲のためだけでもこのアルバム、聞く価値がある。
 
骨と皮だけの歌と演奏ゆえに
かえって彼らの楽曲の素晴らしさ、演奏の確かさ、
ブルースとサイケデリックの融合、音楽と詩、演劇の融合という
着想の新しさがダイレクトに伝わるようになっている。
でもそれも The Doors をそれなりに聞き込んだ人が思うことか。
後のライヴアルバムのように脂の乗り切った迫力は皆無なので
最後の方に聞くべき音源かな。
The Doors のライヴアルバムをこれから聞き始めるという人は
今でも入手が難しくない「In Concert」(1991)から入るのがいいと思う。