先週買ったCD #133:2023/05/01-2023/05/07

2023/05/02: ヤフオク
Alpha & Omega 「Safe In The Ark」 \1950
 
2023/05/02: LIBRO 光が丘店
(Soundtracks) 「Short Cuts」 \300
 
2023/05/03: diskunion.net
Gang Of Four 「100 Flowers Bloom」 \1200
 
2023/05/03: DiskUnion 新宿ラテンブラジル館
Alpha & Omega meets The Disciples 「The Sacred Art Of Dub」 \2650
 
2023/05/03: DiskUnion 新宿ジャズ館
Hank Mobley 「Dippin'」 \1050
Weather Report 「Mysterious Traveller +1」 \680
 
2023/05/03: BOOKOFF 江東門前仲町
John Coltrane 「Kulu Se Mama」 \847
(V.A.) 「FREE SOUL. the classic of Black Jazz」 \762
 
2023/05/04: BOOKOFF 上石神井駅南口店
Miley Cyrus 「Plastic Hearts」 \1210
Maria Callas 「Callas In Cinema」 \330
 
2023/05/04: BOOKOFF 大泉学園駅前店
Radwimps 「天気の子」 \230
 
2023/05/04: アットワンダー JG
原爆オナニーズ 「ON TIME Live At Open House」 \500
 
2023/05/04: DiskUnion JazzTOKYO
Erykah BaduErykah Badu Live」 \480
The Pointer Sisters 「Live At The Opera house」 \3950
The New Mastersounds 「This Is What We Do」 \480
The New Mastersounds 「Live At La Cova」 \580
Eric Dolphy 「Out To Lunch」 \880
Eric Dolphy 「Last Date」 \680
Jimmy Smith 「Root Down Jimmy Smith Live!」 \680
Ruben Blades 「Ruben Blades Y Son Del Solar Live!」 \480
Radio Tarifa 「Rumba Argelina」 \330
Nara Leao 「O Canto Livere De Nara」 \880
 
2023/05/06: メルカリ
Big Youth 「Screaming Target」 \1890
 
2023/05/07: diskunion.net
Fleetwood Mac 「Live At The Boston Tea Party (Part 3)」 \2150
The New Mastersounds 「Live In Francisco」 \680
Guru Guru 「Kanguru」 \1100
 
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Gang Of Four 「100 Flowers Bloom」
 
ロックとクラシックの違いを考えた時に、一番の大きな差は
楽器の編成や曲調ではなく、感情の表し方なのだと思う。
ロックは苛立ちであれ恋焦がれる気持ちであれ直接的に叩きつける。
そのダイレクトさ、リアルさが高ければ高いほど良い。
極論、歌や演奏が下手すぎても尋常じゃない熱意があれば向き合うことができる。
 
クラシックはそうはいかない。
もちろんそれは感情を一切排除することではない。
故郷を慕う気持ちであれ高まる愛を伝えるのであれ、
直接的には表さずとも、にじみ出るものを大切にする。
鍛錬に鍛錬を重ねて正確に楽器を扱えるようになり、
正確に楽譜を再現できるようになったところで、
そのかすかな隙間に忍ばせるものなのだ。
 
年を取ってうまくなったロックミュージシャンについても同じことは言えるかもしれない。
自分のスタイルというものを作って、それがいつでも取り出せるようになっている。
基本はそのスタイルに沿って演奏し、その日の気分によってわずかにニュアンスを変えていく。
場合によっては大きく崩してみるが、いつの間にかきちんと元の場所に収まっている。
リスナーとしてそれを楽しめるかどうか。
少なくとも僕は若いころ、よくわからなかった。
感情をむき出しにして激しくつんのめるパンクの方が心に響いた。
 
ロックが表すある種の感覚の中で、
僕が聞いてて最も求めるのは焦燥感、ヒリヒリした感覚。
その背後にある苛立ち、暴力衝動、殺意。
やむにやまれぬもの。身をかきむしるようなもの。
これこそクラシックには求めえないものではないか。
それは音の緊張感、テンションの高さとなって表れる。
焦燥感のあるロックが最も緊張感が高い。張りつめている。
 
ロック界で最もその焦燥感に駆られたバンドが Gang Of Four だと思う。
単なる”四人組”ではなく、中国の文化大革命を推し進めた
江青などの”四人組”が名前の由来となっていることからして腹に一物有り。
メンバーの多くが通っていたリーズ大学は当時政治意識がかなり高かったという。
 
「Entertainment!」(1979)はどこを切っても焦燥感しかない。
闇雲にカミソリで切りつけるようなギター。
乱暴なディスコベース。投げやりなチンピラヴォーカル。
代表曲”At Home He's A Tourist”を、暴力的で性急なカッティングのギターソロを
まだの人は是非聞いてみてほしい。脳髄をかきむしられる。
これ以上にかっこいいギターロックはない。
 
彼らの本質はパンクではなく、ファンクにあったように思う。
しかし、重心の重たいファンクを前面に出した2作目の「Solid Gold」(1981)で
1作目のパンクを期待する向きが離れ、
さらにファンク路線を推し進めた3作目の「Songs Of The Free」(1982)は
ロックのガイドブックでは見向きもされない。
でもこちらが好きというコアなファンも多いですね。僕も好きです。
少なくとも1作目、2作目は甲乙つけがたい。
後者には必殺の、本当に心臓が止まるかのような ”Paralyzed” が収録されている。
 
4作目「Hard」(1983)を出したのちに解散、
再結成して「Mall」(1991)と「Shrinkwrapped」(1995)を発表。
以後断続的に再結成を。アルバムも時々発表している。
真に独創的なギタリスト、アンディ・ギルはリスペクトの声も高く
レッチリなどいろんなバンドのプロデュースを行ってきたが、
正直代表作と言えるようなものはないと思う。
Gang Of Four の最初の3枚を超える音楽は生み出せなかった。
2020年に亡くなり、ジョン・キングやサラ・リーなど
80年代当時のメンバーが中心となって今も活動を続けている。
 
今回購入した「100 Flowers Bloom」はそんな彼らの90年代までの音源を集めたベストアルバム。
2枚組にびっちり80分ずつ収録されている。
Rhino だけあってさすがの内容。
アルバムから何曲かずつ取ってきて時系列に沿って並べるなんてことはせず、
ライヴ、デモ、ミックスなど未発表の音源が多数。
これはその曲の最良の状態を探して構成したらそうなったということなんだろうな。
 
最初の5曲の流れからしてすごい。
”Not Great Men” 「Entertainment!」より
”I Parade Myself (Alan Moulder Catwalk Club Mix)” 原曲は「Shrinkwrapped」より
”paralysed” 「Solid Gold」より
”To Hell With Poverty (7'' Single Version)” 同名シングルより(アルバム未収録バージョン)
”The History Of The World (Live 1984)” ライヴアルバム「At The Palace」(1984)より
頭をつかまれて強引に引きずり回される。
聞いていてどす黒い凶暴な気持ちになる。
やはり「Entertainment!」「Solid Gold」の曲が多めとなるが、
以後のアルバムからの曲と組み合わせて違和感がなく、
2枚を一気に聞き通して全く飽きない。心地よい疲れだけが残る。
これ以上のベストアルバムは考えられないな。
(160分キツキツに入れ込んだので無理だけど、僕としては
 「Songs Of The Free」の”We Dream As We Dream, Alone”が入れば完ぺきだった)
 
昔はよく見かけたけど、最近は全然見つからず入手まで時間がかかった。
国内盤は有名なロックの評論家、
ジョン・サヴェージの解説の翻訳が載ったブックレットが付いてるんだけど
この文字が小さすぎて視力1.5をキープする僕ですら読むのは辛かった。
なんでここケチるかな。
難点と言えばそれぐらい。
 
「Entertainment!」「Solid Gold」にはまった人は
なんとか入手して聞いてみてほしい。