先週買ったCD #156:2023/10/09-2023/10/15

2023/10/10: www.amazon.co.jp
Techno Animal 「Re-Entry」 \2417
 
2023/10/12: メルカリ
TETORA 「Re-rec for the future」 \1980
 
2023/10/14: diskunion.net
Brigitte Vardot 「Brigitte Bardot Show」 \3650
Tears For Fears 「Saturnine Martial & Lunatic」 \3650
Hanoi Rocks 「All Those Wasted Years ...」 \1400
 
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Tears For Fears 「Saturnine Martial & Lunatic」
 
Tears For Fears と聞いて皆がイメージする、
彼ら(ローランド・オーザバルとカート・スミス)の全盛期
2枚目「Songs From The Big Chair」(1985)と
3枚目「The Seeds Of Love」(1989)、
そして仲違いの末にカート・スミス脱退後、ローランド・オーザバルのソロ・プロジェクトとなった
「Elemental(1993)の頃の
アルバム未収録のシングル、シングルのB面曲を集めたコンピレーション。
 
当時、rockin'on では確か『無菌室の子供たち』といったキャッチフレーズで語られていた。
つまり、イノセント。
世の中の動向に迎合せず、自分たちの曲作りの質を高めていく若きユニット。
2人の求めるものは単なるポップ・ソングではなかった。
あくまでアートとして音楽を紡ぎ出していたように思う。
彼らのヒットしたシングルを例に挙げると
”Every Body Wants To Rule The World” はまだわかりやすいとして、
日本でも車のCMに使われた ”Shout” の屹立した異質感。
これ、全米1位になってるんですよね。
 
その彼らの、異質サイドがメインになった1枚。
シングルのB面だけあって、アルバムには収まらない実験的な楽曲ばかり。
アンビエントなもの、第三世界的リズムを追求したもの。
シングル曲のバックトラックを加工したもの。
バラエティーに富んでいるが、どれも陰りがある。
 
そもそもタイトルが土星、火星、月。錬金術的。
2人だけの実験室ならぬスタジオで夜な夜な繰り広げられたのだろう。
作曲そのものの実験もあれば、ダブミックスといった音の実験もある。
彼らの本質は絶対こちら。
ある意味裏ベスト
ただし、初心者は絶対聞いちゃいけない。そんな秘密めいた、謎めいた音。
しかしその純度を高めていくうちに、突き抜けてそれは裏側からポップに肉薄する。
 
普通こんなことできない。ある意味、天才。
ある種の人は目の前のその一歩を踏み出せばその領域に辿り着く。
一方で彼らはそこまで器用ではなく
わざわざ地球を一周して、壮大な回り道を経てそこに辿り着く。
そんなもどかしさが、不器用さが、どこかにある。
純粋無垢ではあっても、天真爛漫ではない。
 
実験には化学反応が必要で、
ローランド・オーザバルのソロ・プロジェクトとなって90年代にアルバムを何枚か出すも
かつての成功には遠く及ばない。
Tears For Fears のメインのソングライターはローランド・オーザバルではあったが。
 
そんな彼らも21世紀になって再結成。
昨年、2022年には新作「The Tipping Point」も発表。
BS朝日の『ベストヒットUSA』にも2人そろって登場して
小林克也のリモートインタビューに答え、スタジオライヴを披露していた。
陰と陽のようなもので、やはり2人そろったところで実験はうまく行くのだと思う。
 
この「Saturnine Martial & Lunatic」
僕も長いこと知らなかった。
「The Hurting」(1983)からの最初の3枚ばかり聞いていた。
国内盤を手に入れることができず、まずは輸入盤で入手。
最近になってようやく国内盤の中古が DiskUnion に入荷した。
それをすかさずゲットしたものの、3,650円とプレミアがついていた。
内容が内容だから売れずにすぐ廃盤となってしまうのは仕方がないか。
しかし、この値段なのだから、DiskUnion も名盤と認めているのだろう。
往年の Tears For Fears のファンのために気軽に買える値段になってほしいと思うが。