CDと文庫

昨日は暖かい日ということもあって自由が丘の店はお客さんも多かった。
神保町 PASSAGE の棚主仲間の方が夕方ふらりと来て、CDを2枚買ってくれた。
妻からは朝、環八の渋滞の中で
「CDが思いのほか売れない、スペースを他の商品に充てることも考えたい」
そんな話も出たばかりだった。
 
その方もまた自らオンラインのCDショップを運営している。
「レコードは扱わないのですか?」という妻の質問に対して、
CDというフォーマットが今でも好きですと。
「CDって文庫みたいなものじゃないですか。気軽に聞けていいですね」
 
なるほど、そうか、と思う。
僕も何となくそういう感覚を抱いていた。
 
妻も言う。「CDのライナーノーツを読むのもひとつの読書ですしね」
ダウンロードだとジャケットの中のアートワークやクレジット、解説が含まれない。
そういったものを一通り含んでのアルバムであったり、作品なのだと僕は思う。
 
僕は古い人間なので、
サブスクで聞いている音源はあくまでデータ、情報のパッケージでしかないと思う。
kindle で読む「書籍」がデータでしかないのと同じように。
 
それでいくとレコードは単行本のようなものか。
大型本や豪華本といった様々な版型の本を含む。
CDは文庫や新書でしかないが、
レコードは様々なそれ以外の書籍となりえる可能性を孕んでいるように思う。
レコードの多様性はそこにある。
レコードの音がいい、アナログの手触りがあるというのは、
そのまま紙の書籍の温かな質感に通じるものがある。
さすがに文庫、新書にはそこまで求めない。
 
CDってそういうことなんだな。
そう思いながら棚のCDを並び替えた。