先週買ったCD #200:2024/09/02-2024/09/08

2024/09/03: tower.jp
Chicago 「Chicago 16」 (\1980)
タワレコのポイントで
 
2024/09/05: tower.jp
Jessica Pratt 「Here In The Pitch」 \3110
 
2024/09/05: メルカリ
Flamin' Groovies 「Sixteen Tunes」 \1480
 
2024/09/05: diskunion.net
The Doors 「Live In Bakersfield, August 21, 1970」 \3850
 
2024/09/07: DiskUnion 神保町店
Bob Merley & The Wailers 「Burnin' +17 Deluxe Edition」 \1500
 
2024/09/17: 音楽堂
Motley Crue 「Motley Crue」 \2670
 
2024/09/07: 青熊書店
Marilyn Monroe 「Let's Make Love」 \1100
 
2024/09/08: diskunion.net
Melt Banana 「3+5」 \3080
 
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Flamin' Groovies 「Sixteen Tunes」
 
先日、妻が神保町の問屋から仕入れてきた音楽本の中に
ソウ・スウィート・パブリッシングから出ている、
ミュージシャンが自らの音楽遍歴を語りながらレコードを紹介するというシリーズがあった。
チバユウスケ真島昌利ザ・コレクターズの古市コータローの3冊があった。
まずは1冊自分で買うか、としたとき、
ブルーハーツを聞きまくった中学生時代を過ごした僕としては
マーシーのを最初に手に取ったものの、
結局買ったのはチバユウスケだった。
『EVE OF DESTRUCTION』というタイトル。
モノクロのポートレートで、煙草をくわえている。
 
昨年、惜しくも55歳の若さで亡くなった。癌だった。
Thee Michelle Gun Elephant はど真ん中の世代で
フジロックとか、いくらでも機会があったはずなのに見れなかった。
あの頃はカラオケに行くと誰かが ”バードメン” や ”Get Up Lucy” を歌っていた。
単純な曲のはずなのに、あんなふうにかっこよくは唄えない。
丁寧になぞったら全然違うし、かといって勢いで押し込めばいいのではない。
彼らにしかない美学、粗さ、切なさがあった。
 
単にガレージロック、パブロックをやってるのではないのは聞けばすぐわかる。
若いうちからいろんなのを聞いてここにたどり着いたのだな、
そぎ落としてこのスタイルになったんだなと。
『EVE OF DESTRUCTION』を読んでみてもよくわかる。
UKニューウェーヴやUSオルタナティヴは当然だし、
スカやサントラ、ジャズのセクションもあった。
 
でもやっぱ中心はパブロックとガレージとなる。
Dr.Feelgoodに始まって、The SonicsThee Headcoats など。
ああ、彼も The Cramps が編んだ「Born Bad」持ってんだな、と嬉しくなった。
 
そんな中、目に留まったのが Flamin' Groovies
アメリカ西海岸でガレージと言えば、やっぱ彼ら。
そういえば、持ってたなあと棚を探してみたらあった。
ベストアルバム「Groovies Greatest Grooves」(1989)の国内盤。
いつ買ったんだろ?
彼らのトレードマーク、ミッキーマウスをパクったとしか思えない例のキャラが
ギターを抱えて朗らかに歌っている。
だけど彼らの音はそんなにヤワなものじゃない。
 
彼らの活動はいくつかの時期に分けられる。
Lovin'Spoonful や NRBQ が所属していた Kurma Sutra レーベルから出していた
1970年代初め頃。
Sire に移籍してからの1970年代半ば。
それ以後はヨーロッパに活動の拠点を移して主にライヴ活動。
 
「Groovies Greatest Grooves」は Sire 期のもので、
「Shake Some Action」(1976)「Now!」(1978)などから。
ギター、ベース、ドラム、ヴォーカルだけの素っ気ないロックンロール。
取り立て演奏が上手いわけではなく、取り立てて曲がいいわけではない。
流行は追わず、ビッグになりたいという野望もなく、
自分たちのやりたいロックがやれればそれでいい。
そういう、一流のB級。(二流のA級ではなく)
 
もっと聞きたくなって探してみたら今回の
「Sixteen Tunes」(1990)をメルカリで見かけた。
国内盤帯付きの美品。
Kama Sutra期とSire期の間の、短いSkydog期のコンピだった。
彼らは活動の場を求めてイギリスに渡り、後にアメリカに戻って Sire と契約という流れのようだ。
 
Skydog から出したライヴEPなどをまとめている。ゆえに
”River Deep Mountain High”(アイク&ティナ・ターナー
”And Your Bird Can Sing”(ビートルズ
”Jumpin Jack Flash”(ストーンズ
”Feel A Whoke Lot Better”(バーズ)
などのカバーが多い。
どこかで聞いたことのあるような、ないようなスカスカなガレージロック。
これはこれでかっこいいんですよね。刹那的で。
投げやりではないけど、一本気でもない。
ギリギリのバランスで成り立ってるけど、魔法がかかってるわけではない。
彼らの音がある、というただそれだけ。
 
そういう引き算のエモーションというものもある。
初期 Primal Scream のやりたかったのは
絶対 Flamin' Groovies だと思う。
 
残念ながら音は良くない。
リマスターされたら音に凄みが出て名盤になりそうなのに、
たぶん誰もそんなことしないだろう。
というかこの音の悪さがガレージロックの身上でもある。
ライヴ音源の方はかなり粗雑。
だけど、スタジオ録音の音源になって少し整理されたクリーンな音になると
逆に物足りなく感じてしまう。
 
Thee Michelle Gun Elepahnt も
そういう荒さをあえて出そうとしていた。
ガレージロックの隙間に
性急な思いやロマンチシズムを押し込んだバンドだった。