先週買ったCD #179:2024/03/25-2024/03/31

2024/03/26: www.hmv.co.jp
鬼束ちひろ 「Virgin Tokyo Days ~Early Works (2000-2003)~」 \13200
Laibach 「Nova Akropola - Expanded 3CD Clamshell Box」 \5280
Daft Punk 「Random Access Memories (Drumless Edition)」 \2680
 
2024/03/26: tower.jp
The Cure 「Paris (expanded 30th anniversary edition)」 \2790
 
2024/03/26: diskunion.net
FL$8KS 「FL$8KS」 \4650
Three Dog Night 「Naturally」 \1300
Gabor Szabo 「Dreams」 \1500
 
2024/03/27: www.hmv.co.jp
Kim Gordon 「The Collective」 (\2860)
HMV のポイントで
 
2024/03/29: BOOKOFF 練馬高野台駅北口店
Soulwax 「From Dee Wee」 \1430
Gicolo Aunts 「Minor Chords And Major Themes」 \660
Sum 41 「Half Hour Of Power」 \330
 
2024/03/29: diskunion.net
Katy Pderry 「Teenage Dream Complete Confection」 \680
C.O.S.A. x Kid Fresino 「Somewhere」 \1500
 
2024/03/30: diskunion.net
The Tony Williams Lifetime 「Turn It Over」 \1300
 
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20代の頃、一番好きなバンドを聞かれると Sonic Youth と答えていた。
来日公演も何度か見に行った。
あるとき、新宿の Liquid Room で。
一緒に見に行った映画サークルの先輩が「あっ!」と。
ドラムのスティーヴ・シェリーが一人でふらっとコマ劇場の横を歩いていたのを見つけた。
目ざとく駆け寄って、サインしてもらった。
フジロックでも何回か見ている。
ジム・オルークが加わって5人編成だった時もあったな。
 
80年代を通じて USアンダーグラウンド、インディーの帝王として君臨。
「Daydream Nation」(1988)などの名作を残す。
僕が高校生の頃、メジャーのゲフィンに移籍、「Goo」(1990)を発表。
これが Nirvana などの若い世代のオルタナグランジの波とシンクロ。
破れかぶれなもどかしさを体現した、それでいて大人の冷ややかな知性を合わせもった
ギターロックは今聞いてもかっこいい。
(この「Goo」のジャケットをプリントしたTシャツを今でも街で見かける)
その後の「Dirty」(1992)など緊迫感あるアルバムを発表し続け、
アメリカのオルタナティヴ・ロックをけん引し続けた。
 
コンスタントにアルバム発表とライヴ活動を続けるも2011年に活動停止。
そのこともショックだったが、それ以上に衝撃だったのが、
オルタナティブ・ロック界随一のオシドリ夫婦と思われていた
サーストン・ムーアとキム・ゴードンが同じ年に離婚していた、というニュース。
(ゴシップ的な話だが、サーストン・ムーアの浮気が原因の一つだという)
恐らく、Sonic Youth が再始動することはないだろう。
 
サーストン・ムーアはその後もコンスタントにアルバムを発表し続けたが、
キム・ゴードンは案外そうでもなかった。
Boredoms のヨシミらとの Free Kitten などのサイド・プロジェクトが
Sonic Youth 時代から盛んだったし、
アート作品のコラボや『x-girl』のデザイナーといった活動もあった。
意外とソロアルバムは2019年の「No Home Record」が初めてで、
先日出た「The Collective」は2作目なのだという。
 
予想していた音とはかなり違った。
インダストリアル・ヒップホップとでもいうのか。
1曲目に組み込まれた、鳴りやまない踏切の音が不穏な空気を掻き立てる。
恐らくサンプリングでビートを組み立てのだろう。
そこにノイズとラップとポエトリーリーディングの中間のような歌を加える。
ギターはほぼ入ってこない。
 
キム・ゴードンがアメリカ社会に対して抱く苛立ちのようなものが音に現れたのか。
ノイズとジャンクにまみれていても、100%攻撃的な音ではない。
そこにしなやかな感性を感じ取ることができる。
剃刀、有刺鉄線といった異物はあるが、生身の傷や汚物はない、とでもいうか。
ノイズはあるが、エラーはない、とでもいうか。
否定をするのではなく、心象風景を淡々とつづったもののように思える。
 
ヒリヒリした音ではあるが、こういったインダストリアルなジャンクで構築した音楽だと
80年代のジム・フィータスの諸作
「Hole」(1984)「Nail」(1985)「Thaw」(1988)の方が一枚上手なのは確か。
 
キム・ゴードンにとってこの作品は過渡期にあるんじゃないか、という気がする。
こういったノイズ、ジャンクを昇華した先のシンプルで純粋な音楽を聴いてみたいと思う。
遠くに生活音がかすかに聞こえ、そこにギター一本で歌うというような。
ノイズで武装せず、もっと生身の声を。
往年の一ファンとしての願い。