市井のカツカレー4選

おいしカツカレーを探して日々、あちこちで食べている。
並ばないと入れない有名店で食べることもあるが、
どちらかというと何気ない町の食堂や中華料理屋で見つかると嬉しい。
何度か書いてきたところもあるが、ここ数年、出会ったカツカレーをまとめようと思う。
今回は4軒。
(神保町の「キッチン南海」や「まんてん」は何度も書いてきたので除く。
 有名店の小川町の「ポンチ軒」や町田の「アサノ」も確かにおいしかったけど、
 10年以上行ってないので除く)
 
「辰巳軒」(石神井公園
戦後の時代、坂口安吾がノイローゼに近い状態にあって檀一雄の家に身を寄せていた時に
何を思ったかこことその近くの「ほかり食堂」からカレーの出前100人分を取り寄せたという、
いわゆる「坂口安吾カレー事件」で知られる。
家から歩くと30分の距離だったので、あるとき石神井公園への散歩がてら行ってみた。
古びた町の料理屋。でも近くの人なのか、いつ行っても常にほぼ満席。
カレーライスもあったが、カツカレーもあったので頼んでみた。
昭和の甘い、どろっとしたカレーに揚げたてのごく普通のカツ。
何も足さない、何も引かない。定食屋のカツカレーとしての完成度、純度が高すぎる。
現時点で僕としてはNo.1のカツカレーはここ。
休日の午後、名物のハムカツや春巻きで瓶ビールを飲んだ後で、最後にカツカレー。
他にもフライの盛り合わせの定食とかあるのに、食べてみたいのに、結局いつもカツカレー。
facebook で先日たまたま見かけたんだけど
体調を崩されて今は休業中らしい。早く良くなってほしい。
なお、「ほかり食堂」はすぐ近くでつい数年前まで営業していたが、残念ながら閉店。
 
「志波田本店」(大岡山)
妻が大岡山に店を出して、手伝いのため週に一度は通う。月に4・5回になる。
そのうち2回はここ志波田本店で、月に一度は必ずここのカツカレーを食べる。
「辰巳軒」のカツカレーもなかなか最近行けないので、
僕にとっては今一番都内で好きなカツカレーはここ。
蕎麦屋。なのに蕎麦屋のカレーではなく、
家庭のカレーと洋食屋のデミグラスソースのようなカレーの中間のような。
しっかり食べ応えがある。
かつは割と厚めで、食べ終えるとしっかりとした満足感がある。
おススメは、メニューにはないけど頼むと普通に出してくれるカツカレーのセット。
通常のカツカレーは味噌汁が付くけど、セットにするとハーフサイズの蕎麦が付く。
冷たいの(ざる)か、温かいの(かけ)を選ぶ。
この蕎麦がまたうまいんですよね。
あっさりとしてほどよく深みのある出汁がいい。
 
「やしろ食堂」(荻窪
就職してから結婚するまで荻窪に15年ぐらい住んでいて、
床屋を変えずに今も月に一度荻窪へ。
先日ふと、たまには荻窪で昼を食べるかとカツカレーで検索すると「やしろ食堂」がヒットした。
名前は聞いたことがあったが、これまで食べたことはなかった。
北口の教会通りの商店街に入る。
古びた定食屋があった。あ、ここか。素通りしてたな……
年配の夫婦と息子(?)が営む。
迷わずカツカレー。
ご飯の上にキャベツとカツ、それらすべて包み込むようにカレーのルーをかける。
ジャガイモの入った、どろっとした家庭のカレー。ピリッと奥の方で辛い。
カツは大きくもなく小さくもなく、厚くもなく薄くもなく、家で食べる控えめなとんかつ。
でもそれがいいんですよね。
最近出会った中ではホームラン級のうまさでした。
 
「春慶」(二子玉川
結婚後最初に住んだのが、二子玉川、用賀、上野毛の3駅の真ん中にある瀬田。
二子玉川からだと高級住宅街を横目に見ながら急な坂を上ることになる。
あの辺りはあんまり飲食店がないのですが、ポツンと一軒路地裏に。
引っ越した先の町においしい町中華があるってうれしいことですよね。
五目かた焼きそばがおいしいし、何よりも春巻きがおいしい。
ここの春巻きは僕の知る限り、都内一。
そしてカレーライスも、町中華のものとしては都内一だと思う。
(単体で見たら、辰巳軒よりも好き)
ケチャップが隠し味に入ってるのかなあ。少し赤みがかっている。
ここは天津飯もおいしく、その甘酸っぱい餡がどこか関係しているのか。
グリンピースが乗っているのも、町中華っぽくていい。
カツカレーはメニューになく、頼むと作ってくれる。
ルーに隠れたカツは小ぶりで、裏メニューなので致し方なし。
でもカツライスはメニューにあるんで、それはそれでおいしいんですよ。
小さな店で、どちらかというと出前が中心。
いつもひっきりなしにご家族の方が車で配達している。
無名の人気店。町中華かくあるべし。