荻窪から光が丘まで歩く

涼しくなり、歩くのが気持ちい季節になった。
昨晩は妻も僕も仕事が早く終わって晩御飯も19時過ぎには食べ終わり、
夜の散歩に出ることにした。
20時前に家を出て21時半ぐらいに戻ってきたか。
駅前に出て、公園の外側を回るように田柄から成増へと一周して帰ってきた。
前から気になっていた中古ゲーム・漫画の店に入ったら意外と広く、
ドカベン全巻セットやカイジ全巻セットが欲しくなってしまった。
 
今日はあれこれ用事を足すため有休。
飯田橋のクリニックで月一の薬をもらい、そのまま神楽坂の銀行で
外壁塗装工事の代金の振込手続き。
荻窪に移動して杉並区役所で母に頼まれた戸籍謄本を。
午前中のうちに片付いた。
 
こんな格好で外を歩けるのも今日明日が最後かと
短パン・ポロシャツ・サンダルでいたら朝、飯田橋の駅でそんな格好してる人は皆無で。
世間はすっかり秋。長袖にさらにもう一枚羽織っている。場違いすぎた。
でも昼になったら日差しが出てきて暑いぐらいに。ちょうどよくなった。
荻窪から歩いて家まで行ってみるか、と思う。
環八から笹目通りまでまっすぐ行けばいい。
途中、石神井公園に寄っていくことにする。
先日から気になっていた町中華「辰巳軒」に行ってみようと。
 
青梅街道を四面道で環八に。
勝浦タンタンメンの「ビンギリ」が営業を再開していて、よかったと思う。
5月後半、試しに行ってみたときにはコロナで休業となっていた。
今度床屋で来た時には食べに行くか。
そのすぐ先にBS-TBS町中華で飲ろうぜ』の荻窪編で玉ちゃんが入った「ことぶき食堂」が。
こんな近くだったのか!
玉ちゃんはサウナ帰りに訪れると言ってたな。
さらに歩くともう一軒訪れた「凛」があった。
 
そのまま北へと歩き続けて井荻駅周辺に出る。
いつも妻の運転する車でこの辺りを通るときは地下のトンネルに入るので
駅前がどんなだったかよくわかっていない。
就職してから15年間荻窪に住み続けてこの辺りも散歩や自転車で来ていたはずだが……
トンネルの地上部分は植え込みになって、歩道には街路樹が植えられていた。
町並みはこじんまりとしている。商店街もわずかばかり。
平日は通勤電車で都心に往復、土日に利用するだけというのなら
これぐらいコンパクトな方が住みやすいかもしれない。
 
西武新宿線のこの界隈はまだ高架化されていない。
地下道をくぐって北口に出る。さらにまた歩く。
井草の森公園を過ぎて、早稲田通りを通過、旧早稲田通りにぶつかったところで曲がって入っていく。
荻窪に住んでいた頃は毎年桜の時期に父の墓参りで大泉学園にあるお墓へと通っていた。
自転車に乗って青梅街道をひたすら西に進んで祖母の実家のある保谷を経由して大泉学園へ。
帰りは石神井公園に寄って、旧早稲田通りを通って荻窪に戻ってくる。
この通りが石神井公園から荻窪の天沼方面まで一直線に斜めに突っ切って近道になるんですよね。
荻窪から適当に自転車で走っているときに見つけたときにはあまりの早さにびっくりした。
それを今回歩くことになるとは。
ああ、ここにこのソバ屋あったなあ、なんてあれこれ思い出す。
 
石神井川を渡って、石神井公園の中を少し通り抜けて商店街に入る。
目当ての辰巳軒を見つける。1時間半ぐらいかかったか。
古くからの町中華。年季の入った佇まい。創業80年近くとなるようだ。
厨房を覗くとおじいさんが揚げ物の様子を見ている。
出来上がった皿をおばあさんが運んでくる。
暑い中歩いてきたので瓶ビールが気持ちいい。おつまみにかっぱえびせんがついてきた。
 
ここの名物のひとつがハムカツだと聞いたので春巻きと一緒に頼んでみる。
マツコの知らない世界』でハムカツを取り上げたときにここも登場したと。
ビールを飲みながらしばらく待つ。
鶏ささみフライのような細長く分厚い揚げ物が皿に乗っていて、中にはポテトサラダがたっぷり詰まっている。
熊本名物のポテトサラダを詰めたちくわ「サラダちくわ」を思い出す。
これはウマいに決まっている。
この店は絶対半年以内に『町中華で飲ろうぜ』に登場するはずだ。
 
もうひとつの名物がカレー。せっかくなのでカツカレーにする。
辰巳軒は文学史に名を残す「坂口安吾カレー事件」のあの店でもあった。
1951年のこと。ギャンブルでトラブルを抱えた坂口安吾は当時石神井に住んでいた檀一雄の家に隠れることに。
そんなある日何をきっかけとしたのか、坂口安吾は夫人を通してカレー百人前をこの店に頼んだという……
その頃睡眠薬を濫用していたとされるのでそれが影響したのかもしれない。
ネットで調べてみると実際には30人前で打ち止めとのこと。
 
出てきたのは小麦粉の多いドロッとした昭和のカレー。
ほのかな甘みがあって、だけどその奥にピリッとした辛さがある。
ルーの上にカツを乗せるのではなく、ご飯の上にカツを乗せてルーをかけるスタイル。
もはやルーの中の具材と言っていいような。
とんかつ専門店やカレーの専門店では出せない、町の定食屋、中華料理屋ならではの味。
いや、実際このカツカレーはいい! 今のところ今年一番かな。
近々妻と散歩してここでビールを飲みながらカレーを食べるか。
 
石神井公園から光が丘までまたさらに30分かけて歩いて帰った。
トータル2時間。
ライフで買い物をして、週末に向けてカレーをつくる。
辰巳軒の味わいを再現したく、ルー多めでドロッとさせてみた。