東京に戻る

朝起きて、テレビのワイドショーを見ながら母の作ったカレーを食べて、
家中に掃除機をかけて荷物をまとめるともう家を出る時間になる。
カレーの残りを1回の食事の分ずつ分けて詰めてもらって、
親戚からもらった缶ビールの6本パックと一緒に
たまたまそこにあったタワーレコードの大きな黄色い袋に入れる。
最後の最後に父の遺影をビデオで撮っておく。


バスに乗って青森市街へ。
昨日の中古CD屋に行って、Peter Ivers の他のを買う。聞いてみていろいろ気になった。
アメリカの70年代のシンガーソングライター。


バスに乗って青森空港へ。
後はもう撮影もなく、ただ普通に飛行機乗って帰るだけ。
出発の時間までをロバート・シェクリイの昔の短編集を読んで過ごす。
読むのに疲れてくるとロビーに置かれていたテレビを見る。
静岡県磐田市の市長の娘は失踪から4日目、
市川新之助が襲名パーティーに大勢の芸能人が集まり、
六本木ヒルズ回転ドアに挟まれて死んだ「涼」君の告別式が行われる。
世の中の動きはそんなところだった。


前の便の到着が遅れて準備が間に合わず、15分遅れて出発。
すぐにも雲の上に。一面真っ白の絨毯のようになっている。
青森や秋田はこの時間、分厚い雲に覆われて曇っていたのだろう。
羽田付近まで来て機長から放送があり、
空港側の事情により付近を飛んでいる飛行機の着陸が行えない状態になっていると知らされる。
利根川霞ヶ浦が複雑に絡み合っている辺りを飛行機は旋回を続ける。
遠くに1機飛行機が飛んでいるのが見えて、ああ同じような状況なのだろうかと思う。
機体が光を反射して白っぽく輝いている。
その後何事もなく機体が下降していって着陸。
旋回している間は航空管制塔に事故があったとか、テロの危険性とか、そんなことを考えた。
不安になったり、心配したりはしない。
「茨城や千葉ってゴルフ場ばかりなんだなあ」という感想と並列で
「生きてりゃそういうことだって遭遇するよなあ」という乾いた、淡々とした感情がそこにあった。


結局30分遅れ。14時半に羽田到着。
15時半から渋谷で映画を見るつもりでいたので急ぐ。
どうにかこうにか間に合う。イメージフォーラムにて「ヴァンダの部屋」という映画を見る。
土日行ったら混んでそうだったので、
疲れてたけど、平日に休みを取った今日どうしても見ておきたかった。