神宮外苑花火大会「ハナビアンナイト」

昨日の夜、大学の先輩たちと神宮の花火大会を見に行った。
先輩たちはもうかれこれ7・8年は見続けていて、毎年恒例の行事となっている。
今年は僕もそこに加えてもらった。
昨年は雨で順延順延を繰り返していて、確か中止になった。
2年ぶり。去年の分の花火も打ち上げるのではないか?そんな話を先輩たちとする。


18時に待ち合わせる。外苑前駅周辺は花火客で身動きできないぐらいになる。
銀座線に乗った辺りから浴衣を着た女性たちが目につくようになり、
改札を出るともう芋を洗うような大混雑。
青山近辺ってこともあって心なしか浴衣を着ている女性たちが
隅田川の花火大会よりもきれいに見えてくる。


先に行って場所取りをしようとした先輩から、
「いつもの場所が取れなくなった」との連絡が入る。
毎年利用していた日本青年館裏の広場(明治公園)が今年は半分に仕切られ、駐車場になっている。
そのもう半分は見物客用のスペースとなっているがそこは既にいっぱい。
駐車場の方に座ろうとすると警備員がやってきて、しつこく立ち退きを求められる。
例年ならば平日に行われるのに今年は日曜に開催であるため動員数が増えてしまったってことか。
「18時に来ても余裕で場所取りできてたのになあ」
先輩の1人がしまったなあという顔をする。
(今年が日曜なのは、ヤクルトの試合日程によるものなのだろうか?)


外苑前駅から神宮球場に向かって歩いていく。
道路は車両通行止めとなって臨時の客席とされている。
アスファルトの上にビニールシートを敷いて大勢の人たちが花火が始まるのを待っている。
屋台が並んで缶ビールや焼きそばを売っている。
いつもそうしてるからってことで途中の酒屋に立ち寄って僕らは缶ビールを買い込む。


日本青年館、明治公園脇の道路が同じように臨時の客席となっていて、
そこに空いている場所を見つけると新聞を広げる。
みんないい年になったんだから入場料払って中で見たらいいのに、という声があがる。
昔のような貧乏学生ではないのだから無理してただで見る必要はないと。
でもたぶんこうして安っぽく眺めるのがいいんだろうな。缶ビール片手に。


なお、僕は知らなかったのであるが各会場ではライブが行われることになっていた。
指定席にしては高いなあなんて思っていた。
神宮球場のアリーナ席で4500円、国立競技場ではなんと6300円。
「なんで花火を見るためにそんなにお金を払わなくてはならないんだ?」と最初のうちはとにかく不思議だった。
神宮球場では hitomi、フォーリーブス、BON-BON-BLANCO
軟式球場ではあの「マツケンサンバ2」の松平健鈴木亜美
国立競技場では松浦亜弥に先日モー娘。を卒業した辻と加護のユニット
豪華なんだかなんなんだか不思議な取り合わせ。(hitomi 見たかったな・・・)
僕らが通りがかったときにはフォーリーブスが歌っているのが聞こえた。


「神火」と書かれた紺色のTシャツを着た若者たちの姿をよく見かける。
どうも運営側のバイトのようなのだが、連れ立って暇そうにぶらぶらと歩いていた。


「神宮の花火」って言われ方をするので
打ち上げって神宮球場でやるのかと思っていたらそうではなくて、
その隣の第二球場で行われるもののようだ。
火の粉で芝生が焼けるのではないか、
次の日ヤクルトの試合があったら球場整備員は大慌てで芝生を入れ替えるのではないか、
なんて僕は思っていた。


遅れてきた先輩たちもちらほらと現れ、やがて空も暗くなる。
ちっともうまそうには見えないのにたこ焼きを食べたくなって屋台の前で並ぶ。
よく見るとどこもかしこもヤンキーっぽい若者たちばかり。
ヤンキーというとちょっと違うか。
肌の露出が多く、髪は金髪に近いような女性たちとこれから仕事に出かけるホストみたいな男性たち。
待ち合わせ場所の青山ベルコモンズ前で見かけたおしゃれな浴衣姿の女性たちはいったいどこに消えたのか?
(たぶんお金を払ってどこかの会場の指定席で見ているのだろう)
それにしても隅田川の花火を見ていても思ったのであるが、
どうして不良少年・不良少女崩れな人たちはあんなに花火が好きなのだろう?
「火事と喧嘩は江戸の華」と呼ばれていた頃から
やんちゃな人たちの花火好きってのが遺伝子に刷り込まれているのではないかと思われる。


花火が始まる。
案の定僕らの座っていた道路からは木が邪魔になってあんまりきれいに見えなかった。
気がつくと入っちゃいけないはずの駐車場の方にシートを広げている人たちがたくさんいた。
堤防が決壊したかのように次々と人々が押し寄せている。
だったら我々もと新聞紙を持って中に入る。
日本青年館の建物で下の方が切れてしまうのだが、かなりきれいに見ることができた。
先週の隅田川の花火が比じゃないほど。
夜空に広がる赤や黄色の光の欠片と弾けるような音の塊。堪能した。これぞ花火だ。
打ち上げられた数は1万発ということで隅田川の2万発のちょうど半分。
その分確かに華やかさや派手さには欠けていたが、近くから見れたのだからこれで十分。


光の球が次々に現れては消えていく。
滞空時間の長いもの、短いもの。
光よりも音や勢いに力を入れたもの。
数を競うもの。空間を色鮮やかな光の粒で描こうとするもの。
空の一角が小さな光の束で埋め尽くされたとき、子供のように見とれてしまう。
僕らは黙り込んでただひたすら夜空を見上げていた。


一通り打ち上げ終わって、インターバルに入る。
トイレを我慢していた僕は立ち上がって広場の反対側へ。
長い長い列に並ぶ。
並んでいる間にインターバルが終わって打ち上げが再開される。
その場所からは花火を見ることはできず、音だけが聞こえる。
やがてクライマックスに差し掛かったようで音の大きさが半端じゃなくなってくる。
音が消えて一瞬静まり返る。
そのすぐ後に「本日の花火大会は終了しました」とスピーカーからアナウンスが。
一緒に並んでいた先輩と「あああ」とか「やられた」とか言う。
もったいないことをした。


その後、先輩たちとタラタラ原宿まで歩いていって台湾料理屋に入る。
年に1度花火大会のときに入る店。
2年前はここで松たか子を見かけたのだという。
なかなかおいしい店で夜遅くまで飲んで食べて話をする。
僕はかなり酔っていたので場所が思い出せない。


来年は是非ともスタンドで見たいものだ。