紫色の痣


病院に行く。待合室にて座っている。
まだ若い看護婦さんが病室を歩いている。
薄い水色の制服を着ていて、スカートの下から素足がのぞいている。
両足ともあざだらけになっていることに気付いて、なんだか気になる。
それとなく見つめてしまう。
あざなのかなんなのかよく分からないが、紫色の様々な大きさのものがあちこちにできている。
なんだろう?と思う。
もちろんこんなこと聞けない。
僕は彼女の「昼の生活」「夜の生活」について思いをめぐらしてみる。
だけどこれと言って何も思い浮かばない。
そういえばどこかで誰か女性の足を見かけたとき、同じように紫色の斑点が浮かんでいた。
もしかしたら水泳の選手やグラビアアイドル以外の
世の中の多くの女性が同じようにあざだらけなのかもしれない。
女性経験の少ない僕にはどういうことなのかよくわからない。


・なんらかの皮膚の疾患に悩まされている
・ストレスのたまったとき、自ら傷をつけてしまう(意識的に/無意識に)
・同居人が殴る蹴るの暴行を加える
・キスマークの類い
・女性の肌というものはとにかくそういうものなのだ
・そそっかしくてあちこちの角に足をぶつけまくった
・山登りをしていて特殊な虫に刺された
・遺伝的な病気


このことに気付いてから3日経っている。
このところ女性の足を盗み見てばかりいる。
身の回りの知っている人、知らない人、電車の中で座っている人、
紫色の痣を確認せずにはいられない。