「29」編集あれこれ

8月に入って最新作「29」の編集を再開。
ここ3週間でかなり進んだ。


今日はモロッコで撮影した3時間分のテープをビデオカメラで再生しつつ
使えそうな箇所はハードディスクに取り込んでいった。
ロッコのビデオ、ようやく今日になって見た。
旅の思い出として撮ったのではなくて、
あくまで映画で使うという念頭において回していたので、
見ていてあんまり面白いものは出てこない。
列車の中や車の中から撮った風景ショットがたくさんあると
後々使い道出てくるだろうと思ってかなりの分量を撮ったのだが、
現時点での編集プランと照らし合わせてみると不要ということになった。
使うことが決まっているショットをハードディスクに取り込むときは
かなり神経質になって画面を見ているものであるが、
使わないと決まっているものを見てるのでかなりぼけーっとしてしまう。
「あー、モロッコってそういえばこんなだったよなあ」
と懐かしさが半ば入り混じった気分で画面を眺める。
まるではるか遠い昔の出来事を思い出すかのような気分になった。


比較的大西洋に近い都市フェズからアトラス山脈を越えて
砂漠の入口の町メルズーカまで至るドライブに60分テープまるまる1本分をあてていて
山を登るまでは霧が出ていたり寒々とした風景が続くのに
山を越えた途端急に雰囲気が夏っぽくなる、
その一部始終がダイジェストになっていて「ふーむ」と我ながら興味深く眺めた。
車の中ではガイドのイブラヒムさんがカセットテープでかけていたモロッコの曲が流れている。
それが山間の村やオアシス、果てしない地平線と組み合わさるとき、
ちょっとした旅行もののテレビ番組を見ているような錯覚に陥る。「いいねえ」と思う。


3本あったテープのうち1本目がマラケシュのあれこれ、2本目が上で書いたドライブ、
3本目がサハラ砂漠の夜明けを取ろうとひたすら1時間ねばったもの。
真っ暗だった空が紺色になり、灰色になり、
やがて小さな小さな太陽が砂丘の間から顔を出す。
早送りで眺めたら徐々に夜が明けていくのがわかって、ささやかに「おー」と感動する。
その時その場で見たときも思ったんだけど
日の出そのものは意外とあっけなくて特別なものでもなんでもない。
何百万年何億年、っつうかそれ以上の年月繰り返してきたことが
またその日もまた同じように繰り返されたというだけ。
(そのことに思い巡らすとそれはそれでとんでもないことであって感動的なわけであるが)
前にも書いたけど「夜明けを眺める」って時にはそこに至るまでのコンテクストが必要なわけで。
いかに苦労してこの場所へとたどり着いたかとか、
人生の節目となるべき特別なときに夜が開ける瞬間に居合わせたとか、
そんなのがないとね。


今日はアオヤマさんに作ってもらった曲を PC に取り込むということもやってみる。
MD で受け取っている。ふと思うに「これってどうやって取り込むんだ?」
デジタル音源とはいえ、MD プレーヤーからどうやって PC にデータを転送するんだ?
CD-R ならば PC にドライブがついているので簡単にできそうだが・・・。
さいしょのうちはマジで想像つかなかった。
インターネットで調べてみると情報はそんなになかったが、だいたいのことはわかった。
とりあえずステレオミニプラグが両端についたコード買ってきて
一方は MD 側のヘッドホン端子につなぎ、もう片方は PC のライン入力へ。
Windows Media Player とか Real Player で録音ができないかと試してみると
どうもそういうのはできないっぽい。
MP3 がもてはやされた時期から今に至るまで PC で音楽を聞く人ではなかったので
その辺のことにかなり疎い。
フリーウェアで便利なツールがないか探したら見つかった。結構ある。
Vector のリストでトップにあったやつを
ダウンロードして試しに使ってみるとあっさり簡単に音の取り込みができた。
MD の Play ボタンを押したらそのツールでも録音開始ボタンを押すという非常にアナログなもの。
デジタルデータを扱っているはずなのに・・・。
小さな頃やったようにダブルデッキのラジカセでダビングをするようなもの。
画面の中の「録音」ボタンをマウスでクリックするのってなんだか変なもんである。