Aimee Mann 来日公演

昨日の夜、会社の先輩に誘われて会社帰りに
恵比寿の Liquid Room に Aimee Mann のライブを見に行った。
(新宿の Liquid Room がなくなったことは知ってたけど、恵比寿に移ってたんですね)


Aimee Mann のアルバムを何枚も持っていて、日々よく聞いていて、
ソロとして初の来日公演を楽しみにしていたという人が多かったと思う。
でも実を言うと僕はそんなに熱心に聞いてはいない。アルバムは持ってても。
チケットがあったし、せっかくの機会だから見てみるかというスタンス。
旬の人だし。(ポール・トーマス・アンダーソン監督の「マグノリア」のサントラで
一躍脚光を浴びてから、ずっと、旬の人と呼ばれ続けているように僕には感じられる)


Liquid Room のフロアでは開演待ちの音楽として
The WhoNeil Young がかかっていた。その他も70年代のロック。
かき鳴らされるオルガン。跳ねないリズム。
音色、というよりはフレーズがひずんでるギター。
土臭いんだけど重くはなく、都会的なブルース。
現代に置き換えてポップな要素をまぶしたら Matthew Sweet に通じるような。
ああ、Aimee Mann のルーツ/関心はここにあるのだな、ということを考えた。


(大阪は余ってたらしいが)東京公演は即日ソールドアウト。
その追加公演。始まる前に見渡してみたらフロアを人が埋め尽くしていて、
後から遅れて来て入れない人たちが脇の方で見ていた。
やっぱ Aimee Mann 人気あるんだなあ、と思った。
でも、もうちょっと大きな場所でもよかったかもしれない。
僕のようないけてない文系青年みたいなのも多かったが、
普通にオルタナ系ロックが好きそうな若い男女や
30代後半や40代の会社帰りの男性、東京在住と思われるアメリカ人男女、
フェミニンなシンガーソングライターが好きな20代後半から30代前半ぐらいの女性、
などなど客層はかなりばらばら。それだけ支持層も広いということか。
「ふとした機会に耳にした曲がよくて、その後も聞き続けた」って人が多そうだ。


ほぼ時間どおりに、さらっと Aimee Mann 登場。
肩まで伸びたブロンドの髪、青い瞳、右肩の刺青、長身で華奢な体。
細身のジーンズに赤のタンクトップ。魚の絵とデフォルメされた漢字があしらわれている。
1曲目はエレキギターだったけど、
2曲目以後はアコースティックギターを弾きながら歌った。
途中2曲、'Til Tuesday 時代に担当していたベースを持った。
(1回目のアンコールではキーボードも弾いた)
バンドのメンバーはギター、ベース、ドラム、キーボード。4人とも男性。
ドラム以外は中途半端に髪が長くて、女にルーズそうな雰囲気があった。
たまたま集めたメンバーがそうだったのか、それとも Aimee Mann の好みだったのか。


最初の方、曲の間にこんなことを言ってた。
「日本に来たいと長い間思っていました。'Til Tuesday で来たときから19年になります」
80年代半ばに 若かりし頃のAimee Mann がメンバーだった 'Til Tuesday がブレイクして
(その頃のアルバムのジャケットではプラチナブロンドの髪をパンクに逆立てていた)
来日公演も行うもののその後パッとせず解散。その後思いっきり紆余曲折を経る。
もう1度キャリアを組み立て直して第2の成功を得るまで
生まれたばかりの子供が大人になるぐらいの時間が必要とされた。
そう考えると今ここに立って大勢の日本のファンに囲まれて歌っている姿ってとても感慨深い。
見ていたほとんどの人がそのことに思いを馳せていて、暖かく見守っている、
あるいはただ素直に彼女の曲に耳を傾けている、
フロアにはそういう大人の観客が多かったように感じられた。
ステージの上には楽器とマイクと演奏する人たちだけ。
スモークが焚かれていたぐらいで、映像やセットの類はなし。
「私の音楽を届けるために今、ここに立っています、歌っています」
という佇まいが凛としていて、非常にかっこよかった。


この時代のアメリカの女性シンガーソングライターとしては No.1 だと言う人もいる。
僕としてはそれはどうかなーってとこなんだけど、確かに No.1 の1人には入ると思う。
改めてその歌声を聞いてみると
似てるのは Lucinda Willams なのかな、なんて思ったりした。


どの曲がどのアルバムで、ってとこまで詳しくない僕には
マグノリア」のサントラに入っていた「Save Me」ぐらいしか分からず。
(これはとてもいい曲です)
会社の先輩に後で聞いたところではこの前出たライブアルバムと曲目はほぼ一緒で
曲順が多少違うところがあったとのこと。
アンコールは2回で、'Til Tuesday の曲も何曲か歌った。


終演後ロビーではCDを売っていて、5000円以上購入すると
サイン入りの写真をもらえるということになっていた。
買おうかどうかかなり迷って、お金もないし結局買わなかった。
一夜開けて今思うにソロの最初の頃の日本盤を買っておけばよかった、とちょっと後悔する。


Liquid Room を出てから、会社の人たちと Neuf Cafe というところに入った。
雑居ビルの9階というかロフトのような場所。
「使える」というと言葉は悪いが、とてもいい雰囲気のカフェだった。