この世には、男性と女性だけではなく中性というものがあるとしらどうだろう。
俗に言う「中性的な人」というときの中性ではない。
結婚生活も生殖活動も男性・女性・中性の3者が揃わなければ成り立たないものとする。
男性と女性だけ、女性と中性だけ、というような組み合わせでは
社会的な婚姻関係を成立させることはできず、
性行為も中途半端というか、むしろ倒錯的なものとなる。
(このとき中性の肉体的特徴はというと、何もないということにする。凹凸無し)
フォーマルな場に出るというとき、3人1組。
仲良く買い物に出かけるというときも、3人1組。
小学校のクラスも、男性・女性・中性とが3等分ずつ。
生まれてくる子供も、男性・女性・中性の確立が3分の1ずつ。
とりあえず中性の役割としては、
男性・女性に次ぐ第3の性というよりは、男性と女性の間に入って仲立ち役と考えてほしい。
性格診断にて最も頻発するキーワードは「調和」
両親(じゃなく、三親?)からは
やんちゃをすると「ちゃんと中性らしくしなさい」と怒られる。
自分は中性ではなくて男性や女性の方がふさわしいのではないかと思い悩んだり、
男性も女性も嫌いだと嘆く人も出てくるだろう。
外科手術により男性や女性に生まれ変わる人も出てくるだろう。
あるいは、男性や女性から中性になる人がいたっておかしくはない。
【恋愛小説、テレビドラマにおける展開】
男性と女性だけではだめで、中性も揃って初めて正しい恋愛関係の始まり。
一人欠けてて理想の中性(男性、女性)を追い求めたり、
美しい三角関係を保っていたところに魔性の中性(男性、女性)が現われて四角関係になったり。
人数と性の配分だけでも無数のバリエーションが生まれて、ややこしいことこの上ない。
「男中女7人夏物語」
考えてみただけでもめんどくさい。見るのも、作るのも。
【SF的展開①】
これまで人類は男性・女性・中性の構成比が均等だった。
それが未知の病気により、中性だけが生まれなくなる。
男性も女性も途方にくれる。
2人だけでぎこちなく生殖行為を行おうとする。
2人だけでぎこちなく、物寂しい擬似的な婚姻生活を営もうとする。
(さらに考えを押し進める)
やがてこの世は男性・女性だけとなる。
それはそれで成り立つようになる。
世界の歴史から中性というものが忘れ去られる。もっと進んで、抹消される。
歴史上の著名な中性は男性か女性にこっそり書き直される。
(別な方向に考えを転がす)
この世界は実はそのようなものだった。中世の時代までは。
それがペストや戦争により人口が激減したという当時の理由と、
文献が残っていないことにより史実を都合よく書き換えたという後の世代の理由により、
現代は男性と女性だけのように思われている。何の疑問ももたれない。
(さらに考えを押し進める)
そこにどういう因果か、この現代にひょっこり中性の子供が生まれるようになる。
1人2人ではなく全世界共通の現象として、ポツリポツリと。
混乱に陥る世界。
やがてまた中性の役割が見出されるようになる。
【SF的展開②】
これまで人類は男性・女性・中性の構成比が均等だった。
それが未知の病気により、男性と女性だけが生まれにくくなる。
世代を経るごとに中性の割合が増えていく。
やがて、男性1%、女性1%、中性98% そんな時代になる。
男性であること、女性であることが特権階級であるような時代。
その時代も過ぎ去って、男性・女性が絶滅する。中性100%となる。
こうなるともう、これまでの方策では子孫を残せなくなる。
中性同士が2人か3人か4人か集まって
自らの遺伝子を交配させてクローンを培養気の中で育てる。
それ以外に人口を増やす方法はなくなる。
そこから10万年が経過した世界。
奇妙な形態に進化した地球人と、地球人の文化。