初雪、青森のことを思い出す

ダウンジャケットを着て、寒さに肩をすくめて歩いていると
目の前を白い粒子がちらほらと横切っていった。


すれ違う子供が歓声を上げた。


東京に、初雪が降ったのか。

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「あー、寒いなあ」と思いながら
部屋でインスタントのココアを飲みながら音楽を聞いていると
電話がかかってくる。青森の母からだった。


正月は帰ってくるのか、という質問だった。
「・・・帰らないよ」と答える。
母は残念そうにした。
前回の正月は仕事で帰れなかった。
2年続けては初めてだ。


リンゴをもらったけど、送ろうかと言われる。
これから先、部屋でわざわざ皮剥いて食べてる暇ないかもな、
と思うもののもらうことにする。
シャクシャクという歯触りを僕は思い出す。
「ああ、だったら今、食べたいなあ」と思う。

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仕事以外にもあれこれ忙しくて、土日は行き着く暇もなさそうだ。
大掃除をしなきゃいけないが
やるとしたら大晦日か元旦に休みがあったらってとこだし、
年賀状もそうだ。


1年なんてあっという間だ。
もう、終わってしまうのか。

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母から続けて電話がかかってきて、
今ネギをもらったから段ボール箱に一緒に入れておくという。


焼きネギにするといいとのこと。
20cm ぐらいの大きさで切って魚を焼くグリルにて焦げ目がつくまで焼いて、
焼けたらまた切って鰹節を振り掛ける。

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ふと思うに、母とは2ケ月近く話してなくて久し振りに電話がかかってきた。
元気そうだった。


2ヶ月近くかかってくることなくて、
その間風邪でずっと伏せっていたというときもこれまでにはあった。


2・3週間に1度ぐらいは電話した方がいいのかもしれないが、
今更電話で話すこともない。
娘が母親に電話をかけるのって普通のことっぽいけど、
何も用がなくても頻繁に母に電話してる息子ってなんか変だな、
という意識が僕の中にある。
母に対してだけでなく、父に対してもそうだろう。息子ってもんは。
世の中的にどうなんだろう?