浪人をしていたら

この時期駅や電車は予備校の広告一色となる。
さすがにこの僕も受験というものが遠い昔の出来事となり、
この手の広告を見かけても反応を示すことがなくなった。
大学時代なんかはあれこれ考えたものだったけど。


現役生のときに受けた大学がことごとく落ちて浪人生になっていたら
人生は今頃違っていたのだろうなと思う。
入った大学は少なくとも年度が違うだろうし、
大学そのものも変わっていたかもしれない。その可能性も高い。
そしてそれは出会う人たちが全然違っているということを意味する。
いつも言ってることだけど、大学以後に出会った人たちが僕に与えている影響は大きい。
ものすごく大きい。
寮で出会った人たち、勉学の場で出会った人たち、バイトでであった人たち、
映画サークルで出会った人たち。


予備校に通ってたらそこで出会う人たちってのがいるんだろうな。
浪人していた人たちは高校の友達だけじゃなく
予備校の友達ってのもいて、それはちょっと羨ましかった。
入学当初に再会して「おまえもここ受かってたのか!!」みたいな場面に何度も出くわした。
実際現役生よりも予備校生のほうが友達の幅が広かったように思う。


僕が大学に落ちていたら。
青森で自宅生なんてできるわけがなくて
(塾も予備校もやり手のものはないから参考書と問題集に頼るしかない)
みんなと同じように仙台の予備校で寮に入ることになる。
駿台代ゼミ河合塾の御三家。
(今でもこの3つが御三家なのだろうか?)
話を聞くと時々集まって飲んでたりしたそうだ。
そうだ、センター試験の後からすぐにもどこの予備校にする?って話をしている連中がいて、
結局そいつらのほとんどが高校の卒業式の頃、どこの予備校にした?って話をしていた。


僕は予備校に入ってたら、性格的に猛勉強していたように思う。
たまにロックのCDを聴いて、小説を読んで、映画を見るだけ。
あとは1日に15時間ぐらい勉強してただろうな。
志望校は夏の辺りで東大に変えて。
もし「浪人したら絶対東大に入れるけど、どう?」って運命の神様に囁かれたら
そのときの僕はどうしただろう?
そっちを選んだだろうな・・・
人によっては「今年はダメだけど来年なら」という4カ年計画で大学を考えていた人もいると思う。
でも母子家庭の僕は「浪人してはいけないよな」という雰囲気を感じ取っていたから、
とてもじゃないけどそんな選択ありえなかった。というか当時考えもしなかった。
夏から短期集中決戦でどこまで行けるか?
そんなだったからうまくいったのかもしれない。


さらにあと一年となったら途中で息切れして、ストレス溜め込んで人間がゆがんで、
犯罪行為すれすれのことが隠れた趣味となっていたかもしれない。
僕の性格からすれば、そっちもまたありえる。
あちこちに卑猥な落書きを書くことに始まり、万引きがやめられないとか、
放火の味を覚えるとか・・・。すれすれじゃなくて犯罪ですね。
性欲の対象もゆがみそうだ。寮の部屋で悶々としてそうだ。
そう考えると、浪人しなくてよかったもんだ。


今思うと浪人をしてた人のほうが世の中を1年か2年多く見ていた分、大人だった。
(現役生たちは多かれ少なかれナイーブなところがあった)
それと同時にどこかしらマニアックな言動の人が多かったように思う。