岡村訳「Pale Blue Eyes」

冬になると、Lou Reed の歌が聞きたくなる。
先日、何年かぶりに The Velvet Underground の3枚目を通して聞いた。
ヴェルヴェッツの中では2枚目「White Light / White Heat」が一番好きなので
これはさすがによく聞く。というか「Sister Ray」だけを。
もちろん、1枚目の「The Velvet Underground & Nico」もよく聞く。
Sunday Morning」と「All Tomorrow's Parties」が入ってるから。


これまで3枚目の「The Velvet Underground」のことは
地味で起伏に乏しいアルバムだと思っていた。
しかし久しぶりに聞いてそのよさがわかった。
一人きりの夜、これは繰り返し聞ける。
寂しげな Lou Reed の声が、心にそっと染み渡る。


このアルバムの中で有名な曲はなんと言っても「Pale Blue Eyes」
訳してみたくなった。


なんとなく、「僕」「君」ではなく、「ボク」「キミ」にしてみた。
英語的によくわからない言い回しが多かったので、かなり意訳。

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時々、うれしい気持ちになるんだ。
悲しい気持ちになることだってある。
そしてまた、うれしい気持ちになって、その繰り返し。
だけどほとんどの場合、キミはボクを狂おしい気持ちにさせる。
そう、キミのことを思うと、どうにかなってしまいそうになる。
今、ボクの心の中に映っているのは
キミの寂しそうな瞳。
キミの瞳の中をボクはさまよっている。


キミのことを高い山のてっぺんのように思う。
キミはボクにめくるめく思いをさせてくれた。
そんなキミがボクの全てだと思っていた。
だけどボクには手が届かなくて、
いつかキミのことを見失ってしまった。


もし、この世界をボクが見たままに
風変わりで嘘のないものにできるのなら
ボクの目の前に置いた鏡の中にキミを立たせる。
そう、ボクの目の前に置かれた鏡の中に。


人生ってヤツを笑い飛ばすことができたら。
彼女は言う。お金ってなんだか私たちに似ている。
嘘つきで、何の役にも立たない。
そう。みんなみんな、どうにでもなってしまえばいい。


キミがボクにしてくれたこと、ボクがキミにしたこと。
全てが昨日という過去へと消え去っていった。
そしてボクは1人きりでもう1度そのことを思い返してみた。
事実は単純だ。キミは結婚していて
まあ要するに「いいトモダチ」でしかない。
そしてそれは過ちであって、罪深いとさえ思う。
今、ボクの心の中に映っているのは
キミの寂しそうな瞳。
キミの瞳の中をボクはさまよっている。