先週末、先々週末とあちこち花見に出かける。
日本人はなんであんなに桜が好きなのだろう?
桜がらみの曲も毎年ヒットしてるし。


僕だって桜が咲くと見に行きたくなる。
道端で咲いてると立ち止まって眺めたりする。
真っ白な花びらが咲き誇ってるのを
遠くに見て近くに見て「いいなあ」と思う。
若いころは「桜なんて宴会のための口実だよ」なんて思ってた。
「外で騒げれば何でもいいんだよ」
それが30を超えるとしみじみ「桜いいねえ」と思う。
これって日本人の遺伝子なのだろうか?
もしかしたら、意外とそういうものなのかもしれない。


桜の木の下には死体が埋まっているからだろうか?
坂口安吾梶井基次郎が書いていた。
これはイマジネーションの問題ではなくて、
戦国時代、合戦が行われた後、
累々たる死体の山を隠すためなのだろうか、それとも弔うためなのだろうか、
桜の木を植えたという逸話から確か来ている。
この世に残した無念を死せる肉体と魂いっぱいに抱えて、
それを養分として桜が咲き乱れ、やがて散っていく。
凍えるような、凛とした白さか。それとも血のように真っ赤だったのか。
当時の人たちは桜に、「春に咲く風流な植物」以上のものを見ていたはずだ。
だとしたら桜を見ながら酒を飲むという習慣も、
元は名も無き屍を偲んで、その鎮魂の意を込めて
酌み交わされたものがゆえんであるはずだ。
実際どうなのかはわからないけど。


思えば、日本に限らず祭りというものは
死と豊穣、この2つに密接に結びついたものだった。
そもそもこの2つ自体が表裏一体の関係にあった。
豊穣のために生贄が捧げられるのが当たり前の時代 / 地域もあった。
豊穣が得られなければ、すぐそこに死が口を開けて待っていた。
それが良くも悪くも形骸化して
祭りそのものだけが今に伝えられている。
生活のアクセントや、観光資源や、
文化として守り伝えるべき伝統芸能、そういうものとして。


・・・なーんて難しいことは花見の間に考えることは無く、
酔っ払ってるだけですが。