永福町、明大前

今書いている小説の舞台の1つを、これまで行ったこともないのに
なぜか永福町か明大前の辺りとしていた。
これまで行ったことなくて、なんとなくのイメージであれこれ書いていたので
読み返してみてもしっくり来ない。リアリティに乏しい。
架空の土地について記述してるのではなくて、実際そこに住んでる人もいるわけだし。
知ってる人が読んだら違和感を感じるだろう。


そんなわけで昨日、日曜の午前中、行ってみることにした。
午後は同じ井の頭線駒場東大前にてスロウライダーの公園を観ることになってるし。


荻窪駅南口のバス乗り場から関東バスの「芦花公園行き」に乗る。
こっちからバスに乗ってどこか行くなんて何年ぶりだろう。
バスは環八沿いに南へと下っていく。
のんびりと進んでいく。


高井戸の駅にて井の頭線に乗る。各駅停車。
すぐにも永福町に着く。下りる。
永福町と明大前は隣り合わせているのに共に急行が停まったりする。
どれだけ大きいものなのだろう?とこれまで思ってきた。
それが、駅を出て「なんだ、こんなものなの?」とがっかりする。
駅前と呼ぶべき空間がちまっとあるだけ。
大きな商店街があったり、駅ビルやデパートが建ってたりするのかと思っていた。
目の前には大通り(井の頭通り)が広がってたりするが。
中央線で言ったら、三鷹みたいな位置づけなのだろうか。
気を取り直して、井の頭通りを渡って中野方面へと歩いていってみる。
やはり何もない。どこまで行っても住宅地。
住んでる人には悪いが、隙間が多くスカスカな印象を受ける。間延びしたというか。
「これは違うな」と早々に引き返す。
腹が減ってたなのでどこか入りたいと思っているところに「永福町 大勝軒」を見つける。
でもこれもなんか入る気せず。並んではいたけれど。
駅に戻って井の頭線に乗る。


明大前。ここもまた何もないといえば何もないところだった。
大きそうな街の雰囲気があるのに、駅前の空間もわずかばかり。
ぐるっと回ってみて、甲州街道があってなんとなく
その広々とした大通りに「活気がある」ように思えるぐらい。
昔誰かから明大前にいい中古CD屋があると聞いた記憶があるんだけど、
いったいどこにあるのだろう。街が小さいのに、それらしいものは見つけられない。
ラーメン屋を探す。11時だというのに開いてないかぱっとしない店ばかり。
一風堂を見つけ、「ま、いいか」と入る。
「あかまる」全部乗せに替え玉、ランチのセットのライスと餃子。
前は「しろまる」を食べて「まあまあかな」ぐらいだったんだけど、
「あかまる」はうまいんじゃないかと思った。


食後、ガード下を抜けて住宅街を探して歩いてみる。
永福町と違って閑静で高級そうな雰囲気がある。マンションも建っている。
そういう一角もあれば、もっと普通の庶民的なせせこましいところもある。
築40年というような今にも壊れそうなアパートも残っている。
「これか、これだな」と思う。小説のイメージにぴったり。
入り組んだ路地。坂が上ったり下ったり。
桜が咲いている。塀沿いに竹の植えられた大きな家。
バイクの修理をしている30代半ばぐらいの男性。
キャッチボールをしているガタイのいい中学生ぐらいの兄弟。
個人の建築事務所。儲かってなさそうな不動産屋。
踏切。遮断機が下りてカンカンカンカンと鳴る。小田急線が通過する。
「消費生活者ネットワーク」のポスターをあちこちに見かける。
キャリーカートと言うのか、ゆっくりと引きずっている品のよさそうなおばあさん。
小型のショベルカーにより壊されたばかりの跡地、その隣に駐車場。
小説の中に出て来る「家」のモデルとなりそうな、古びた大きな邸宅を2つ見つける。


携帯であちこち写真を撮る。
生垣沿いに邸宅を道路からこっそり撮るときとか
このご時世だし中から人がでてきて不審者と思われても致し方ない。
ほんの少しヒヤヒヤする。
マンションを撮ってたらそのマンションから人が出てきて、さすがにジロジロと見られた。
この界隈で誘拐だのなんだの起きたら、僕が真っ先に怪しいと思われる。
「エンジ色のジャンパーを着た、30代初めぐらいの男性がうろうろして写真を撮っていました」


駅に戻って、さらに井の頭線を何駅か下って下北沢へ。
レコファンでCDを物色するが、待ち合わせまで余り時間もなく、
またすぐ駅に戻ってまた井の頭線に乗る。駒場東大前の駅へ。午後一時。


そういえば明大前の駅では僕が乗ろうとした時間に無茶苦茶大勢のスーツを着た若者たちが。
入学式?いや、そんな初々しくない。
入社式?いや、2日の日曜に?しかも午後一で解散??
ラッシュのようにもみくちゃになって乗って、下北沢へ。
団塊の世代が抜けた後のマーケティングが・・・」とか言ってる子がいたので会社説明会か。