ツアーでペルー その16(4月23日)

クスコの空港にて


クスコに近づく。
上空から眺めると、黄色い屋根の素朴な家が連なっているのが見えた。


非常に小さな空港。
アンデス音楽を演奏するグループがさっそく熱演して旅行者をお出迎え。
外に出ると抜けるような青空にモクモクと輪郭のはっきりした白い雲。
リマの空とは大違い。昨日は雨が降ったと聞く。
標高は3310m。富士山よりはまだ低い。
頭は痛くないが、息苦しさは感じる。喉が締め付けられるような。酸欠状態。


クスコの空港は午前中のフライトがメイン。
午後は天候が悪くなることが多いため、本数が減る。
操縦士も経験を積んだ人でないと難しいと聞く。


空港を出てバスまで歩いていると
ペルー人のカメラマンが僕らの写真を1人ずつパシャパシャと撮る。
いったいなんなのだろう?と思う。


クスコのガイドのMさんが登場。
クスコに住んで6年半になるという日本人。
高地で過ごすコツとして、以下初心者たちに伝授する。
・水分を多く取ること。
腹式呼吸をすること。
・病は気から。


その他注意事項。
・日中日が出ているとそれなりに暑いが、日が暮れたとたん一気に寒くなる。
・紙はトイレに流さないとこ。


ある種のウェルカムドリンクってことなのか、
バスの中でプラスチックの容器に入ったコカ茶が配られる。
ちょっとだけだったのですぐ飲み終わる。
味はこれと言って特徴はなし。
もちろんコカ茶を飲んで気持ちよくなったり、その逆にダウナーになったりはしない。
高地地方の人たちが日々普通に飲んでいる。


バスが走り始める。
リマから比べるとクスコの街並みはほんと、慎ましい。日本の田舎町のよう。
一言で言うと、「素朴」
ガイドのMさん曰く、クスコは今それでも建築ラッシュであるとのこと。


ホテルに到着する。
噴水のある小さな広場の向かい。
リマのシェラトンから比べると大きな違い。急にグレードが下がる。
僕はこれまでどちらかというと
このホテルみたいなところに泊まることが多かったのでむしろ親しみが湧いたが、
人によってはがっかりしたかもしれない。


ホテルのレストランの中へ。
僕よりちょっと若いぐらいのカップルの座っていたテーブルに同席する。
ここでもまたコカ茶のサービス。
カップルの女性の方がコカ茶を飲んで言う。
「あまちゃづる茶に味が似ていますよね」


パスポートをいったん預けて、宿泊シートに記入する。


隣のテーブルに座っていたおばさんが
「見て!」と日本から持ってきたせんべいの袋を差し出す。
気圧が下がってパンパンに膨れ上がっている。
見たら僕の鞄の中のウェットティッシュの袋も同じことになっていた。
これを見て初めて、「はーすごいところに来たもんだ」と実感した。


鍵が出てくるのを待つ。
本当ならばもっと早く部屋に入れたはずが、
この日は団体が3つも重なってホテル側がてんてこ舞いとなっている。
添乗員のKさんがガイドのMさんと現地手配のペルー人の男性に
「ちょっと、どうなってんのよ!?」と陰でこっそり詰め寄っている。
ペルー人の男性は「いやあどうにもこうにもうまくいかないもんで」
「ちょっとばかり遅れたって気にしなくてもいいじゃない」と言いたげに笑ってばかり。
良くも悪くもペルーの人たちのおおらかさを目の当たりにする。
3人で端の方のテーブルに座って作戦会議というかこの後のスケジュールの調整をする。


その間僕らが待っていると、レストランの反対側にどやどやと別の日本人団体が。
クラブツーリズム。また会いましたね・・・
元気な添乗員の方が大声でクスコの注意事項とこれからの日程を伝える。
これがまた僕らの日程と似たり寄ったりでぼけーっと聞いてると思わず
「あれ、明日の出発って7時だったっけ?」なんて勘違いしてしまう。
この添乗員の方ははっきりと
「コカ茶は高山病によいとされていますが嘘です!効果はありません!!」と一刀両断。
隣で聞いてた僕ら一行にどよめきが走る。
なんかもっとものの言いようがあるだろうに・・・、と僕は思う。
アンデスの人たちが健康にいいとよく飲んでいるお茶です」
とかもっと当たり障りのないことでもいいじゃん。


明日24日の予定と、明後日25日の予定が明らかにされる。
朝食はともに4時半から、モーニングコールは5時半。
24日はマチュピチュの日。6時半にホテルを出発して7時には列車が出発。
ホテルに戻ってくるのは21時。
25日はチチカカ湖畔の町プーノへと向かう日。6時50分にホテル出発。


「今日具合がよくない人であっても、頑張ってマチュピチュへは行くようにしてください。
 マチュピチュのほうがクスコよりも標高が低いので、楽になります」
え?と思う。
僕は知らなかった。マチュピチュってあの写真のイメージから
とんでもない高所にあるものだとばかり思っていた。天国に近いのかと。
違うんですね。もっとちゃんと「地球の歩き方」を読んでおけばよかった。
僕みたいに思っていた人は他にもいるようで・・・
マチュピチュの標高は2040m。
今の僕らからすれば、「なーんだ、かなり低いな」という高さ。


ようやく鍵を受け取って、部屋へ。
僕は6階。他の人は2階とか3階なのに。
どうも普段使ってない部屋が割り当てられたようだ。
6階は昔バーとして使われていた広いスペースがあって
窓が大きく、以外と見晴らしがいい。
このスペースの反対側は椅子が並べられ、レクチャー用のボードを取り囲んでいた。
なんかのツアーのときに説明用に利用されたのかもしれない。


エレベーターが来るのが遅く、しかもツアー全員が待ちになってしまったから
僕は乗るのを諦め、6階までスーツケースを運んで階段を上った。
激しい運動は禁じられているのに・・・
すぐにも息が上がって、軽く目が回った。