ニュー・オーダーとジョナサン・デミ

ゴールデン・ウィークの明けた頃、神保町の JANIS2 に行ったら
発売当時からずっと探していたニュー・オーダーのDVD2巻組を見つける。
クリップ集とヒストリーもの。
ジャケットに問題ありということで即廃盤となったのだそうな。
よーやくですよ。もちろん買った。5000円は安かった。
(ちなみに、この日見つけたもう1つが「断絶」のコレクターズ・エディション)


どっちも2時間半近くあって、
休みを取った一昨日の木曜と、定時で帰った昨日の金曜にそれぞれ1本ずつ見た。


クリップ集で最もよかったのは「The Perfect Kiss」
80年代の中では唯一と言ってもよい。
ビデオクリップ史の歴史に残ると思う。
(「Round & Round」もオルタネイトのバージョンは素晴らしいけどね。
 正式版?では女性が何人も出てきて切り替わるけど、もう1つのバージョンは1人だけ。
 その笑ったり退屈そうにしている表情を追い続ける)


スタジオでライブ演奏を行うニュー・オーダー
メンバーそれぞれの顔と楽器を演奏する手元を静止したフレームで淡々と切り取る。
ただ、それだけ。
なのにニュー・オーダーの何たるかを、その魂を、その存在感を、
(その演奏の壊滅的な下手さまで含めて)映像に焼き付けているように思う。


10分近い長さがあるのに、次の日見たヒストリーの方でもほぼ全部引用されていた。
やはりそれだけの意味のあるクリップなのだろう。
2回目なのに、見入ってしまった。
吸い込まれるような「何か」がある。


調べて見たら監督はジョナサン・デミ
羊たちの沈黙」の。
というよりも Talking Heads の「Stop Making Sense」の。
言われて見ればよく似ている。ものすごく、よく似ている。
固定のフレームなのに、奇妙な熱気を帯びているところ。
ミュージシャンの内面をえぐりだそうとする、ある種解剖学的な作品となっているところ。
(「Stop Making Sense」はライブの模様を収録したものなのに、
 観客の姿は一切映さず、ステージの上だけに焦点を絞ったことで当時は画期的な作品とされた。
 熱狂的になったファンの姿を映すのが常識とされていたのを
 あっさりと切り捨てることで逆に生々しい臨場感を生み出した)


YouTubeにあったので、気になった人は見てみてね。
http://www.youtube.com/watch?v=sWn0FjYSazU


あと、21世紀に入ってからの2枚のアルバムのクリップはなかなかいい出来で
(ファクトリーを離れて、メジャーに移ったからか・・・?
 今やロック界の生きる伝説、大御所扱いだからか?)


特にこの「Krafty」と
http://www.youtube.com/watch?v=BsOuNNP6wLA


突然変異的にアップデイト(世代交代)された「Crystal」
http://www.youtube.com/watch?v=ipbobacFiUY


「Krafty」はもう、見てて涙がダーダーダーと。
(って言うのは言葉の綾で、さすがに泣きはしないけど)
こういう青春に憧れてたのに、そういうの一瞬たりとも、実現しなかったから。


今、自分で書いていてなんだけど、
「こういう青春に憧れてたのに、そういうの一瞬たりとも、実現しなかったから」
ってフレーズ、ニュー・オーダーの本質を突いてないっすかね。