New World

嘘っぱちのこの世界で
君も嘘をつくようになった
嘘っぱちのこの世界で
僕は僕で嘘をつくようにした


僕らがまだ幼かった頃
知ってるありったけの言葉をかき集めてこの世界を描こうとした
だけどそれは口にしたその瞬間から嘘になっていく
そして僕らはそのことに気付かない
朝になって夜になって、僕らは無邪気に言葉を集め続けた
この世界に対して、僕らは言葉を捧げた


君は右手を銃の形にして撃つ真似をする
バンバンバン
僕は撃たれて死んだフリをする
地面の冷たい感触を頬に感じる
1.2.3.
起き上がって僕は笑う
君も笑う
そこには何の意味も無い、理由も無い


誰もが美しい言葉を話す国がこの世のどこかにあるという
誰もが嘘偽りの無く話す国がこの世のどこかにあるという
口伝えには聞くものの人々は信じようとしない
訪れようとはしない
何百年、何千年のうちにその国は朽ち果てて消えうせてしまった


だからこの世界には今、嘘だけが残されている
僕も君も話す言葉には全て嘘が含まれている
そのことをどんなに悲しいと思ったところで、その思いそのものが嘘なのだ
何かを隠して、何かを間違って
僕は君に本当のことが言えない
君の言うことを僕はそのままに受け止めることができない
だけど僕は君に会い続けて
君と何かを分かち持とうとする
いつの日かあっけなく死んでしまうその日まで
儚い試みは終わろうとしない


おはよう、こんにちは
ありがとう、さようなら
だから僕らは簡単な言葉で意思の疎通を図ろうとする
出会ったときの始まりと終わりを
誰もがわかる言葉で
そこにさえ嘘が含まれるのなら、僕らは何を信じることができよう
しかし時として人は
そんな簡単な言葉にも偽りの気持ちを込めてしまうものなのだ


希望を歌にして僕らは歌う
絶望を歌にして僕らは歌う
新しい歌が生まれては消えていく
様々な思いが生まれては消えていく
嘘っぱちのこの世界で
たった一つの、この世界で