ヒナギク(今、適当に思いつきで書いた詩)

いつか死すべき王女のために
この歌は歌われる
世界の果てに集められた僕たちは
輪になってヒナギクを摘む


はるか彼方遠くから
今夜もまた月の光が届く
異国から来た娘たちが
目を閉じて妙なる調べを鳴らす


僕たちは聞いた
手を止めて聞いた
幾千ものヒナギクを両手に抱えて
闇の中にかざした


痩せ衰えた馬に乗って
真っ白な森を突き進む
突き進む
名前のない草原を目指す


僕たちは声に出して囁いた
囁いた
僕たちは何も知らなかった
そのことを涙した


喜びだとか悲しみだとか
王様はいつだってそういうことばかり夢中になる
お抱えの道化師たちが笑い方を教えてくれる
広間に並ぶ貴族たちが合図を交わす


抱えていた熊のぬいぐるみ
片隅に集められた蜀台の群れ
合わせ鏡
隠された手紙の数々


船乗りを描いた三枚の絵を
壁から外して火にくべる
窓から見える風景が今ここに残された
その記憶はいったい誰に譲ろう


今は亡き王女のために
この歌は歌われた
世界の果てに集められた僕たちは
輪になってヒナギクを摘んだ


王国はそこにある
手を伸ばせばいつもそこにある
その姿をその声を
吹き抜ける風をその全てを