青森帰省 その5

okmrtyhk2008-03-24


8時に起こされる。
知人にもらった弘前のレストランのハンバーグなんだけど、おいしそうだからどう?
と聞かれて、レトルト入りのハンバーグを温めて食べてみる。確かにおいしかった。


食後、家中に掃除機をかけて、部屋の拭き掃除をして。
外の窓は冬の間の汚れを落としていないからいい、と言われる。
石油ストーブが「給油」のアラームが鳴って、電源を切る。
この冬はもう使うことはないだろうからちょうどいいタイミングだった。


後はもう、出るだけとなる。
八戸行きの特急は11時40分。
青森駅へと向かうバスは10時40分の前が10時5分しかない。
間が悪く、早過ぎるが10時5分のに乗っていく。
母が自転車に乗ってバス停まで送りに来る。
今日は風が強く、寒かった。ダウンジャケットでちょうどいいぐらいの。
バスは遅れてて、いつまでたっても来ない。
「東京は今日、雨らしいよ」と母が言う。
バスが来て、乗り込む。


古川で下りて、(青森県観光物産館である)アスパムへ。
青森県立美術館より奈良美智グッズを買ってきてくれとリクエストがあって、
そりゃ遠くて行けないよって返答をしてたんだけど
(バスを乗り継いで片道2時間近くかかるので、半日仕事となる)
アスパムのお土産コーナーならもしかしてなんかあるんじゃないかと
あんまり期待せずに試しに入ってみた。
探してみると「A to Z」とかいう企画で
奈良美智デザインのワンカップ大関3個入りセットみたいなのがあって、
それを買うことにした。


アスパムの裏は青森港。陸奥湾の写真をった。
今日は曇っていて気温が低かったので
それを感じ取って海もまた灰色の寒々しい色をしていた。


成田本店で帰りの新幹線の中で読む本を探す。
取り立てて今読みたい、と思った本はなかった。
中山康樹の「ディランを聴け!! 」を見つけて、暇つぶしにいいかなと買う。
「マイルスを聴け!!」のボブ・ディラン版。
これ、確か絶版で手に入らないんじゃないの?と思って
今帰ってきて調べてみたら正にそうだった。
amazon で中古で3,000円とか5,000円って値段になってる。
買っといてよかった。定価の\1,000ちょっとで買えたのは
もしかしたら今回の帰省で一番の収穫かもしれない。
さすが青森。意外なものがあっさりと売れ残っている。


(駅ビル)LOVINAのお土産屋コーナーに立ち寄って、「豊盃」を探す。ない。
三浦酒造の、最近話題の。昨日、青森ローカルの番組でも取材されていた。
前回買って帰って飲んだらうまかった。あったら買っときたいなあと思った。
この前は駅のキオスクで見かけたんだよなあとそっち行ったらあった。
大吟醸が\3000もして高かったので、普通の吟醸にする。こちらは半額。


駅弁を選ぶ。
乗り換えの八戸で選んだ方が種類は多いんだけど、今回は青森駅で買うことにした。
あっさりしたものがいいなあと「津軽笹寿司」というのを買ってみる。
笹に包まれた寿司が5個。鮭が3個で鯛が2個。
青森に住んでいた頃に食べた笹もちを思い出す。
どこが製造元なのだろうと包装紙を見てみたら
家のすぐ近くに工場があるということが分かった。
近所のヨシミで贔屓目に見るわけじゃないけど、割とうまかったように思う。


八戸で乗り換えて、新幹線は盛岡・仙台で雨。


林京子祭りの場・ギヤマン ビードロ」の続きを読む。
面白かった。とても面白かった。読み終えるのが惜しかった。
幼いときに長崎で被爆したことの体験を連作集として語っていて、
そこに後世の読者の好みが出てきそうですが。
しかしこれをいわゆる「被爆文学」として遠ざけるのはもったいないことだ。
人には何かしら全生涯をかけて語るべきものが何か一つあって、
この人にとってはそれが長崎での出来事だったというだけにすぎない。
(「すぎない」と軽く片付けるわけにはいかいないんだろうけど・・・)
その「全生涯をかけて語るべきもの」の先には
優れた作家ならば誰しもが語っている「人間とは」「生きるとは」に対する
その時々での答えが悩みながらも語られていて、
そこに触れられるということこそが文学を読むという行為の醍醐味なのだ。
日本語で書かれた素晴らしい小説を読むことができて、日本人でよかったと思った。
この人の文章は他の言葉に翻訳されたならば
単なる出来事と感情・情緒の細かな羅列になってしまって
大事なものが失われてしまうだろう。
そういえば結局、どれが国語の教科書に載っていた文章だったのか
読んでて僕は思い出せなかった。


東京に着く。母に電話する。東京は雨が降っていなかった。
アパートで荷物を片付けていると、宅急便が届く。
お土産の幾つかを大家さんのところへ家賃と一緒に持っていく。
母の作ったカレーを温めて食べる。
これで今回の青森帰省は、終わり。


寝るまでの間、小説を書く。
書く気になっていてもたってもいられなくなった。
正月から書いていた長編は同時並行でちょこちょこ書きつつ、
100枚の先日書いた筋書きのやつを。
帰省してあれこれ考えていくうちに僕の中で何をどうしたいのかがわかった。
何を言葉にしたいかがはっきりすると、それをどうしても書きたくなった。
帰りの新幹線の中で携帯で打ち込んだ。
4月の土日に書いていってゴールデンウィークにはいったん書きあがると思う。
今、仮のタイトルは「見張り塔から、ずっと」