ヒトデとイソギンチャク

(割とグロテスクな話になるので、苦手な人は読まないように。絶対、絶対、絶対)


先日、生まれて初めてナマコを食べたことを書いた。
その後、考えた。


ウニ、ナマコ、ホヤを人は食べるが、ヒトデやイソギンチャクは食べない。
これはなぜなのか?
毒があるから?
それともただ単にまずいから?
(もしかしたら、地方や国によってはあるのかも)


昔の人は絶対食べてみたのだと思う。
ナマコを食べてみて、ヒトデを食べてみないわけがない。
それにしてもナマコのどこがうまいかね?
僕が世界で最初にナマコを食べた人類だったら、
「まずい。後の代まで食わんでよろしい」と切り捨てるけどね。


逆に、味覚音痴かつアレルギーのあるチャレンジャーがエビやカニを前にして、
「足がたくさんあって、しかも甲羅が固い。なんとグロテスクなんだろう」と思いつつも
勇気を出して口にしてみたら、
「まずい。後の代まで食わんでよろしい」となっていたかもしれない。
しかも毒に当たったようになって。
僕らは永遠に、忌まわしい生き物としてエビやカニに手を出さないようになっていたかもしれない。
そう考えたとき、21世紀を生きる僕らはなんと幸せな先祖を持っていたことか。
エビフライ万歳。かに道楽万歳。


青森市から平内町、野辺地町陸奥湾沿いを車で走っていたら
ホタテを中心に海産物を売っている店があって、そこのノボリに「珍味フジツボ」とあった。
ゲーッ・・・と思ったよ。まじで。
味噌汁のダシにするとうまいと聞いたことはあるが、さすがにそれ、試してみる気にはなれない。


長野ってイナゴを食べるんでしょ?
それどころかアジアの国々、例えば中国では漢方薬の一種として干した××××を食べるんでしょ?
(これは今、思い出しただけで具合悪くなった・・・)


山奥を歩いていてたまたま見つけたキノコが「きれいだなあ」と、思わず手が伸びて食べてしまう。
どこまで本当か知らないけど、派手な色のやつはたいがい毒キノコなんでしょ?
(派手な色は、自分には毒がある、危険というアピール)


なぜ人はそこまでして「食べる」のか?
一つには、食べ物がなくなってやむにやまれず食べてみた。
一つには、裕福になって珍しいものに手を出してみたくなった。
結局は、好奇心なのだと思う。
もっと言うと、どこかねじまがった欲望。ある種の征服欲。
その生き物を食べるということは、その生き物を取り込むということでもある。
そこには象徴的な意味もあるし、実際的な意味もある。
例)魚の目を食べると目にいいというのは、昔は半ば迷信のようなものだった。
  しかし今はそこに科学的な根拠があることがわかった。


初めてウニを食べた人は「ああいうトゲがあったら、戦いで強そうだ」と思ったのだろうし、
同じくナマコを食べた人は「あんなふうに海底で寝そべってたいなあ」と思ったのではないか。
そしてヒトデやイソギンチャクに対しては特に憧れを抱かなかった。たぶん。
そういうことなのではないか。


とりあえず今日のところはそういうことにしておく。