先週の火曜の昼、打ち合わせと打ち合わせの間が空いたので、
東京駅から神保町まで歩いていくことにした。
いつもだったらそのまままっすぐ行くんだけど、
この日はふらっと皇居の中に入ってみたくなった。
目にすることは多いのに、これまで入ろうとはしなかった。
特に理由はない。「何があるわけでもないし」っていう思いがあって。
それでもまあ、たまにはいいかと。
皇居って中学校の修学旅行以来。
国会議事堂を見て、ってやつ。お決まりのルート。
今はどうか知らないけど、青森の中学生は修学旅行で東京に訪れる。
あの当時の記憶を辿ってみようとするが、何も思いだせず。
駐車場の砂利しか出てこない。
そしてこの砂利ですら持って帰ってはいけないんだと誰かが言っていたこと。
バスガイドの方でもなく、先生でもなく。
今思うと単なる冗談だったのだろう。
神様が宿っていて、とかそういうやつ。
まずはお堀に沿って歩く。ジョギングしている人が多い。
日本人よりも、外国人がよく目につく。
昼休みの時間だったので、丸の内の外資系企業で働くアメリカ人たちなのかもしれない。
夜、仕事が終わってから着替えて皇居の周りをジョギングするのが流行ってるって
以前ニュースで見たことがあるけど、
昼走ってる人たちってのはどうやって暮らしているのだろうか?それがいつも気になる。
東京は広いから、働かなくても食っていける人が大勢いるのかもしれない。
その中の一握りの人たちが、1日中ジョギングして時間を過ごしている、のかもしれない。
ただ単に火曜が休みで、週に1度走っているだけなのかもしれない。
橋を渡って、噴水のある公園へ。
丸の内のOLたちが連れ立ってお弁当を手に進んでいく。
大勢のサラリーマンが憩いの時間を過ごしていた。
ここはどうもまだ外苑の中ではないらしい。
お堀に沿って歩いていくとさらに橋があって、どうもこれが入口か。
中を進んでいくと管理事務所みたいなのがあって
入場券代わりのプラスチックの小さな札を受け取る。
昔、食券制の食堂で食べると
こういうプラスチックの番号札みたいなのを受け取っていたよなあと懐かしい気持ちになる。
入場は無料。
入ってすぐのところに小さな美術館があって、
「帝室技芸員と一九〇〇年パリ万国博覧会」というのが開催されていた。
ここもまた入場無料。
100年も前の、日本の最先端の美術。花鳥風月を描いた物々しい花瓶や壁掛けの数々。
この頃の美術には疎いので僕自身はよく分からず。
かろうじて歴史の時間に習った高村光雲ぐらいか。覚えていたのは。
19世紀最後の年の、パリの万博。凄かったんだろうな。
皇室の肝いりでここに出す作品を作るってのいうのはとてつもない名誉だったのだろう。
ブラブラと歩いて、坂道を上っていく。
音楽が聞こえる。誘われるように進んでいって。これは聞いたことあるなあ。
そうだ、「崖の上のポニョ」だ。
広々とした芝生の上に椅子を並べてブラスバンドが演奏していた。
その周りを人々が座って、取り囲んでいた。
次の曲は「川の流れのように」
演奏するのは「皇居警察音楽隊」の人たちで、この日はランチコンサートだった。
代表の女性の方がマイクで次は来月と言っていたので毎日行われるのではないのだろう。
たまたま運良く居合わせた。
高台のようになっている場所があって、天守閣の跡。上ってみる。
外苑の広々とした芝生が一望できた。
その向こうに丸の内のビルの群れ。遠くには東京タワーも見えた。
この日は雲1つなく晴れていて、暑いぐらいで、
芝生の上では音楽隊の人たちが「川の流れのように」を演奏していて、
大勢の人たちが思い思いにくつろいでいて。
東京のど真ん中とは思えないぐらい、のんびりとした風景だった。
時間が来たので外に出て、神保町へ。
そうだ、今度休みの日に大手町から皇居を一周して、
反対側の半蔵門に出てそのまま新宿まで歩いて行ってみよう。
新宿通りをまっすぐ進んでいったら着くよね。
芝浦から銀座までが僕の中で定番だけど、東京を歩くのはほんと楽しい。
いろんな風景があって。