感門之盟(その2)

第1部、まずは「遊」の物語講座第一綴と風韻講座第三座の終了式。
物語講座は卒業生が皆、壇上へ。
今回が初めてとなる講座だったので、どういうカリキュラムとなっているのか簡単に説明される。
3教室にそれぞれ3人ずつ師範がついて、1ヶ月ずつ教えるという。
1つの新聞記事を元に、ミステリー、落語、童話に仕立て上げる。
僕はこの春から夏にかけての「20破」が終わったら
秋はここに進もうと思っているので興味津々。
(気が変わって花伝書に行って師範代をやってるかもしれないが・・・)
終了の証として、学衆の作品が
1冊の本というかファイルにまとめられたものが1人ずつ手渡される。
そして各作品の中から賞が与えられて、受賞者が短くスピーチをする。
松岡校長はこれら作品の1つ1つをきちんと読んでいて、スピーチの合間合間に茶々を入れる。
そして校長自ら、この人はこの本を読むべきと校長のサイン入りの本をプレゼントする。
賞を読み上げるのは師範たち。
僕が初めて編集学校に興味を持った本「物語編集力」に登場する師範の方たちが
目の前にいるってのがちょっと不思議、というか感慨深かった。


次は風韻講座。日本語の定型詩ってことで俳句や短歌を詠むようだ。
俳人である師範が1人で切り盛りしている。
ここもまた修了者が壇の上に上がって、句集を手渡され、賞の授与式が行われる。
1月に行われた、編集工学研究所に集まってのリアル稽古の模様も
スクリーンに映し出された。


休憩を挟んで、第2部、20守の感門証の授与式。
各教室の師範と師範代がステージに上がって、師範から師範代へと感門証を読み上げる。
それぞれの指南振りがどうだったか、どんな出来事があったか、
17週の稽古を通じてどんな嬉しいことがあったか。
そして、受け取った師範代が一言スピーチを述べる。
笑いで会場がどっと湧くこともあれば、涙して何も言えなくなる師範・師範代も。
それぞれの教室にそれぞれのドラマがあって。
他の教室の様子って覗くことはできないようになってるんだけど、
この感門証やりとりだけでどういう教室だったのかなんとなくわかるように思う。
見てて飽きない。
最初は、この日13時半から20時半までのプログラムと聞いて
「え?そんなにやるの?」「途中寝ちゃうんじゃないか」とめんどくさそうに感じたんだけど、
決してそんなことはなかった。


物語講座・風韻講座と違って学衆はステージに上がることはなく、客席から見守るのみ。
前にも誰かから聞いた話だけど、主役は師範代なんですね。
感門証と共に校長から、1人ずつ本が手渡される。もちろん1人ずつ違う本が選ばれている。
僕のところの師範代はシモーヌ・ヴェイユの本をもらっていた。
師範も校長から1人ずつ色紙を受け取る。
校長直筆の書で、守にちなんだ創作熟語を。
うちの師範がもらった言葉は「守脈」だったかな。


スピーチではいろんなエピソードが語られる。
ある師範代は教室を五線譜に例えて38番の稽古を音符になぞらえ、
それぞれの師範代ごとに奏で方が変わる、という話をされていた。
ある師範代は、指南がいかに大変かってことで
「レオン」のジャン・レノが片目ずつ眠るエピソードを引き合いに出し、
自分でもやってみたとのこと。
「やろうと思えばこんなことまでできちゃうんですね」


休憩を挟んで、第3部、次は19破の「突破」へ。
内容は守と同じ。違いは校長から贈られる本が2冊セットになるぐらいか。
守の師範代も大変だけど、破の師範代はもっと大変で。
内容が高度になるし、至難にかかる時間もさらに増えるし。
昼のイタリア料理屋でのランチにて師範が
「破の師範代をやったらそれしかできなくなるから、
 今のうちにやりたいことやっておかないと、ってみんな今慌ててる」と話していた。


感門証を受け取った後、舞台下から師範代に花束を渡している教室が多かった。
これ、次回の感門之盟(僕らの代)ではみんなやりそう。
守でも客席からエールを送っている教室があった。


長めの休憩があって、小さな弁当箱が1人ずつ配られる。
桜を意識したとのこと。
中には小さなおにぎりが3つと焼き鳥の串、桜餅だったか。


何回かある休憩時間には「落冊市」ってイベントも行われていて、
校長の蔵書の中から数十冊ほど持ってきて、オークションをする。
欲しい本があったら付箋に100円単位で金額を貼っていく。
最終的に最も高額な値をつけた人が落札ならぬ落冊として購入可能。
校長のサインが表紙に書かれていたり、
かの有名なセイゴオ・マーキングがなされた本がやはり人気が出る。
僕は取り立てて欲しい本はなかったけど、一冊だけ、
ボールペンやエレベーターといった20世紀の発明品のエピソードを集めた本に
興味が沸いて入札してみる。
誰も入札してなかったので、最初、付箋に100円と書いて貼った。
次の休憩時間に見てみたら別な人が300円と上から貼っていて、僕は次に400円と。
付箋を貼って本を置いた瞬間、さらに別な人が手にとって、700円と貼る。
もういいやと思って、僕は降りる。


(さらに、続く)